茅の輪くぐりとは?
毎年6月と12月に行われる茅の輪くぐり(ちのわくぐり)という行事をご存知でしょうか。茅という植物から作った特大の注連縄をくぐるという日本では古来から行われてきた神事です。
今回は茅の輪くぐりが生まれた歴史や行われている時期、そして実際にくぐる際の作法などを紹介していきます。そこには日本古来から受け継がれてきた、様々な意味が込められています。
茅の輪くぐりの意味
茅の輪くぐりを行うことでどういった意味があるのでしょうか。
茅の輪くぐりには自分の中にある穢れを払い、無病息災を祈願するという意味合いがあります。こうすることで新たな気持でこれからの生活を迎えてほしいという気持ちも込められているのです。
なぜ茅の輪くぐりでは、茅という植物を使うのか、その理由は茅の形状にあります。茅を見た昔の人はまるで武器のような形状だと感じたようです。
それにより茅を使って何かを作ることで強力な魔を退ける力があると信じられてきました。この力を持って穢れを祓うというのが、茅の輪くぐりを行う意味なのです。
茅の輪くぐりの別名「大祓」とは
茅の輪くぐりは別名「大祓」とも呼ばれます。たくさんの人々の穢れを払うためにこういった呼ばれ方をしたのです。茅の輪くぐりは年2回行われますが、夏に行われる場合には「夏越の大祓」、年末に行われる場合は「年越しの大祓」と呼ばれることもあります。
大祓では茅の輪くぐり以外にも人形代(ひとかたやしろ)という行事も行われます。人形という人を象った紙に、自分の名前と年齢を書き、息を吹きかけ、それを川や海に流すことで清めるという行事です。
これにより自分の身代わりとして罪や穢れを請け負ってもらうというものです。近年では車の形状をした車形代というものもあり、運転手の名前や車両ナンバーを記載して罪や穢れを託して払ってもらうものや、家の形を模して、家の穢れを浄化するための家形代というものもあります。
この他にも京都などの一部の地域では、大祓に水無月というお菓子を食べる風習もあります。ういろうの上に小豆が乗った和菓子なのですが、小豆には邪気を払う効果があると言われ、これを食べることで、悪霊を寄せ付けない体になると言われています。
茅の輪くぐりの由来と歴史
茅の輪くぐりの歴史はとても古く、奈良時代に遍参されたとされる備後国風土記に由来となる話が収められています。
この本では正体を隠して旅をしていたスサノオと呼ばれる神様が、ある土地で宿を訪れます。すると裕福な巨旦将来という人物は宿泊を断りました。一方で貧しく豪勢なもてなしができずとも泊めてくれたのが兄の蘇民将来という人物でした。するとスサノオは蘇民に小さな茅の輪を渡し、これを腰に身に着けていれば災厄を逃れることができると言ったのです。
その後、その土地で疫病が流行、蘇民将来は茅の輪によって助けられたというお話です。この話を元に江戸時代に大きな茅の輪を作り、そこをくぐれば穢れを祓うことができる茅の輪くぐりという神事になったと伝えられています。
茅の輪くぐりが行われる時期
茅の輪くぐりは年2回行われます。6月30日と大晦日である12月31日の2回です。
夏の茅の輪くぐりのほうが一般的であり、6月30日だけ行うという神社もあります。夏の茅の輪くぐりは夏越しの大祓と言われ、夏の暑さが本格的になる前に、身体を清め、病気をしないようにという目的で行われます。その他にもお盆の時期には先祖だけでなく、水神様という神様を迎えるとされていました。
この水神様に粗相がないように6月のうちから身体を清め、準備をしておくために行われていたとも言われています。一方の12月に行われる年越しの大祓はその名の通り、その年のうちに穢れを払い、気持ちを晴れやかにして新年を迎えるための神事です。
どちらも気分を一新して新たな気持ちで生活を始めるためのものです。