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焼き物の聖地で作られた京都の伝統工芸品「清水焼」

京都の伝統工芸品「京焼・清水焼」

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京都の代表的な焼き物として名前の挙がる清水焼。この清水焼とは東山・山科の清水団地・宇治の炭山などの地域で生産されているものを指し、他の京都産の焼き物とまとめて「京焼」と総称されることもあります。そのため、この二つをまとめて「京焼・清水焼」として京都府の伝統工芸品に指定されています。

清水焼は、歴史ある京都の伝統工芸品

https://www.photo-ac.com/

京焼・清水焼の起源は定かではありませんが、雄略天皇時代の五世紀前半に宇治市や伏見区の陶工に御器を生産させていたという記録から長い歴史が存在しているとされています。

その後、奈良時代に僧行基が窯を築いたのが現在の清水寺参道の茶碗坂であるといわれています。

この京の焼き物を発展させた人物に挙げられるのが野々村仁清です。丹波の陶工であった野々村仁清は京焼に華麗な色絵を施し、当時の釡に多大な影響を与えました。

仁清の後にも尾形乾山や青木木米などの名工が京焼に息を吹き込み、現在の清水焼と呼ばれる品々にまでその技巧が受け継がれることとなりました。

個性のある伝統工芸品

清水焼の特徴

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清水焼は、決定づけられた特徴がないことが特徴となっています。有田焼や信楽焼、その他著名な焼き物は、原材料や技法によって独自のキャラクターを確立していることがほとんどですが、清水焼には決められた技法や土などは存在しません。これは京都という土地柄、地産の陶土がほとんど採れないために他地域から取り寄せた土をブレンドする必要があることや、都があったためあらゆる技術が集まる場所であったことに由来します。

現在では多くの窯元が存在しますが、それぞれが持てる技術力やアイディアを生かして独自の個性を追求しているため、多種多様な清水焼が生産されることとなっています。

清水焼の主な窯元

https://pixabay.com/

・清水焼の窯元①雲楽窯

清水焼の窯元が集まる山科・清水団地の町にある創業百年を超える歴史ある窯元です。

地の色が微かに青色に色づく「青抹陶」という釉薬を独自開発したことでも知られています。この釉薬を使用して作られた焼き物は、上品で柔らかい印象を与えます。

また、登り窯が主流だった時代に電気釡を導入するなど、焼き物への姿勢は常に挑戦的で、その気迫や情熱は作品のいたるところに表れています。

・清水焼の窯元②松斎窯

京都・東山の地で明治元年に開かれた釡です。

豊富な種類の土を扱っており、作られる品目が多いのも特徴であり強みです。その品々は伝統的な部分を残しつつ若い世代にも受け入れられるような洗礼されたオシャレなデザインで、日常で使う食器としても仰々しくなりすぎないものが多いです。

・清水焼の窯元③陶あん

東山にて大正十一年に創業し、高い独創性で京焼・清水焼のあり方を提案してきた窯元です。

その作品には華やかなものが多く、モチーフは主に草花を中心に取り扱っています。特に女性に喜ばれるようなデザインや色彩で、発色のいい釉薬が目を惹く品々です。

普段使いにしても食卓を彩り豊かに演出してくれるので、贈り物やお土産にも最適です。

清水焼の若手作家in京都

https://pixabay.com/

・清水焼の若手作家①米澤猛(米澤工房)

陶芸家の父から工房を受け継いだ後、京都市内の東山五条から西陣の地へ移り作品制作に力を注いでいる作家です。現在拠点にしている工房は元々織機を収めるために建てられた京町家で、風情あふれる建築となっています。

手がける作品はモノトーンが中心で、シンプルでありながら鋭いデザイン性が光るものが多いのが特徴です。

陶芸教室や一日陶芸体験などもあり、趣きのある町家で陶芸作品に囲まれながら実際に陶芸体験をすることができます。

・清水焼の若手作家②守崎正洋

大覚寺陶房で学び、工業試験場を経て京都市内の嵯峨野にて独立した作家です。

釉薬についての知識が豊富で、その知識量は手がける作品のカラーバリエーションにも反映されています。しかし、作品づくりの根底には「食器は主役である料理を引き立たせるためのもの」という考えがあり、主張しすぎず、それでいて美しい発色やカラーリングの見事なバランスを保つ作品が魅力です。

京都の焼き物といえば「五条坂・陶器まつり」

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清水焼発祥の地・五条坂では毎年陶器まつりが開催されます。このイベントは、京阪の清水焼五条駅付近から清水寺方面へ向けて多くの窯がずらりと店を並べます。その数はなんと400店以上にものぼり、毎年焼き物ファンから観光客まで多くの人で賑わいます。

価格帯は様々で、数百円のものもあれば数万円の焼き物も売り出されています。また、デザイン性も現代風のものから伝統的なものまで豊富なので、お気に入りの商品が見つかること間違いなしです。

京都の伝統工芸品 清水焼を日常に取り入れる

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清水焼は職人によって手作業で作られているため量産が難しく、同じデザインのものでも一つ一つに微妙なニュアンスの違いが存在します。自分の目で選んだものだからこそ愛着が湧き、それを使うことによってさらに焼き物特有の味や表情が出てくることでしょう。

また、焼き物の温かさは料理の美味しさを引き立たせてくれるので、ぜひ焼き物の聖地・京都清水で自分のお気に入りの焼き物を見つけて日々の食卓をより良いものにしてください。

北海道美唄市のソウルフード「鶏飯」のレシピを紹介

「鶏飯(とりめし)」と聞くとどこにでもありそうな名前だという感覚があるのですが、鶏肉とタマネギと米だけで作ることができる、北海道の一部地域における、れっきとした郷土料理です。
ところ変われば鹿児島県にも「鶏飯」と書く郷土料理があるのですが、こちらは「鶏飯」と書いて「ケイハン」と読みます。ご飯の上に茹で鶏や卵・漬物・薬味などが乗った鳥だし茶漬けのような料理になっています。漢字が同じでも全く別物です。
今回は、北海道の「鶏飯」にスポットを当てて、料理ができたルーツや作り方について詳しくお話します。

「鶏飯」とは

鶏飯は、北海道の美唄市(びばいし)の郷土料理です。「北海道」と一言でいっても広大な土地の中で、様々な文化が根付いており、各地方で食べられる料理も大きく異なります。「美唄市」は北海道の中心からやや西にずれた場所に位置していて、。札幌市からは車で約1時間半ほどで行くことができます。
美唄の鶏飯は、鶏肉とタマネギを甘辛い醤油味で炒め、その汁とご飯を一緒に炊き上げた炊き込みご飯です。鶏肉の旨味が詰まった脂がお米と合わさり、ピラフのような口触りです。
今も昔も米農家の多い美唄市。その昔、美唄市の方々はおもてなしをするときに自宅で飼っていた鶏を絞めて自家米と一緒に炊き込んだ「鶏飯」をお客さんに出していたそうです。
今では美唄市だけでも何店舗も鶏飯を食べられる専門店があり、札幌や遠方から鶏飯を食べるために2~3時間ドライブするお客さんもいらっしゃるほどの人気を誇っています。
最近人気の「体験型観光」では、「鶏飯づくり体験」も観光アクティビティーの一つとして人気です。

「鶏飯」のかんたんレシピをご紹介!

材料〔4人分〕
米 2合
鶏もも肉 1/2枚
玉ねぎ 1/2個
ショウガ 少々
〇醤油 大さじ2
〇みりん 大さじ2
〇砂糖 小さじ2
〇塩 少々

「北海道民の味付けは甘い」というウワサはその通りです。北海道民愛用のめんつゆは道民向けに甘めに作ってあり、本州に移住した道民は麺つゆの甘みの足りなさに物足りなく感じるそうです。
「炊き込みごはんにはいつも砂糖は入れないんだよね」というご家庭では、砂糖の量を減らして作ってみてください。たまねぎの甘みも合わさるので、砂糖が控えめでもおいしく召し上がれます。

鶏飯作りのポイント

炊き込みご飯ということで難しい点は全くありませんが、具材は一緒に炊き込まずに最後に混ぜ込むことがポイントです。鶏の脂がよくなじんだ甘めの醤油味のごはんと、玉ねぎのサクっとした食感がアクセントになります。

〔作り方〕
1.お米を研ぎ、浸水しておく。
2.玉ねぎを1㎝ほどの角切りにする。ショウガをみじん切り、またはすりおろす。
3.鶏もも肉を細かく切る。大体1㎝角以下で作る場合が多いが、細かさはお好みでOK。
4.フライパンに少量の油を入れ、玉ねぎ・鶏肉・生姜と一緒に〇の調味料を入れて炒める。 火が通ったら煮汁と具に分けておく。
5.お米をザルに上げ、炊飯器に入れる。4の煮汁を入れた後、2合の目盛りまで水を足して炊く。
6.お米が炊き上がったら具を炊飯器に戻して混ぜ込む。茶碗に盛り、紅しょうがを飾り完成。

道民は鶏飯とラーメンを一緒に食べる?!

レシピを見てみて、使う調味料の単純さと簡単さをわかっていただけたでしょうか?北海道のスーパーでは、鶏飯用に使える細かく切ったモモ肉を販売していることもあり、とても手軽にできます。
「早速鶏飯を作ろう、鶏飯と一緒にどんなおかずを食べようかな…」と悩んでいるあなたに続報です。なんと、北海道の美唄市では、この鶏飯と一緒に塩ラーメンを食べる風習があります。
「炊き込みご飯とラーメン」なんて、「お好み焼きとライス」のような炭水化物定食。育ち盛りや働き盛りの食事のように思いますが、美唄市では老若男女問わずこの組み合わせを食べています。そのワケはと言うと、鶏飯で有名な食堂のメニューに「ラーメンセット」というボリューム満点なセットメニューが設定されているからなのです。
さすがに「北海道民は家で鶏飯とラーメンを一緒に食べる!」というわけではありませんが、本場の食べ方として一度はラーメンとのコンビネーションも試してみてください。

まだある美唄市のソウルフード


鶏飯発祥の地美唄市には、鶏飯の他にもソウルフードがあることで有名です。どんな料理かと思いきや、「焼き鳥」と「焼きそば」という全国どこでも食べられている料理。しかし、それぞれ普通の焼き鳥と焼きそばではありません。
「美唄焼き鳥」は、鶏肉だけではなく鶏モツ(砂肝やハツ・キンカンなど)とタマネギを串にさして焼き上げた焼き鳥で、札幌にも専門店があるほど。「美唄焼きそば」はと言うと、しっかりソースの味がつけられた袋に入った袋からそのまま食べられる焼きそばです。
美唄市には、独特の食文化が育っているともいえるかもしれません。

終わりに

北海道では給食でも食べられている「鶏飯」。シンプルなレシピと味付けに、作ってみたくなった方も多いのではないでしょうか。作り方はいたって簡単ですが、大きな窯でしっかり鳥の出汁をとったお店の鶏飯はまた違った美味しさです。
ぜひ北海道でドライブをする機会に恵まれたときには、美唄市までラーメンセットを食べに行ってみてくださいね!鶏飯はもちろん、美唄焼き鳥と焼きそばもテイクアウトが可能です!

蒸し器がなくても大丈夫!東北地方の郷土料理「がんづき」の作り方


Photo by Norio Nomura

誰もが子どもの頃に口にしたことがあるであろう「蒸しパン」。どんな蒸しパンだったか覚えていますか?蒸しパンは、白い生地に甘納豆が入っていたり、カボチャやホウレン草が練り込んであったりとアレンジしやすく、バリエーションが豊富なおやつのひとつです。

そんな蒸しパンにも地域によって呼び名や作り方が少しずつ変わります。東北地方の岩手県宮城県郷土料理である蒸しパンの一種「がんづき」は、黒い生地にごまとクルミが乗っているのが特徴。

今回は、この「がんづき」の名前の由来や作り方についてご紹介します。

「がんづき」とは

「がんづき」とは、岩手県・宮城県を中心とした東北地方を代表する伝統郷土料理のひとつ。濃い茶色でふわふわとした生地の上に、ごまとクルミがまぶしてある蒸しパンです。

主な材料は小麦粉と黒糖で、重曹を混ぜてふっくらと仕上がっているのが特徴。さらに醤油や黒ゴマ、胡桃などをトッピングしたものや、白砂糖と牛乳を使用した白いがんづきもあります。

 

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また、蒸しパンともうひとつ、宮城県石巻市のういろうのような形状をしたがんづきも。材料の小麦粉は同じでも、砂糖と水を加えて練ったものを蒸して作っています。ういろうに似ていますが、比べると白くて透き通っているのが特徴。

また、ういろうは原料が米粉なのでどっしりとして、いかにも食べ応えがあります。しかし、ういろうに似たがんづきは、小麦粉を使用しているので一味違った歯ごたえです。やわらかい割にはしっとりとした食感で、若者からお年寄りの方まで、幅広い年齢層から人気があります。

がんづきの由来


photo by Hajime NAKANO

がんづきは、漢字で書くと「雁月」と書きます。由来にも諸説ありますが、鳥の「雁(ガン)」が真ん丸のお月様の下に飛んでいる様子をモチーフにして、丸い蒸しパンに黒ごま・クルミを乗せたことが発端だと言われています。また、見た目が雁の肉に似ていることからきたとも言われているんですよ。

初めて食べる人でも飽きのこない素朴さが、どこか懐かしく感じるがんづき。出来立てはほかほかでふんわり、冷めてもしっとりおいしいおやつです。

岩手県や宮城県では、お祝い事のときのお土産やお茶請け、おやつとして長く親しまれ、食べられてきました。黒砂糖が使用されていることから、ミネラルもたっぷり摂取できます。腹持ちのよい軽い食感が好まれて、今でも農作業の合間の栄養補給としてよく食べられているんです。

岩手県や宮城県に足を運ぶと、道の駅や農家のお母さんが運営している直売所には、必ずと言っていいほどかんづきが並べられています。その購入者のほとんどは地元の方々。1切れがおよそ100円〜と、とてもリーズナブルな価格で販売されているのもうれしいですね。

がんづきの作り方とおすすめレシピ

では、自宅でがんづきを作るときに活用していただきたい、おすすめレシピをご紹介します。家庭によってアレンジされていることもありますが、今回は基本のレシピと豆乳を使ったレシピの2つ。また、蒸し器がなくても作れる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

基本のがんづきレシピ

〔材料(直径20㎝の丸形)〕

薄力粉         150g
重曹          7g
卵           1個
黒砂糖         120g
食用油         小さじ1
ハチミツ        大さじ1
しょうゆ        小さじ1
水(または牛乳)    100㏄
酢           50㏄
ごま(ゴマ塩)、クルミ   適量

本来のがんづきには、日本の山で収穫できる和グルミ「オニグルミ」の実が使われています。しかし、和グルミはなかなか手に入れにくく、殻を割る手間があるので、手に入りにくい場合は海外産の西洋クルミで代用してOK。

また、重曹は掃除用の物ではなく「食品に使ってOK」などの記載があるものを選びましょう。

がんづき作りのポイントは、重曹と酢を合わせるタイミング。これらの材料を合わせると、すぐにシュワシュワと発泡します。これは、重曹と酢が化学反応を起こして、二酸化炭素を発生させているため。素早く混ぜ合わせて蒸し器に入れることが、がんづきをしっかり膨らませるポイントなのです。

〔作り方〕

①蒸し器を用意し、お湯を沸かしておき、蒸し器に入る型にクッキングシートを敷いておく
②薄力粉と重曹をふるい合わせておく
③ボウルに卵を割り入れ、泡だて器でよく混ぜる
④砂糖を2〜3回に分けて入れ、その都度よく混ぜる
⑤油、ハチミツ、しょうゆ、水の順番で混ぜていく
⑥⑤に2をふるい入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせる
⑦⑥に酢を入れる。気泡が出てくるのでゴムベラで切るよう手早く軽く混ぜる
⑧①の型に生地を流し入れ、ごまとクルミを乗せて蒸し器にセットする。このとき、蒸し器のふたにふきんをかぶせておくと、水がしたたり落ちる心配がない
⑨強火で15分ほど蒸して竹串を刺し、生地が付かないようであれば完成。火を止めて蒸し器から型を取り出し、冷ます

重曹とお酢の量を8割ほどに減らして調整し、小さいアルミカップやマフィン型に入れて作るのもおすすめです。小さくすれば蒸し時間も8割ほど短縮できますし、食べきりサイズなのでお子さんも手でちぎってパクパク食べられるのでおやつにぴったりですよ。

また、たくさん作って冷凍しておけば、解凍していつでもがんづきを食べられます。冷めたがんづきをラップで包み、冷凍庫へ入れて保存しておきましょう。

食べるときは、様子を見ながら電子レンジで20〜30秒温めると、ふわふわのがんづきに元通り。このとき、アルミカップを使ってしまうと電子レンジで温めることができないので、注意してくださいね。

北海道の晩秋の味「子和え」 たらこがたっぷり入った絶品レシピ

晩秋になると、北海道ではタラの水揚げシーズンがやってきます。タラの身は料理にするほか、かまぼこなどの練り物製品の原料として全国に流通していきます。タラのオスは白子(精巣)を持ち、メスはたらこ(卵巣)を持っているのですが、北海道では白子もたらこも余さず食べる郷土料理があります。

白子は味噌汁やたちポンなどの居酒屋メニューになるほか、かまぼこにも使われます。たらこは白いご飯にぴったりの、北海道のおふくろの味ともいえる郷土料理「子和え」に使われることがほとんどなのです。

今回は、その北海道の郷土料理、「子和え」のつくり方をお伝えします。

「子和え」とは

「子和え」は、タラの卵と付きこんにゃくを甘塩っぱい醤油味に炒め煮する郷土料理で、真鱈の卵を使用する家庭と、スケソウダラの卵(たらこの原料と同じ)で作る家庭とで分かれます。

秋の終わりから冬にかけて、北海道のスーパーに並ぶ「生たらこ」。これが、子和えに必須の食材です。「たらこ」と聞くと、ピンクでそのままご飯に乗せて食べる、調味液に既に漬けられたものを想像すると思いますが、それは「スケソウダラ」の卵(卵巣)を漬け込んだもの。次の写真に写っている皮が黒い生たらこは「真鱈」の生たらこです。この真鱈の子と一緒にスケソウダラの子も並ぶことがよくありますが、そちらも調味液に浸す前のたらこです。味が一切ついていなくそのままでは食べられません。

このたらこは何用かと言うと、煮物か佃煮用で、ほぼ「子和え」に使うためのものと言ってもいいくらい。また、北海道民は生たらこと一緒にかなりの確率でつきこんにゃくを購入しています。

「子和え」のかんたんレシピをご紹介!

写真では白いこんにゃくを使用していますが、黒こんにゃくで作る場合もあります。お好みのたらこで、お好みのこんにゃくを使って子和えを作ってみてください。

味付けは醤油と砂糖とみりん。酒や出汁を入れる場合もありますが、味のベースは変わりません。北海道民好みに、甘めに仕上げることがポイントです。

長ネギを入れないで、たらことつきこんにゃくだけで作るシンプルな子和えや、長ネギの代わりに玉ねぎを入れて作る家庭もあります。

材料〔作りやすい分量〕
つきこんにゃく 400g
真鱈の子 200g前後
長ネギ 1/2本
水 100㏄
しょうゆ 大さじ3
砂糖 大さじ2
みりん 大さじ2
刻み生姜 少々

子和え作りのポイント


〔作り方〕
1.つきこんにゃくを軽く茹で、臭みをとる。たらこは適当な大きさに切る。
2.小鍋に材料を全て入れ、たらこをほぐしながら炒め煮していく。
3.全体に味が染みるように時々かき混ぜながら、水分を飛ばして完成。

たらこはまるごと鍋に入れて炒め煮することで、粒がほぐれる部分と塊になった部分ができます。その塊の部分もしっかり味が染みてご飯に合うのですが、たらこの皮の食感が苦手な人や、家庭によってはたらこを皮からしごき出してから炒め煮する場合もあります。その場合、皮は捨ててしまいます。

皮は火が通ると若干硬くなり、噛み切りづらいこともありますが問題なく食べられます。

具材を代えてアレンジも


甘辛く煮つけたこんにゃくとたらこは、お弁当のおかずにもピッタリです。ほぐさずに子和えを作ったことでできる「たらこの塊」をおにぎりの具にすることもおすすめです。

つきこんにゃくをジャガイモや大根・切り干し大根に代えて煮つけても美味。たらこから出る油分や出汁が素材に旨味を与えてくれます。

冬の北海道グルメは、郷土料理「子和え」

北海道の居酒屋さんでは、「お通し」として「子和え」が出てくることもあります。小料理屋さんであれば運が良ければメニューにあることも。生たらこは北海道以南ではなかなか手に入りづらく、北海道の中でも期間限定です。秋から冬にかけて北海道に訪れる機会があれば、飲食店で探してみてはいかがでしょうか。

北海道の郷土料理「鍋壊し」 その名の由来とレシピを公開

寒さが厳しい北海道では、昔から食べ物で暖をとることが多くあったといわれています。家のいろりやかまどで、大なべ料理を作ると、調理の火と料理の持った熱で、家全体が温まるというなんとも理にかなった理由ですね。
今回は北海道の冬の味覚「鍋壊し」という鍋料理を紹介します。「鍋壊し」とは、北海道で広く食べられている郷土料理です。

「鍋壊し」とは

いくら聞いても考えても、食べ物の名前に聞こえない「鍋壊し」。北海道全域で食べられる「カジカ鍋」のことを「鍋壊し」とも言うのです。名前の由来は、「箸でなべ底を突っついて壊してしまいそうなくらいおいしいから」と言われている絶品鍋です。鍋にした時の美味しさから、カジカ自体を「ナベコワシ」と呼ぶ場合もあるほどです。
魚へんに「秋」と書いて鰍(カジカ)とも書くように、秋から旬が始まるカジカ。東北から北海道にかけての冷たい海域に住む魚です。冬の季節が一番、脂が乗りおいしいので、根野菜と一緒に汁物にしたり、鍋にして食べられることが多いです。
カジカの見た目は大きくて、強面の顔に、ぼてっとした体が特徴です。顔に似つかず、身自体の味は淡泊で、ゼラチン質のプリプリした皮と濃厚な肝が人気のお魚です。
作る人によって、味付けや材料が変わるのですが、今回は「味噌ベースの肝を溶かしたバージョン」のレシピをご案内します。

【「鍋壊し」のかんたんレシピをご紹介!


材料〔4人分〕
カジカ 1パック(約300g)
大根 1/6本
人参 1/2本
長ネギ 1本
ゴボウ 5㎝~10㎝
しいたけ 4~5個
水 500㏄
昆布 10㎝ほど
味噌 40g~60g(味噌の塩分によって調整)
みりん 大さじ2
塩 お好みで

他にもジャガイモやキノコ類を入れたり、白菜・キャベツを入れてボリュームを出す場合もあります。鍋料理ですので決まった材料はないと思っていただいて大丈夫。ただ、カジカだけは忘れずにご用意ください!

鍋壊し作りのポイント

〔作り方〕
1.ぶつ切りのカジカに熱湯をかけ、臭みを抜く。肝はザルなどで濾しておく。
2.カジカと昆布とを水に入れ、沸騰直前で昆布を取り出す。
3.アクを取りながらカジカを煮ていく。
4.野菜を入れ、素材が柔らかくなってきたら調味料を入れ、味を調えて完成。

魚を鍋や汁物にするときに重要なのが、湯引きとアク取りです。お湯をかける、または沸騰したお湯の中に魚を入れて、色が変わってきたらザルにあげると良いです。魚特有の生臭みを軽減することができ、一緒に鍋に入れた他の食材への臭い移りも防ぐことができます。少々手間ですが、美味しく魚を食べるためにはやっておきたい下準備です。

肝は溶かす派?溶かさない派?


どこの郷土料理も地域や家ごとに作り方が変わるものですが、鍋壊しも同様です。味付けはしょうゆベースだったり味噌ベースだったり、肝をぶつ切りにして鍋に具として入れる家庭もあれば、肝をスープに溶かして肝の濃厚さをスープに移す食べ方もあります。
このカジカの肝の濃厚さと言ったら、「海のフォアグラ」とも言われているほど。ねっとりとろけるような口触りに肝好きならとりこになること間違いありません。肝を鍋にゴロゴロいれると家族で取り合いになってしまいそうな場合は、穏便に溶かし込んでしまうという手もアリかもしれません。
同じ家でも作る日によって味や作り方を変えることもある「鍋壊し」は、北海道民の鍋料理のレパートリーの一つと言っても過言ではありません。カジカの旨味が染みた野菜は、美味しくてどんどん箸が進んでしまいます。

終わりに

北海道の冬の郷土料理、カジカ鍋の通称「鍋壊し」の紹介でした。北海道のスーパーでは鮮魚売り場に鍋壊し用のカジカのぶつ切りパックが並んでいるのが普通ですが、東北以南では入手が難しいかもしれません。
代用可能な魚と言うと、身も肝もアンコウのような味と言えるので、もしアンコウの方が、入手が簡単なのであれば同じレシピでアンコウの鍋壊しを作ってみることをお勧めします!冬の北海道観光の機会がある際には、ぜひ鍋壊しに舌鼓を打ってみてください。

京都 老舗足袋屋で指先までフィットしたマイ足袋を

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和装小物のひとつ、足袋。
奈良時代以前に中国から伝わり、時代とともに皮から木綿へと素材が変化し、現在はニット、レースなどでもつくられています。

「おしゃれは足元から」という言葉もあるように、足袋は目立たずとも大切な存在です。
今回ご紹介するのは、そんな足袋の専門店、「分銅屋足袋」です。京都には、着物に関係するものを扱うお店がたくさんあります。そして、「分銅屋足袋」もそのひとつ。足袋のオーダーメイドができるお店です。

分銅屋足袋の歴史

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分銅屋足袋があるのは、京都の街中・三条通。
モーニングで有名な「イノダコーヒ」や、チョコレート専門店「ベルアメール京都別邸」のすぐそば、落ち着いたたたずまいと、歴史を感じる看板が目印です。

京都市内には江戸時代から続くお店が数多く存在しますが、分銅屋足袋も江戸末期にあたる、1864年創業という老舗です。店名の由来「分銅」は、実は元々漢方薬を扱うお店だったため、薬を調合するために使う、分銅というはかりからきているのだとか。

足袋をつくり始めたのは明治に入ってからだったそうですが、長い歴史があることには違いありません。代々、受け継がれてきた足袋づくりの技術を示すように、店内に入るとミシンの音、ショーケースの中には色とりどりの足袋が並べられています。

確かな歴史を刻んできた老舗ならではの空気感。その中にいると、ちょっとレトロな時代にタイムスリップしたような気持ちにもなりそうです。

分銅屋足袋ができるまで

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分銅屋足袋の作る足袋は、生地を裁断し、留め具である「こはぜ」をつけ、ミシンをかける・・・と、ひとつの足袋をつくりあげるまで、12の工程があるそうです。こはぜは今も、一つひとつが手縫いでつけられています。裁断からできあがりまで、職人の手による丁寧なものづくりが行われています。

分銅屋足袋で自分サイズを購入する

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分銅屋足袋で足袋を購入するときは、まず自分の足の大きさを測ってもらい、足の大きさと同じサイズの足袋を試着し、サイズ感を確かめます。

サイズがピッタリ合えば、そのままお店に置かれているものの中から気に入ったものが選べます。もししっくりこなければ、足の形に合わせてセミオーダーが可能です。

分銅屋足袋では、市販の足袋ではサイズが合わない人のために、横幅が広い人用の足型や、指の短い人用の足型など、さまざまな型が用意されています。もちろん、足型に合わない人の場合は、その人の足に合わせた足型を作り、あつらえてもらうこともできます。仕上がりまで10日間ほど見ておく必要がありますが、既製品では足が合わない人にとっては、心強いお店です。

足袋の種類も、定番の白足袋のほか、おしゃれな色足袋が用意されています。京友禅を使った色足袋は、50年ほど前に客として訪れた、舞台役者の一言がきっかけで生まれ、人気の商品となりました。

「足袋は着物」というイメージがありますが、柄足袋を靴下がわりに履くのもアリです。ピタッと足にフィットする足袋を履くことで、気持ちもしゃんとしそうですね。

分銅屋足袋の足袋は、その場での購入もOKなので、しっかりしたつくりと、かわいい柄などの理由から、お土産やプレゼントにされる人もいるようです。

分銅屋足袋でつくる足袋の魅力

「指先までフィットした足袋をつくること」。
これが分銅屋足袋のこだわりです。

自分の足に合った足袋を履いたときは、足先までピシッと決まります。サイズが合っていて、指先までしっかり足袋が履けていると美しく、着物も引き立ち、足さばきも上品になるのだそうです。

「足の大きさは問題ないのに、足首の大きさが合わなくてこはぜが留められない」、「こはぜの部分はピッタリだけど足の指先が合っていない」・・・人によっては、既製品では履いてみてガッカリ、ということがあるかもしれません。ですが、分銅屋足袋ではまず試着し、サイズ感を確かめられます。本当に自分に合うか、オーダーが必要かを確認できる安心感は、専門店だからこそ得られるものといえるでしょう。

一つひとつ手作りの足袋は、見た目の美しさだけでなく、丈夫さも兼ね備えています。お手入れはクリーニングいらずで、汚れたら石鹸とブラシを使って手洗いでOK。手洗いをすることが、型崩れを防ぎ、結果的に長持ちにもつながります。

自分用にも、プレゼントにも。分銅屋足袋で粋な足元を

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最近は足袋型の靴下や、履き口がゴムになった足袋もありますが、自分に合ったサイズの足袋は履き心地も抜群。せっかくおしゃれをするなら、足元までビシッと決めたいですよね。

分銅屋の色足袋はおしゃれなものも多く、着物だけでなく普段着に使っても粋な雰囲気が演出できそうです。
お店もアクセスしやすい場所にあるので、京都に訪れた際はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

所在地:京都市中京区三条通堺町角

営業時間:9:30~18:30
定休日:日祝日
お問い合わせ:075-221-2389
交通アクセス:市営地下鉄「烏丸御池」駅下車、徒歩約5分
阪急「烏丸駅」下車、徒歩約10分

スタミナ満点! 北海道の郷土料理「石狩鍋」のレシピ

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北海道のおみやげ屋や物産展では必ず並ぶ鮭や、鮭の加工品。

鮭は、北海道では焼き魚やムニエルの他、「ちゃんちゃん焼き」という味噌と野菜と一緒に蒸し焼きにした郷土料理にするなど、古くから日常的に食べられている魚です。
今回は、北海道の札幌近郊に位置する「石狩湾(いしかりわん)」や「石狩川」で良く食べられてきた郷土料理「石狩鍋」のレシピをご紹介します。

【「石狩鍋」とは】

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「石狩鍋」は、鮭のアラ(切り身などにした後に残る骨や骨周りの身や、頭)が入った味噌味の鍋のことを指します。(写真奥の白く細長いものは、鮭の白子です)
名前に付いている「石狩」は、北海道の「石狩地方」にある「石狩川」に由来しており、石狩川は鮭が遡上する大きな河川です。その昔、料理店の店主が石狩地方で獲れた鮭を野菜と一緒に鍋にしたものを、「石狩鍋」と言ったのがはじまりといわれています。

鮭は産卵時期に生まれた川に戻って産卵・交尾をする習性があり、北海道の川では、秋になると毎年大きな鮭が遡上してきます。川に上ってくる鮭を漁獲することは資源保護の関係で禁止されているのですが、毎年川を上ってくる鮭を見ると生き物の生命力や力強さに圧倒されます。

北海道と言うと、先住民族であるアイヌが有名ですね。アイヌの方々は鮭を「神の魚」と呼び、特別な存在としていました。皮や頭まできれいに食べるため、アイヌの方々も鮭を石狩鍋のように汁物にしていたそうです。(アイヌ語で「オハウ」という汁物)

【「石狩鍋」のかんたんレシピをご紹介!】

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鍋料理なので、鮭以外には入れなくてはいけない決まった食材はありません。白菜の代わりにキャベツを入れる場合や、玉ねぎ・じゃがいもを入れることもあります。木綿豆腐も捨てがたいですね。
北海道の有名居酒屋さんの鍋コースで出てくる石狩鍋には、鮭だけではなくホタテやカニが入っていたり、仕上げにイクラが乗っていたりと豪華な石狩鍋も目にします。

材料〔4人分〕
鮭のアラ 3~500g(1パック)
大根 1/6本
白菜 3~4枚
長ネギ 1本
人参 1/2本
キノコ類 お好みで
味噌 40~60g(味噌によって調節)
みりん 大さじ3
昆布 10~20㎝

【石狩鍋作りのポイント】

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鮭のアラには骨がたくさんついているので、身や骨から出汁が出ます。鮭と一緒に同じく北海道名産の昆布を入れることで、旨味たっぷりの鍋ができるのです。

昆布は沸騰させたお湯の中に入れていると雑味が出やすいので、沸騰直前で取り出すことがポイント。取り出した昆布は漬物や煮物の具として再利用もできます。

〔作り方〕
1.鮭のアラを食べやすいように切る。(※骨が固いので手を切らないように注意)
2.1をざるに入れ、沸騰したお湯をかけて湯引きする。
3.鍋に火の通りにくい野菜と昆布を入れ、火にかける。
4.昆布は沸騰直前に取り出し、他の食材を入れて鮭のアクをとりながら煮込む。
5.味噌とみりんで味付けをし、完成。お好みで一味や七味唐辛子を振り掛ける。

【石狩鍋のしめはラーメン】

アラと一緒に白子も売っているのであれば、一緒に鍋に入れてみましょう。クリーミーな白子が入っていれば取り合いになってしまうほどおいしいです。

鍋と言えば、最後に待っているのがしめ。北海道のスーパーでは、スープの素などが付いていない生ラーメンだけの商品が何種類も並んでいて、北海道の鍋料理ではよくしめにラーメンを入れて食べます。ラーメンを表示の茹で時間より少し硬めに茹でて水で洗い、一口大に分けておき、食べたい量を少しずつ鍋に入れるのが北海道流。
具材の出汁が良く溶け込んだ鍋スープは、ラーメン屋さんでは食べられない滋味深い味です。

【鍋が多いこの季節に、北海道の郷土料理で食卓を粋に】

北海道の秋の味覚、鮭。その鮭を入れた「石狩鍋」は、旬の野菜と鮭の栄養がたくさん摂れるスタミナ満点の鍋料理です。鮭のアラが手に入った時は、ぜひ大人数で石狩鍋を囲ってみてはいかがでしょうか?せっかく石狩鍋を作るのでしたら、〆のラーメンまでゆっくりお楽しみください。

手仕事が生み出す伝統美「京からかみ」のある暮らし

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京からかみは、絵の具、道具、文様すべてに伝統が受け継がれ、一枚一枚が手仕事によって生み出される、長い歴史を持った加工紙です。

日本では古くから、ふすまや屏風などに用いられてきました。美しいだけでなく、温もりも感じられる京からかみは、現在、壁紙をはじめ、室内装飾にもよく用いられています。
古典的なのにモダン。そんな京からかみの魅力をご紹介します。

京からかみの歴史

京からかみは、奈良時代に中国から伝わった「唐紙(からかみ・とうし)」を元に、平安時代ごろから作られるようになりました。伝来した当時は紙が貴重だったこともあり、使えるのは貴族や上流階級の人々が手紙や写経をするのに限られました。しかし、京からかみが作られるようになると、貴族が住む家のふすまや障子にも使われるようになりました。

時代とともに、公家以外にも武人や茶人へと浸透していき、江戸時代には、庶民にも親しまれる存在となります。洛北・鷹峯には、本阿弥光悦らによって「芸術村」が築かれ、光悦桐や光琳松、光琳菊など、今も活用される意匠が数多く生まれ、日本独自の美が発展しました。現在は室内装飾としての新しい用途も生まれ、伝統の技は守られ続けています。

京からかみの手法

京からかみは、版画のように文様を摺り上げてつくられます。伝統文様を手彫りした版木や、使用される顔料、一枚一枚手の平を使って文様を摺り上げる手法は、京からかみに受け継がれている伝統です。

1. 絵の具をつくる
まずは接着剤となるノリをつくり、そこに雲母(きら)や胡粉(ごふん)などの顔料を調合し、色調を整えます。雲母は、通常「うんも」と呼ばれる鉱物で、京からかみを作る上で欠かせない顔料です。
2. ふるいに移す
調合した絵の具は、専用の刷毛を使ってふるいに移します。
3. 版木に移す
ふるいを版木に軽く押し付け、色を移します。
4. 紙を置く
版木の上に和紙や鳥ノ子紙などをおろします。
5. 手の平で摺る
手の平でなでるようにして摺り、柄をつけていきます。手の平を使うことで、べったり均一な印刷のような仕上がりにならず、少しムラや量感のある模様を生み出すことができます。
6. もう一度紙を置き、手の平で摺る
摺った紙をめくり、再びふるいの絵の具を版木に移し、もう一度紙を置き、手の平で摺ります。わずかでもずれると、柄が切れたり、重なったりして作品にはならないので、職人の技が光る場面です。同じ模様を二度摺るのは、京からかみの特徴である、ふっくらとして立体的な質感を生み出し、あたたかみのある風合いに仕上げるためです。
7. 摺り上げた後、乾燥させる
摺り上がったらそっとめくり、乾燥させます。

京からかみの種類

京からかみの文様には、古代から用いられている中国的な文様をはじめ、さまざまな種類が存在します。中でも桐の紋様は、身分の高い者にだけに使用が許されたため、数多くのアレンジがなされてきました。

そんな数多い文様の種類ですが、使う人の生活感覚や社会的地位、どんな部屋に使用するかなどによって、用いられるものは異なりました。今でも、公家好み、茶方好み、寺社好み、武家好み、町家好みとそれぞれの身分の人たちが好んだ文様の種類が分けられています。

公家好み
公家好みは、公家たちが好んだ文様のことです。有職文様のような、優雅で気品のある文様が好まれました。例えば、菊、桐、竹、松、楓などの草花紋、菱、角、円、七宝などの幾何学紋を組み合わせたものや、鶴、青海波、雲文などです。

茶方好み
茶方好みは、茶人たちに愛された文様です。茶方好みは幾何学紋より、植物文様が多いです。繊細で洗練されたデザインのものが多く、茶道の家元は独自の柄もつくり出しました。有名なものだと、表千家好みの千家大桐や、裏千家好みの四季七宝、武者小路千家好みの吉祥草などです。

寺社好み
京からかみは、寺社でも用いられました。寺社は広い空間も多いため、瑞雲や霊芝雲など、雲をモチーフにした大柄の文様が好まれました。ときには金箔や銀箔も用いられることがあります。

武家好み
武家好みでは値引松、紗綾型など、少し硬さのある幾何学紋が多く用いられました。武家らしく、男性的な雰囲気が特徴です。

町家好み
町人たちが好んだとされる町家好みの種類は、花鳥風月、四季折々の文様など多岐にわたります。どちらかというと寺社好みとは反対の、小柄でつつましい印象のものが多いです。

京からかみのある暮らし

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伝統的な京からかみの使い方としては、寺院や茶室のふすまや屏風、衝立などに使われてきました。しかし現在は、ホテルや一般家庭でも、壁紙や照明など、インテリアとして使用し、室内装飾に取り入れることが増えています。

ほかにもポストカードや便箋、ポチ袋など、手軽に手にできる大きさ、価格の京からかみ製品もつくられ、その用途はさらに広がっています。

京からかみの体験

京都市内には、京からかみの製作体験ができる施設「唐丸」があります。施設は、ふすまや表具などを手掛けている株式会社 丸二が運営しています。唐丸では、版木の小判摺り体験や、はがきづくり体験などができます。京都観光の際に足を運ぶのもおすすめです。

唐丸(運営:株式会社 丸二)
所在地:〒600-8076京都市下京区高辻通柳馬場西入泉正寺町460
営業時間:10:00~17:30
体験料金:1,800円~
定休日:月曜、日祝日、盆正月
お問い合わせ:075-361-1324
URL:http://www.karamaru.kyoto/index.html#top
http://maruni-kyoto.co.jp/

室内装飾の粋。京からかみ

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日本語には、「きらめく」という 言葉がありますが、京からかみに使われる顔料の雲母は、うっすら上品に光る特徴があります。

かつて電気のなかったころ、人々はろうそくのほの暗い空間で過ごしていました。京からかみは雲母によって、ろうそくの明るさでも唐紙の文様が浮かび上がり、炎のゆらめきにあわせてきらめき、情緒のある空間を演出したそうです。

現在も、その上品なきらめきと手仕事で生まれるあたたかみは、私たちの心を和ませてくれるはずです。京からかみは、壁紙やふすまなど、室内装飾の中でもわき役と呼ばれる部分に使うことが多い存在です。ですがそのきらめきは、主役にも近い美しさがあり、取り入れればきっと粋な空間が生まれることでしょう。

日本の技術をぎゅっと凝縮 福井県鯖江市のメガネブランドBJ CLASSIC

メガネの街として有名な福井県鯖江市には、重厚で高級感のあるフレームだけでなく、カジュアルな服装にぴったりのメガネブランドがあることをご存知でしょうか。今回ご紹介するのは鯖江のメガネブランド、「BJ CLASSIC(以下 BJクラシック)」です。

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近年は安価で大量生産されたメガネを取り扱うメーカーが全国展開し、店舗数を増やしています。しかし、メガネは顔につけるということもあり、人の印象を決める重要なものです。上質でこだわりのあるフレームを、時間をかけて選んでみてはいかがでしょうか。BJクラシックのメガネはデザインやカラーが豊富なため、老若男女問わず、あなたのお気に入りの一本が見つかるはずです。

おしゃれなのに実用的、毎日使いたくなるBJクラシックのメガネ

メガネは本来、眼の補助や太陽光線に含まれる有害な紫外線をカットするためのモノであり、実用性を優先することが多いかもしれません。しかし、毎日使用するものなので、洋服や靴、バッグと並んでデザイン性も気になります。福井県鯖江市は重厚感のある高級なメガネで有名ですが、実はカジュアルな服装にも似合う、おしゃれで使いやすいメガネも生産されています。

高級感のあるメガネは重かったり、意外に掛けにくかったりということもありますが、BJクラシックのメガネは掛け心地が軽やかで疲れにくいところが特徴です。メガネをかけた時に重みを感じさせないチタンを使用しているものが多いのですが、ツヤのあるゴールドやブラックなど色が多彩で、新しい感覚を覚えつつもどこか懐かしさも感じるクラシックなデザインとなっています。

シンプルでいつの時代も変わらないクラシックなメガネ

BJクラシックを企画、生産をしているのはブロスジャパンという福井県鯖江市のメーカーです。もともとは世界最古のメガネのメーカーである「アメリカンオプティカル」の取扱代理店から始まりました。しかし、西洋人向けではなく日本人の骨格に似合う、使いやすいクラシックなメガネを開発したいということが発端となり、2005年にブランド展開を始めました。

BJクラシックではメガネを作っている職人たち自身が、本当に心から気にいるメガネを作るということにこだわっており、上質かつ高品質なメガネが揃っています。そのデザイン性もさることながら、小さなネジのひとつひとつなど、メガネの細部まで意識して作られており、BJクラシックのメガネはまさに日本のものづくりの極みのひとつと言っても過言はないでしょう。

時間が経っても色褪せない、いつまでも使用できる至極の一品がここにあります。

日本に古くから伝わる技術とのコラボレーションも魅力的

福井県鯖江市はメガネだけで注目されがちですが、漆塗りも盛んに行われています。BJクラシックでは、この漆塗りとメガネをコラボレーションさせ、「越前漆職人シリーズ」としての展開も行われています。漆の代名詞的存在である、赤色と黒色をメガネフレームにあしらい、一見通常のメガネのようでいて、実は日本の伝統的な漆塗りが取り入れられているという日本ならではのコレクションになっています。

また、ブランドの垣根を超えた限定コラボレーションも数多く行われており、いつ見ても新しい画期的なデザインを感じられながらも、クラシックな雰囲気をまとっています。

ワンランク上のメガネで日本の技術を体感する

日本製でこだわりの一品を取り入れるには敷居が高いと感じる方に、鯖江のBJクラシックはオススメです。メガネであれば、せっかく買ったのに使わずにしまっておいたままということにはならず、ファッションの一部としても気軽に取り入れられるのではないでしょうか。

 

出典:OPTICAL-SHOP NAGAI

インスタ映えする色違い野菜 シルク茄子をご存知ですか?

真っ白な見た目がインパクト大!シルク茄子をご存知ですか?

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シルク茄子は、兵庫県北部にある豊岡市但東町で栽培されている、オリジナル野菜です。

但東町は江戸時代から、「但馬ちりめん」の産地として栄えた町で、福知山や丹後地方と接し、京阪神方面から出石・城崎へと抜ける途中に位置します。美人湯として人気の「シルク温泉」や、春はチューリップ祭り、秋は安国寺のドウダンツツジが有名です。
今回は、そんな但東町でつくられるシルク茄子の魅力や、その白さの秘密をご紹介します。

純白茄子とも呼ばれる個性派・シルク茄子

シルク茄子は、アメリカ原産の品種を改良して生まれたもので、純白茄子と呼ばれることもあります。茄子といえば、ツヤツヤした濃紺色が思い浮かびますが、シルク茄子はその名の通り、真っ白な見た目が特徴です。個性的な見た目なので、初めて見ると茄子とは分からないかもしれません。

シルク茄子はなぜ白い? 原因はその色素に

シルク茄子が真っ白な理由は、色素がまったくないからです。といって、栄養までなくなったわけではありません。
むしろ、ほかの品種に比べ糖度・水分量は約2倍、ビタミンEもニンジン、ゴボウより多く、通常の茄子の約2倍もあり、そら豆やセロリの約3倍を含むといわれています。

ビタミンEは、抗酸化作用や血中コレステロールを下げる効果があり、ビタミンEを含まない野菜も多いので、シルク茄子は栄養価の面でも上々といえます。実のしまりがよく、形が崩れにくいので調理しやすく、口当たりも滑らかです。

暑い夏にさっぱり!シルク茄子のおひたし

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シルク茄子は皮が少し硬いので、素揚げしておひたしにするのがおすすめです。皮をむいてから素揚げしてもいいですし、皮つきなら包丁で皮に切れ目を入れると火が通りやすいです。

素揚げしたシルク茄子は、ソーメンつゆにつけこみ、冷やして食べるのがおすすめです。刻み葱、おろしショウガを添えるとさっぱりして、暑い夏にぴったりの味になること間違いなしです。

焼けばトロトロ、ソテーや焼きナスに

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シルク茄子は実がしっかりしていて、煮たり焼いたりしても形が崩れにくいので、田楽や、衣をつけて天ぷらにして食べるのにも適しています。また、シルク茄子特有のトロトロ感を味わうなら、焼きナスやステーキ、ソテーにして食べるのもおすすめです。一般的な茄子よりも糖度が高いシルク茄子だからこそ、加熱することでクリーミーな味わいを楽しめます。

気になるシルク茄子の購入方法は?

シルク茄子は但東町にある温泉、「シルク温泉やまびこ」の売店や、大手通販サイトで購入できます。直売店では地方発送も可能です。最近は収穫・流通する量が増加傾向にあり、京阪神の市場でも取り扱われるようになりました。

それでも、シルク茄子は通常の茄子に比べ、生産量が限られるため、市場へ出回る量も一般的なものより少なくなっています。一般的な茄子と同じく夏場に収穫時期を迎えますが、希少なため、販売期間も限定される場合があります。

シルク茄子を使ったカレーも販売中

シルク茄子を販売している但東シルクロード観光協会では、シルク茄子を使ったレトルトカレーも販売しています。価格は1パック500円(税別)で、「シルク温泉やまびこ」の売店で購入できるほか、シルク温泉やまびこ内のレストランでも食べることができます。

お肉には但馬牛のひき肉が使われ、大きめにカットされたシルク茄子がゴロゴロ入っているます。季節に関わらず、シルク茄子のみずみずしさを味わえる一品です。

<お問い合わせ>
但東シルクロード観光協会:0796-54-0141(シルク温泉やまびこ)

ツタンカーメン? シルク茄子以外にもあるシルク野菜とは

但東町では、シルク茄子を含め、シルク野菜といわれるシルクコーンや、ツタンカーメンの栽培が行われています。シルクコーンは、シルク茄子同様、真っ白な見た目が特徴的で、シャキシャキした食感と甘みの強さが特徴です。新鮮なものなら、生で食べられるほどです。

ツタンカーメンは真っ白ではないですが、豆は緑色なのに見た目(さや)が紫色というのが特徴のえんどう豆です。どちらも収穫時期になるとシルク茄子と同じように、シルク温泉やまびこ内の売店や、京阪神の市場へ出荷されます。機会があればぜひ、召し上がってみてください。

一味違う、シルク茄子。見て、食べて楽しめる

見た目も栄養もばっちりのシルク茄子。生野菜として手に入る時期は限られるかもしれませんが、カレー販売など、通年を通して食べられる商品も登場しています。

一般的な茄子と違う見た目を持つだけではなく、クリーミーな味わいに加えて、栄養も抜群というのがシルク茄子の魅力的です。ほかのシルク野菜とともに、見かけたときはぜひお手に取り、味わってみてはいかがでしょうか。

出典:農Pro