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玉露とは?|煎茶との違いや歴史、美味しい入れ方を紹介

玉露と煎茶の違い

煎茶とは茶葉の新芽を摘んで蒸して揉んだ後乾燥させたものをいい、玉露は煎茶の一種です。

ただ違うのはその栽培方法で、玉露は収穫する2週間から20日ほど前に、葦簀(よしず)と呼ばれるヨシの茎で編んで作ったすだれや藁で茶葉を覆い、日光を遮る栽培方法を用いられます。

こうすることで旨味成分であるテアニンが茶葉に多く含まれるだけでなく、渋み成分のタンニンが抑えられ、玉露独特の香りと味になるのです。

玉露の味の特徴

玉露の中でも品質の高いものは、海苔の香りに似た独特の香りがあります。「覆い香」と呼ばれるその香りは強い甘味と旨味が醸し出すもので、玉露独特の栽培方法から出るものです。

玉露には濃厚な甘みとコクがあり、口に入れただけでその甘みを感じることができます。エスプレッソと同じように少量で味を楽しむのが玉露の美味しい飲み方です。

煎茶の味の特徴

玉露と違い茶葉に覆いをせず、日光をたっぷりと浴びる方法で栽培されるのが煎茶ですが、そうすることで甘味・旨味・苦味・渋味のバランスが絶妙に調和され、すっきりとした透明感のある爽やかさを感じる味になります。

茶園によっては、摘採前の数日間は覆いをして苦味や渋味を抑えることで荒々しさのない上品な煎茶を作るところもあります。ずっと味を変えないためにあえて覆いをしない茶園もあるので、煎茶でも茶葉によっては味に幅が出るようになりました。

玉露の栽培方法

玉露を栽培する方法は、新芽が出始めた際、茶摘みを行う3週間前から日光を遮って栽培します。

遮光率(しゃこうりつ)は、日光を遮る割合のことです。遮光率を3週間前の段階では、70%前後から始めます。その後、茶摘み直前には90%以上まで遮光率を上げます。

なぜ、日光を遮るのかというと、日光を遮ることで茶に葉緑素が増すのです。葉緑素が増すと鮮やかな緑色に染まり、新緑と呼べる葉に育ちます。

収穫は基本的に手摘みで行います。手間をかけるからこそ、玉露は高級茶として扱われます。

茶摘みが終わった後、生の葉は手で揉む作業を通して針状に仕上げられます。

生葉の酵素が失活しないようにする必要があります。失活とは、葉の成分の変化をそれ以上止めるために、酵素などの働きを止めることです。方法は、蒸熱(じょうねつ)と呼ばれる葉を蒸す作業で防ぎます。

蒸した生葉を以下の作業を行います。

1、振るい

2、揉み

3、解きほぐして

4、乾かし

5、針状に伸ばす

非常に時間も工程もかかる手揉み製法は、半日程度かかる大変な作業です。手作業で仕上げられた生葉は、この作業により葉が細かに扱われて美しい針状に仕上がります。

もともとは、お茶の製法として労力と時間を必要とした手揉みですが、現在では効率的に機械を利用して作られています。

玉露はなぜ誕生した?玉露の歴史を紹介

1835年に江戸日本橋の茶商「山本山」の6代目である山本嘉兵衛が、高級な煎茶を開発しようと碾茶の栽培方法にある覆下栽培を煎茶にも行ったことで玉露が誕生したことから歴史は始まります。

「玉露」という名前は、開発者の山本嘉兵衛が製茶中に茶葉を露のように丸くあぶったことが由来とされています。しかしこれには諸説あり、碾茶の新芽から甘露の味がすると評されたという説や、玉露の旨みが玉の露のようだからという説もあります。

江戸時代に誕生!煎茶の歴史を紹介

煎茶は1738年、日本ではまだ江戸時代に今の製法が誕生しました。それまで庶民が飲むお茶は粉末のものでしたが、宇治湯屋谷の永谷宗円がそれまでの一般的な製法である釜炒りや碾茶に手を加え工夫し、蒸し製法といいうものを確立させたのです。

蒸し製法というのは積んだ茶葉を蒸して、和紙が貼られた焙炉の上で揉み乾燥させる方法で、これが煎茶の始まりといわれています。この製法が生まれたことにより、急須に茶葉を入れてお湯を注いで飲む「淹茶(えんちゃ)法」も誕生しました。

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玄米茶の効能を紹介|玄米と緑茶の長所が入った、一息にぴったりなお茶

玄米茶の効果・効能がすごい!美味しいお茶の入れ方もチェック!

玄米茶の原料や製法


出典:写真AC

 玄米茶は、番茶や煎茶を加熱したものに、蒸して炒った玄米を混ぜたお茶です。 玄米には餅米が用いられることが多く、その分量は茶葉と玄米で1:1です。 番茶や煎茶のあっさりした味わいに加え、炒った玄米の香ばしさを楽しめるのが大きな特徴でしょう。

元は、戦前の茶商が、鏡開きの時出る餅屑をどうにか利用しようと、茶葉に混ぜたのが始まりといわれています。 玄米茶の味わいは、茶葉よりも玄米によって決まります。

特に、きつね色に炒った玄米ほど香ばしい仕上がりとなり、逆に爆ぜてしまったものはあまり品質が良くありません。 食塩や抹茶などを添加したものや、玄米を炒っただけの商品なども販売されています。

では、そんな玄米茶の効果や効能にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。

リラックス効果(GABA・テアニン)


出典:写真AC

玄米茶には、アミノ酸の一種であるGABAが含まれています。 GABAには、興奮作用のあるアドレナリンの分泌を抑える効能があります。摂取することで、脳がリラックスしている時に出るα波が増えるという研究結果も出ています。 また、脳が落ち着くことで集中力が高まるという効能もあります。

一方、茶葉に含まれている旨味成分のテアニンにも、脳の興奮を抑え緊張を和らげる効能があります。 これらの成分に加え、程よい香ばしさがよりリラックス効果を促進してくれます。 女性が悩まされがちな月経前症候群のイライラや憂鬱などそれらも解消することが期待できる効能といえるでしょう。

肥満予防効果(γ-オリザノール)


出典:写真AC

玄米の胚芽(はいが)には、γ-オリザノールという成分が含まれています。 これはポリフェノールの一種で、中性脂肪が増えることを抑える効能があり、肥満や糖尿病などの予防に繋がるとされています。 さらに、悪玉コレステロールを減らす作用もあるため、動脈硬化を含め、広く生活習慣病全般に対しての効能が期待できます。

他にも、玄米茶に含まれるGABAやカテキンにも、悪玉コレステロールを減らし、血糖値の上昇や脂質の吸収を緩やかにする効能があります。

また玄米茶には、糖分や脂質を吸収しにくくする水溶性食物繊維と、水分を含むことでお通じを良くする不溶性食物繊維が、バランスよく含まれています。 まさに、ダイエットにぴったりの効能を持ったお茶といえるでしょう。

美肌効果(茶カテキン・ビタミンC)


出典:写真AC

茶カテキンはポリフェノールの一種で、いわゆるお茶の苦味成分です。 茶葉の中でも、発酵していないものほどより多く含まれています。したがって、番茶や煎茶などの不発酵茶を原料とする玄米茶には、とても豊富な栄養素です。

茶カテキンの持つ抗酸化作用は強く、同じ効果で有名なブルーベリーをも大きく上回っています。この効能によって、体内の活性酸素は取り除かれ、美肌やアンチエイジングに大きな効果を現します。

また、煎茶や番茶にはビタミンCも多く、コラーゲンを作り出して肌のハリを良くしたり、メラニンの生成を抑えて肌を白くする効能があります。 さらに、玄米に含まれるビタミンEは「若返りビタミン」と呼ばれるほど抗酸化力が強く、血行をうながして老化を防ぐ効能があります。

このように玄米茶には、女性にとって嬉しいアンチエイジングやスキンケアに重要な効能が、数多く含まれていると考えられています。 

風邪予防の効果(茶カテキン)


出典:写真AC

茶カテキンには、抗菌や殺菌作などの効能があります。 その作用によって、風邪の予防などにも良く効くとされています。 また、虫歯の原因となるミュータンス菌や、O-157などの食中毒菌、胃がんの原因となるピロリ菌などの増殖も抑えることができるといわれています。

玄米茶にはビタミンCも多く含まれているので、病気にかからないように免疫を高めることにも効能があるとされています。 まさに、万病を予防することが期待できるお茶といえるでしょう。

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緑茶の原料や製法


出典:写真AC

見た目には全く異なるものに見えますが、緑茶の原料は、ウーロン茶や紅茶などと同じ「チャノキ」というツバキ科に属する常緑の低木です。

元々、お茶の原料となるチャノキは、日本や中国で栽培されている1m程度の低木のチャノキと、インドやスリランカなどで栽培されている6~18mの高木である「アッサム」の2種類のみとなっています。

なぜ香りや色が異なるかというと、茶葉に含まれている酵素の力で自然発酵が進み、緑から黄色、白、青、紅色とどんどん色が変化していくためです。緑茶は不発酵茶といって、摘み取った茶葉を2時間以内に製茶工場へ運び、生の茶葉に含まれる酵素の働きを停止させて、緑のまま製造します。

不発酵茶の製法も2種類ありますが、日本ではほとんどが茶葉に高温の蒸気を当てて、発酵を止める蒸し製です。ちなみに、中国では高温の鉄鍋で茶葉を炒る釜炒りという製法が主流です。日本では、北九州でこの製法を取り入れているところもあります。

緑茶に含まれる茶カテキンとは


出典:写真AC

茶カテキンというのは緑茶に含まれる成分の1つで、生活習慣病の予防や抗酸化作用など、様々な効能が期待されているものです。茶カテキンは抗酸化作用の高さで知られているポリフェノールの一種で、緑茶の渋み成分であるタンニンの主成分です。

緑茶には4種類のカテキンが含まれており、茶葉を摘んだ時期や栽培方法などによって含有量が異なってきます。一般的には、日の当たる場所で栽培され、成熟した茶葉よりも若い芽にカテキンが多く含まれています。

緑茶の効能①

抗酸化作用


出典:写真AC

緑茶からは様々な効能が発見されていますが、茶カテキンを多く含むため、抗酸化作用の効能は群を抜いています。ストレスや紫外線など、様々な体への負荷で体内にたまる活性酸素は、体を酸化させて病気の原因となったり、老化を早めたりします。

若いうちは活性酸素を抑える機能が働いているものの、40代以降になると活性酸素が溜まる一方になり、体の衰えを実感しやすくなります。緑茶には、この活性酸素を消去する物質が多く含まれており、β-カロテンやビタミンC、ビタミンEなどの働きもあって、老化防止やアンチエイジングの効能が期待されます。

アイヌ神話はどんな話?|アイヌにおける神やフクロウの存在とは

アイヌ神話とは

 北海道から樺太、千島・カムチャッカにかけて生活していたアイヌの人々は文字を持たない民族だったため生活に関する知恵や歴史、各地にまつわるアイヌ神話などは全て口承で伝えられてきました。それをウエケペレやユーカラという名で呼んでいます。

その中で最も雄大でロマンチックな物語がアイヌ神話であり、日本神話と類似する部分も多く各地に様々な神話が残っています。 しかし現在残るアイヌ神話の中には同じ内容であっても地方によって多少異なる部分があったり、千島アイヌの話と北海道アイヌの話では国造りの上で登場する神様(カムイ)が違います。

これはアイヌ神話がユーカラやウエケペレによって長い時間かけて語り継がれてきた事によって変化した部分もあるでしょうし、生活環境の違い、住む地域の違いなども要因の1つとなっているようです。

ちなみに現在両親をアイヌに持つ方もほとんど居なくなり、ユネスコではアイヌ語に関して「極めて深刻」な消滅の危機にあるとし、言語はもちろん文化継承に力を入れています。

アイヌ神話の特徴


出典:写真AC

アイヌの人々の世界で語り継がれているアイヌ神話の特徴としては、神=カムイは自然の中に存在し自然の恵みそのものが神様という事が基本となります。

神話を見ていくと日本古来の天孫降臨に値する天地の始まり・カムイの始まりに関しても大地の作られ方から始まり、世界を構築するための様子を細かく語っています。

なお汎神論と呼ばれる宇宙と神、自然と神との関係とも大変似ており、ペケレチュプとクンネチュプ(日と月の神)が天に上り夜と昼を交代交代で照らす役目を負い、シリベシの山(羊蹄山)を始めに作った事は太陽神・月神が登場する太陽信仰、天照大御神と月読命とも被る部分です。

ですから自然の中に沢山の神がいるという内容上、日本の神話に登場する八百万の神々ともアイヌ神話が重なる部分が多いようです。 

アイヌ神話のカムイについて


出典:写真AC

カムイは日本語でストレートに言うと「神」となります。ただし、霊や自然の中にも存在しているとされこれは日本の神話とも重なりますが、違う点としては人工物にも神は存在するという意識なので、「何らかの力を持ったもの全てがカムイ」という事になります。

そこで、カムイと呼ばれる代表的な物を見ていくとヒグマはキムンカムイが毛皮をまとってやってくる仮の姿、キツツキ(クマゲラ)はチップタッチカップカムイと言って丸木舟を作る方法を教えてくれた神様、タンチョウはサロルンカムイ=葦原に住む神などと呼びます。

また、人に恩恵をもたらすものすべてピリカカムイ(ピリカとは美しいという意味も有)、疫病神はパヨカカムイなど人の手を加えられない存在にも神と使います。

さらに人工物ではアペフチカムイ=囲炉裏の中の神などが代表的ですが、生活する上で欠かせない物(これのおかげで生活できる感謝の意)なため神と呼ばれていたようです。

アイヌ神話におけるフクロウについて


出典:写真AC

アイヌの人々の世界でフクロウもまた特別な存在です。アイヌ語ではシマフクロウの事をコタンコロカムイ=村を守る神と呼び、夜になると起きてジッと村を見守り偵察してくれる守り神としてみていたようです。

ですからフクロウが登場するアイヌ神話やユーカラは30以上にも上り、有名なユーカラでは知里幸恵さんのフクロウの神が自ら歌った謡で始まる「銀の滴降る降るまわりに」でしょう。

このユーカラは美しい音と流れるようなアイヌ語が絶賛されアイヌ文化が再び注目されました。ちなみに知里幸恵さんの功績を称え「知里幸恵銀のしずく記念館」が2010年にオープンしました。

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初心者でも安心!万年筆のお手入れ方法・インク補充・書き方のコツ

鉛筆やボールペンとは違った書き味と持ち主にあった書き心地に変化する点から長い間人々から愛されてきた万年筆。

今回は万年筆の歴史や書き方のコツなど万年筆について徹底紹介していきます。では、早速、万年筆とは何かについて見ていきましょう。

万年筆とは

万年筆はペン先、ペン芯、インクタンクの三つからなる筆記用具で、日本では別名「萬年筆」とも表記します。

液体の表面張力を利用し、インクの流出量を調整する仕組みを持ちます。また、筆圧によって線の太さに変化を付けたり、ペン先の素材で弾力が変わるなど、一本一本に違いがあります。

最大の特徴は、長く使うことでペン先がなじみ、持ち主にあわせた書き味に変化する点です。劣化しても、部品を交換し、メンテナンスをすることで品質を保つことができるなど、長く楽しむことができる筆記用具です。

万年筆はいつ生まれたのか


出典:写真AC

人類の筆跡の歴史を辿ると、最古のものでは約8,000年前メソポタミアに原型が発見されており、瓦や板に尖った棒状の道具で傷を付けた跡が残されています。これは最も原始的な筆と言えます。 ペン先が発明されたのは1780年頃です。

イギリスのサミュエル・ハリソンによるもので、筒状に丸めた鉄板を使い、インクの入ったツボに何度も浸しながら使用されました。しかし、これはインク壺を何度も往復するものでした。この後、ペン先に切り割りを入れたり、より適した金属が発見されるなど、改良が進みます。

1809年にイギリスのフォルシュにより現在の形に近いものが作られ、同年、イギリスのブラマーが特許を取得、「Foutain Pen」と名付けられました。

1884年には、アメリカのウォーターマンにより毛細管現象を応用したペン先が開発され、1895年に日本に輸入されました。販売を始めたのは丸善でした。

1911年に坂田製作所(現セーラー万年筆)、1916年に並木製作所(現パイロットコーポレーション)、1924年に中屋製作所(現プラチナ万年筆)が創業するなど、国産メーカーが次々と誕生しました。

万年筆の特徴


出典:写真AC

万年筆の特徴は大きく3点あります。

第一にペン先や軸によって、書き味や太さに大きな違いがあることです。特にペン先の種類によって、字の太さや柔らかさが大きく異なり、自分にあった一本を選ぶ楽しさがあります。

第二に使用感です。書いていく内にペン先の形状が変化し、使用者にあった感触へ近づいていきます。これは他の筆記用具にはない特徴です。

第三に、様々な工夫がなされた、仕組みです。その一つはペン先に切られた「空気溝」で、ペン先からインクが出る量を調節する働きがあります。これにより、ペンを紙に押し当てた際、その強さによってインクタンク内に入る空気の量が変化し、筆圧に併せたインクが出るように作られています。(気泡交換)

しかし、インク内に空気が取り込まれると、外部との気圧差により、インクが外に出すぎてしまいます。それを防ぐのが「くし溝」で、ペン芯に付けられた細い溝により、余分なインクがタンクに戻るよう作られています。(毛細管現象) 気泡交換と毛細管現象を利用することにより、万年筆は飛行機や高山など気圧の低い場所でも使用することができます

女性必見!黒豆茶の身体や美容に嬉しい多様な効能|二日酔いにも効くって本当?

黒豆茶の原料や製法


出典:写真AC

 黒豆茶は、黒豆を原料としたお茶です。 黒豆は大豆の品種の一つで、種皮が黒い以外は他の大豆と大きな違いはありません。 江戸時代からの主な産地として、兵庫県篠山市や京都府京丹波町などがよく知られています。 砂糖と醤油で煮豆にするのが一般的で、黒い皮に含まれる効能から、古くから薬としても用いられてきました。

黒い色は邪気を払い健康を招く意味合いがあり、「一年間をまめ(丈夫)に暮らす」という縁起担ぎから、おせち料理にも欠かせない一品です。 その黒豆を、煮たり焙煎したりして抽出したのが黒豆茶です。香ばしく、仄かな甘みがあるのが特徴です。

現在ではティーバッグも販売されていますが、粉砕した黒豆を使用したものは濁りが多く、ややえぐみも残ります。一方、丸粒で煮出したものは、濁りもなく香り高いお茶を楽しめます。 また、商品によっては杜仲茶や大麦茶などを混ぜているものもあります。

黒豆茶の効能①

抗酸化作用(アントシアニン・サポニン)


出典:写真AC

黒豆の皮には、アントシアニンという天然色素のポリフェノールが含まれています。 これが黒豆の独特の色を作り出しているため、他の大豆からは得ることができない成分となっています。

アントシアニンはナスやブルーベリーなどにも含まれていますが、黒豆に多く含まれるシアニジン-3-グルコシドは、その中でも特に強い抗酸化作用を持っています。 それによって、種子を紫外線のダメージから守る役割を果たしているわけです。

このアントシアニンを摂取することで、体内の有害な活性酸素が取り除かれ、動脈硬化や老化、ガンの予防などの効能があるといわれています。

また、黒豆には「若返りのビタミン」と呼ばれるビタミンEも含まれていて、アンチエイジング効果もあります。 このような効能から、黒豆茶を飲むことで健康と美容を保つことが期待できます。

黒豆茶の効能②

目の疲れに効果的(アントシアニン)


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ブルーベリーが目に良いというのは、よく聞く話です。 その効能は、アントシアニンによってもたらされるものです。つまり、同様にアントシアニンを含む黒豆茶にも、目にとって良い効能があると考えられています。 アントシアニンが目に良いのは、ロドプシンという物質を含んでいるためです。

眼の網膜にあるロドプシンは、光が当たることでビタミンAに分解されます。この時の電気信号が脳に伝わることで、ものを見ることができるわけです。 分解されたロドプシンは、やがて時間が経つと再び合成されます。 パソコンやスマホの使用で疲れ目になるのは、このロドプシンの再合成が間に合わないことが原因です。

したがって、アントシアニンを補給することで、これを解消する効能が期待できるわけです。 他にも、アントシアニンは白内障や緑内障などの予防にも効能があると考えられています。 また、血行促進の効能によって、ドライアイや目の下のクマを改善するのにも役立ちます。

黒豆茶の効能③

貧血予防(鉄分)


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黒豆は、漢方でも古くから体に良い食材として扱われてきました。 特に、黒い食材は血を補うと考えられ、貧血気味の時に摂ることが勧められています。 実際に、黒豆には血の元となる鉄分が多く含まれているので、黒豆茶は貧血予防の効能も持つと考えられています。

鉄分は栄養素として吸収しにくいのが難点ですが、黒豆に含まれる鉄分は有機鉄という吸収されやすい種類になっているのも特徴です。

また、アントシアニンには活性酸素を取り除くことで血をさらさらにする効能もあります。その作用で血流が改善されて、体の隅々にまで血が行き渡るようになります。 貧血や冷え性に悩まされがちな女性にとっては、とても嬉しい効能といえるでしょう。 

黒豆茶の効用④

肝機能補助(ビタミンB1)


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黒豆茶には、肝機能を助けて二日酔いを予防する効能もあるとされています。 アルコールは、体内に入ると胃や腸から吸収されて、血管を通って肝臓まで運ばれます。ここでアセトアルデヒドに代謝されるわけですが、その際にアルコール脱水酵素が必要となります。

その時、足りない酵素に代わって代謝を助けてくれるのがビタミンB1です。 アセトアルデヒドは、さらに酢酸、水と二酸化炭素へと分解されていきますが、ビタミンB1はそれが体外に排出される際にも必要となります。

そのため、アルコールを飲む前や飲んでいる時に黒豆茶から補給することで、二日酔いを予防することができるわけです。 また、アントシアニンによる血流促進も肝臓の代謝をサポートします。

さらに、アセトアルデヒド脱水素酵素を活性化させる効能も持っています。 アルコール以外にも、黒豆茶に含まれるレシチンから生成されたコリンは、脂肪肝の予防にも効能があるとされています。 

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懐石料理とは?会席料理との違い|順番・マナーをわかりやすく紹介

伝統的な日本食の一つである懐石(かいせき)料理。同じ読みをするもので会席料理もあります。どちらも同じ読みですが、意味は大きく異なってきます。

今回は懐石料理と会席料理の違いをはじめ、マナーや料理の順番などご紹介します。

懐石料理とは


出典:写真AC

懐石料理とは、日本の伝統的な料理のひとつで、茶道や芸能などとともに日本文化を代表するもののひとつとされています。もともとは禅宗の修行者たちが行う精進料理が起源とされています。

懐石料理は、食材や器、調理法、盛り付けなどにおいて、一つ一つに意味や趣が込められた、繊細で美しい料理です。季節感を大切にし、旬の素材を活かした料理が特徴であり、食材の風味を最大限に引き出す調理法や、器や食材の色合いを絶妙に調和させた盛り付けなど、細部にまでこだわりが見られます。

また、懐石料理は、料理だけでなく、食器や花など、総合的な空間演出も大切な要素とされています。一人ひとりに合わせた心遣いや、空間全体を調和させた美的感覚なども、懐石料理の魅力のひとつとされています。

懐石料理(かいせきりょうり)の特徴として、日本古来の一汁三菜(いちじゅうさんさい)を基本とした料理で、お茶席でお茶の前に出される軽い食事という点も挙げられます。

会席料理とは


出典:写真AC

会席料理も、懐石料理と同様に一汁三菜を基本とした日本料理です。ただ、懐石料理がお茶の席でもてなされる料理でしたが会席料理はお酒や宴会の席でもてなされる料理です。会席料理には、献立に沿って一品ずつ食べていく「喰切料理」とお膳や予めすべての料理が並べてある「宴会料理」の2種類があります。

喰切料理には、「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに出来立てを食べてほしい」という気持ちが込められています。じっくりと一品一品を味覚・視覚で味わえる料理となっています。

宴会料理は、じっくりと楽しみたい食通にはあまり好まれず、一見おもてなしの気持ちが籠っていないようにも見える宴会料理ですが、実は亭主の気持ちが込められている形式の料理なのです。

宴会料理はもともと、中国からきています。中国では、たくさんの料理によってお客様をおもてなしする満漢全席(まんかんぜんせき)という豪華な食事形式でした。宴会料理は満漢全席の「たくさんの料理でおもてなしする」という思いが込められています。

会席料理と懐石料理の違い


出展:写真AC

懐石料理は茶席での客をもてなすために振る舞われるものです。

会席料理はお酒を飲みながら楽しむ宴席でのおもてなし料理で、お酒に合う揚げ物なども献立に組まれます。

懐石料理はあくまでもお茶が主役で、お茶を美味しくいただくための食事という位置づけですので、お茶の味を損なう油が多い料理や香辛料を多く使ったものはないのが普通です。 また、懐石料理はご飯と汁物が最初から出るのに対し、会席料理は食事の最後の方に出されます。 

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懐石料理での料理の順番


出展:写真AC

懐石料理で料理が出される順番は以下のようになっています(流派によって多少違いがあるようです)。

1.折敷膳(おしきぜん) 脚のないお膳で向付、ご飯、みそ汁。向付は刺身が多い。
2.煮物(にもの) 季節食材を使ったもの
3.焼物(やきもの) 焼き魚
4.強肴(しいざかな) 炊き合わせ、酢の物、和え物など
5.箸洗(はしあらい) 吸い物または白湯
6.八寸(はっすん) 海山2種の肴(さかな)
7.湯桶(ゆとう) そば湯またはおこげなどに湯を注いだ塩味のお湯
8.香の物(こうのもの) 漬物
9.菓子・抹茶 生菓子や干菓子。季節によるもの

ちなみに「松花堂弁当」と呼ばれるものは懐石を略したものです。

懐石料理でのマナー

懐石料理は茶道の「侘び(わび)」「寂び(さび)」の心を生かした料理で「旬の食材を使う」「素材の持ち味を活かす」「心配りを持っておもてなしをする」という約束事があります。これは、懐石料理だけでなく和食の基本的なマナーにも深い関わりがありますよね。

また、懐石料理では亭主(もてなす側)と客人(もてなしを受ける側)両方に作法・マナーが決められています。

懐石料理での客人の作法・マナー

・食べ物を頂く前に、先に手を清めます。お店によっては、手洗い場が用意されていたり、おしぼりで手を拭くよう指示されることがあります。

・座っている間には、声を大きくすることや、携帯電話をいじるなどの行動は避けましょう。

・目の前に運ばれた料理は、すぐに頂かず、まずはその美しさや香りを楽しみます。その後、小さな口に分けて、美味しくいただきます。

・焼魚は頭後ろの背中から一摘みずつ食べ、表側を食べ終わってもひっくり返さず骨を取り下の身を食べます。
・刺身のわさびは醤油に溶かさず、刺身の片側に付け、醤油は反対側につけます。
・煮物の中で里芋など滑りやすいものは、片方の箸を刺しもう片方の箸で挟みます。
・串に刺した物は串を抜いてから箸で切って食べます。

・お酒は、ほどほどに楽しみましょう。また、お酒に合わせた食べ物を頂く際には、お酒が進みすぎないよう注意しましょう。

・お茶を頂く際には、お茶碗を一回転させていただき、その後、飲み干します。

・食事が終わったら、器や箸を元の位置に戻し、座布団をキレイにしてから退席するようにします。

懐石料理での亭主の作法・マナー

・自ら手料理を振る舞います。

・旬の食材のみで海のもの、山のもの、里のものなど重複しないよう献立を考えます。
・季節感を大事にし、食材を粗末にしないようにします。
・温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たくして提供します。
・料理を運ぶ時間も大切にします。
・隠し包丁を入れたりして食べやすくし、骨の多いものは取り除きます。
・料理の盛り付けや器の組み合わせなどにも心を配ります。

懐石料理の有名店

京都吉兆

懐石料理の歴史

昔、禅の僧侶が修行をしていた時に、食事の回数が午前中に1回と少なく、夜になると空腹で体温が下がるので、温めた石を懐に抱いて飢えや寒さを凌いだことから、空腹を抑える程度の少量で質素な食べ物、身体を温める少量の食事を懐石というようになったそうです。

禅僧が客をもてなそうとしても食べ物がないため、もてなすことができず、温めた石を客の懐に入れてもらったという話もあります。 また、修行の僧が朝と夕方の2食で空腹に耐えられず、夜に食べた「薬石(やくせき)」と呼ばれるお粥から、との説もあります。

今日の懐石料理は、現在の茶道の原型を作った千利休によるものです。以前茶会の食事は「会席」や「ふるまい」などと記されていて、もともとは会席と懐石の起源は同じだったらしいのですが、安土桃山時代から江戸時代に、茶道は禅宗と深い関わりがあることから「懐石」の文字を当てるようになり、狭い茶室でも頂ける「懐石料理」が完成しました。

空腹の状態でお茶を飲むとその美味しさを正しく感じることができないばかりか、具合を悪くすることもあったようで、空腹の一時凌ぎの軽い食事(懐石料理)が考え出されたといいます。

現在では本来の茶席の懐石料理は「茶懐石」と呼ばれ、区別されることもあります。 懐石料理はもともと量が少ないものであったため、和食のお店で量が少なめのコース料理の名称として「懐石料理」という名前が使われることも多くなっています。

現在の懐石料理の姿

今現在はお茶の文化が盛んであった安土桃山時代や江戸時代とは違ってお茶を引き立てるための料理形式というものの役目が薄くなっています。

一方で、お酒や宴会の席でもてなされる料理「会席料理」は今現在でも多くの日本人に親しまれ、その見た目の美しさから「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。

今現在、お茶のための料理は会席料理と区別して「茶懐石」と呼ばれています。お茶の文化が薄れている現代ではありますが、古くより伝わる懐石料理が今もなお親しまれているのですね。

日本料理の神髄ともいえる懐石料理


出典:写真AC

禅の精神に導かれ、茶の道に磨かれて飾り過ぎることなく洗練されてきた懐石料理は、まさに日本料理の神髄とでもいえるでしょう。

堅苦しいと思いがちな懐石料理の決まり事も、もてなす側ともてなされる側とが食事を通して真摯に向き合う証と言えるかもしれませんし、決して食べ過ぎず、控えめに食することで、かえって旬の豊かな味わいを感じることができるのかもしれません。

敷居が高そうでなかなか手が出ない懐石料理ですが、日本の伝統を感じるためにも、一度体験してみてはいかがでしょうか。普段味わうことができない懐石料理の奥深さを感じることができるかもしれませんよ。

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千年飲み継がれてきた麦茶の驚くべき効能|茶葉を一切使用しないって本当?

麦茶の原料や製法

 麦茶はお茶といっても、茶葉は一切使用していません。 大麦の種子の外皮を剥いでコーヒーのように焙煎、抽出したものが麦茶です。 大麦にはいくつかの種類がありますが、中でもほとんどの麦茶に使用されているのが六条大麦です。いかにも麦茶らしい香ばしさと、豊かな風味が特徴です。

それ以外にも、よりマイルドで甘みのあるはだか麦や、すっきりした味わいが特徴の二条大麦なども用いられています。 麦茶は焙煎によって成分が化学変化を起こし、独特の香りや味わいが生まれます。

そのため、多くの工場で熱風焙煎が用いられる中、あえて昔ながらの石窯でじっくりと二度煎りした製法のものもいまだに作られています。 

麦茶の効能①

抗酸化作用(p-クマル酸)

麦茶に含まれるp-クマル酸は、抗酸化作用によって体内の活性酸素を取り除く効能があります。 活性酸素は様々な物質に反応しやすく、人間の細胞をサビつかせる性質を持っています。

それが、肌のシミやシワなどの原因となり、さらに動脈硬化をはじめ、癌、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病といった様々な生活習慣病の原因ともなります。 活性酸素は40代以降になると特に多くなって、老化を促進します。

麦茶は、そんな活性酸素を減らし、美肌効能やアンチエイジング効能で若々しさを保つことが期待できる飲み物です。 また、p-クマル酸には発ガン性物質のニトロソアニンの生成を抑える効能もあり、癌のリスクも減らしてくれると考えられています。

麦茶の効能②

血液サラサラ効果(GABA、アルキルピラジン)

麦茶に含まれるGABAは、アミノ酸の一種です。 その主な役割は、興奮作用を持つノルアドレナリンの分泌を抑え、脳や交感神経にリラックスをもたらすというものです。

それによって、血圧の上昇を防ぐ効能もあります。 さらに、GABAには血液をサラサラにする効能があるという点でも注目されています。

特に、夏は汗をかくことで水分不足になりがちです。すると、血液がドロドロになって血流が悪くなってしまいます。 そんな時期に水分補給するには、まさにぴったりの飲み物といえます。

また、麦茶の香り成分であるアルキルピラジンにも、同じように血液をサラサラにして、血圧を下げる効能があるといわれています。 こちらは、大麦から麦茶へ加工するさいに生成されるものなので、まさに麦茶ならではの成分といえるでしょう。

麦茶の効能③

デトックス効果(カリウム)

麦茶には少量ですが、カリウムも含まれています。 カリウムには、体内の余分な塩分を排出してくれる効能があります。

体内に塩分が増えると、それを薄めようとしてより多くの水分が取り込まれ、むくみになってしまいます。 つまり、麦茶はむくみを解消するためにも良い飲み物といえるわけです。

もともと、漢方では麦を使用した飲み物は、老廃物を排出する作用があると伝えられてきました。他にも、腎臓の機能を改善する効能もあるといわれています。

このようなデトックス効能がありながら、麦茶には他のお茶のような利尿作用がありません。そのため、水分不足のリスクなく飲むことができるのです。

また、水溶性の食物繊維も含まれているので、ダイエットにはぴったりの飲み物です。

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美しいアイヌ文様からうかがえる、アイヌの文化や様々な思い

アイヌ文様とは

北海道で生み出され、長い歴史の中で伝承されてきたアイヌ文化ですがその文化のなかに、「アイヌ文様」という美しいデザインがあることをご存知でしょうか。

アイヌ文様は食器や小刀に彫られたり、着物に刺繍で施されたりと、 アイヌに住む人々の生活に深く根付いたものでした。 また、広い土地をもつ北海道では、地域によって文様にも違いがみられます

太い線と細い線を組み合わせ、落ち着いた色は北海道アイヌによる文様の特徴であるといわれ、 北方の島・樺太で作られた文様は色が鮮やかで細やかなものが多いといわれています。

その意図や由来はいまだ謎が多く、明らかになっていないことも多いアイヌ文様の魅力を探ってみましょう。

アイヌ文様の意味


出展:アイヌ文様フリー素材モレウ

アイヌ文様にはベースとなる形状があり、それらを組み合わせて複雑なデザインを作っていったといわれています。 モレウ(渦巻文様)・アイウシ(括弧文様)・シク(菱形文様)などがベースの文様です。

モレウは力・パワー、アイウシは茨の棘がモチーフとなっているといわれており、アイヌの豊かな自然を表しているといわれています。 この文様を着物の襟元や裾に刺繍することによって、魔除けの念を込めていたという説が有力とされていますが、いまだ真偽は明らかになっていません。

作り手が自由に形を組み合わせていった模様が伝承していったという考察もあるようです。しかし、 畑仕事などで屋外に子供を寝かせなければいけない時に、周りに縄をめぐらせることで魔除けになるとの言い伝えがあるアイヌでは、アイヌ文様にも何かしらの意味を持たせ作られていたのでは、とも考えられています。

男性のアイヌ文様


出展:アイヌ文様フリー素材モレウ

アイヌ文様はその文様を施す対象によって、様々なデザインを持ちます。 食器や小刀など主に木を材料として彫り上げる木彫作業は、アイヌでは男性が行う仕事といわれていて、「オッカイカラペ」(男のつくるもの)と呼ばれます。

アイヌの男性は、自分の父親や父の兄弟から血族の印である「イトクパ」を代々受け継いでおり、オッカイカラペには自分の所有物を示すためにイトクパや、「シロシ」(持ち主をあらわすための個別の印)を彫り上げたものもみられます。

小刀を自在に操り、なめらかで緻密な線を持つデザインが特徴です。 文様を施した小刀は、男性が結婚を決めた女性に贈るプレゼントにもされたといわれています。

複雑な彫刻は自身の器用さのアピールであり、生活の知恵を身に着けている証であったのです。

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東京藝術大学美術館で観る日本の芸術作品|芸大の作品が楽しめる美術館

東京藝術大学美術館とは

 東京藝術大学美術館は、東京藝術大学に関するコレクションを中心に展示している美術館です。 東京藝術大学の前身とも言える、東京美術学校からのコレクションにおいても展示されており、まさに日本の芸術において学んだ姿を見ることができるようになっています。

また、学生用の教材として集められた日本の作品などについても、この東京藝術大学美術館には展示されています。そのため、展示されている作品においては共通点などは見当たりませんが、こうした数々の作品を参考にして、学生が学んで成長を遂げてきたのだと言うことが見て分かるようになっています。

ハイレベルな作品から試作品のような作品、または教材とされるシンプルな作品まで幅広いジャンルを楽しむことができる美術館です。

東京藝術大学美術館に作品が展示される、東京藝術大学とは?


出展:写真AC

東京藝術大学は、日本で一番古く歴史のある美術学校とされています。 設立された背景事情には様々なものがありますが、開校は昭和24年です。

美術学部はもちろん音楽学部もあり、さらに美術研究科や映像研究科まで幅広い美術や芸術に関する知識を学ぶことができる学校として、日本中の学生が集まっています。

東京藝術大学美術館の魅力


出展:写真AC

東京藝術大学美術館の魅力はなんと言っても、日本で最も歴史の深い学校に通じている美術館であることです。 日本を代表する多くの美術芸術に関する人物を輩出している大学の作品を間近で見ることができる専門の美術館は、東京藝術大学美術館しかないと言えるほどです。

また、有名な芸術家の代表的な作品だけではなく、若き日の作品に出会えることもこの美術館ならではの魅力です。 これは実際に東京藝術大学に通って美術や工芸について学んでいた証だとも言えます。

美術館はとてもシンプルで、それほど目立った外観ではありませんが、美術品を鑑賞するにはちょうど良いシンプルさになっていると感じます。

ここでしか得ることのできない魅力が多く詰まっている東京藝術大学美術館は、日本になくてはならない美術館といえます。

東京藝術大学美術館で行われる卒業展示


出展:写真AC

東京藝術大学の卒業生による展示は、東京藝術大学美術館にて毎年行われています。 毎年数多くの学生を世に輩出している東京藝術大学なので、作品の数もとても膨大になります。

その紹介されている作品の中には、驚くほど巨大な作品から小さな作品、どのような人にもすぐにインパクトとして理解できる作品から、深く考えても難しいと感じる作品まで様々です。

しかし、紹介されている作品の1つ1つは、東京藝術大学で学んできた学生の能力が込められていることが見ればすぐに伝わってきます。

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