気になる職業「板前」になるには?見習い時期の仕事・年収をチェック

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四季折々、季節の移ろいを見事に表現して作られる和食。繊細な料理には、高い技量とセンスが要求されそうですが、板前になるにはどんな道があるのでしょうか。

今回は気になる職業のひとつ、料理人・板前の仕事や修行の内容について紹介します。

板前とは

そもそも板前とは、どのような仕事なのでしょうか。なんとなくのイメージは浮かんでも、明確に「これ!」とわかる人は少ないかもしれませんね。

また、よく間違えられる「寿司職人」との違いについてもチェックしていきましょう。

板前とは

板前とは、割烹や料亭など、日本料理店で懐石料理を作るプロの料理人のこと。

日本料理は、中国から伝わった陰陽五行説に基づいた五法という形があります。五法とは、「煮る、焼く、蒸す、揚げる、切る(刺し身)」の調理法のことです。ほかにも五味「苦、辛、甘、酸、塩味」や五色「白、黒、黄、赤、青(緑)」、五適「適温、適材、適量、適技、適心」もあります。

つまり、「味わいの違い」「見たときの彩の調和」「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに出す」など、日本料理は長い歴史の中で伝えられてきた手法にのっとって作られるのです。

そのため、板前はすべてを理解して、「五」の調和が取れた料理を作らなければなりません。そして、一人で切り盛りしている店の場合、板前の仕事は「だしを取る」「刺し身を切る」「天ぷらを揚げる」などすべての調理を行います。何人か板前がいる店では、それぞれ持ち場によって割り当てられた仕事をするのです。また、経験や技術の習熟度によっても持ち場は異なります。

寿司職人との違い

板前と聞くと、カウンターの中からお寿司を握っている「寿司職人」の姿を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、実はこの2つの職業は、厳密に言えば全く違う仕事になります。

板前と寿司職人の違いは、簡単に言えば「専門の料理の違い」が挙げられます。板前は、日本料理全般を取り扱い、寿司職人はお寿司のみを扱うプロ。最近では、お寿司屋さんで寿司以外のメニューが出ることもありますが、お寿司屋さんの大将は寿司職人です。

日本料理店でお寿司を出しているお店でも、基本的な料理は板前が作り、お寿司は寿司職人が握るなど、役割を分けているところもあります。

板前の年収・給料相場

板前の年収は、年齢や経験、能力によっても大きく異なります。

ただ、板前の平均的な年収は、調理師の年収とほぼ変わらないともいえるでしょう。厚生労働省が公表しているデータによると、平成28年度の調理師の平均年収は43.1歳で336万円。そのため、板前の平均年収も340万円前後と推測されます。

しかし、見習い時期の月給は10万円前後が多くなっているようです。その分寮を完備していたり、食費も賄いがあったりすることから、額面ほど生活は厳しくないでしょう。30代で月収25万前後、40代で月収30万前後と推移します。

板前の昇給タイミングは?

日本料理店では、通常の仕事でいう部長や課長などのポジションはほとんど存在しません。あるとしても料理長、副料理長、現場主任くらいでしょう。

その代わりに重要になるのが、持ち場です。板場・煮方・焼き場・揚げ場・先付け八寸・脇鍋など、どの持ち場を担当するかによって店内における立ち位置も変わり、持ち場の重要度によって給料も変動します。「持ち場によってお給料が変わる」というよりは、重要な持ち場を任されるようになるにつれて給料も昇給するといったイメージ。後進の育成のために重要度が下がる持ち場に移動になったとしても、お給料が下がることはまずないでしょう。

また、もう一つの昇給タイミングとしては年数が挙げられます。飲食店にとって、お店のルールをしっかりと理解して働く人材は、重要度が高いとみなされるのです。長く勤めている人材にはそれだけ評価がプラスされ、給与も昇給するでしょう。

給料を上げる方法として、独立するという手もあります。最近では雇われ板前でも、海外だと高給を出すところも多いため、日本料理人を目指すには世界を視野に入れておくのもいいでしょう。

板前になるのに必要な修行

一人前の板前になるには、中学校や高等学校を卒業してから弟子入りする方法と、調理師の専門学校に通う方法があります。

専門学校には、ある程度知識や技術を蓄えてから、社会に出て働けるメリットがあります。しかし、調理師免許を持っているということと、実際に板前として活躍できるということは別物。日本料理の板前になるには、修行に長い年月を費やさねばなりません。その年数は2、3年から長ければ10年かかるともいわれています。

では、実際にどのような修行を行わなければならないのかについてみていきましょう。

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