北海道の郷土料理「鍋壊し」 その名の由来とレシピを公開

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寒さが厳しい北海道では、昔から食べ物で暖をとることが多くあったといわれています。家のいろりやかまどで、大なべ料理を作ると、調理の火と料理の持った熱で、家全体が温まるというなんとも理にかなった理由ですね。
今回は北海道の冬の味覚「鍋壊し」という鍋料理を紹介します。「鍋壊し」とは、北海道で広く食べられている郷土料理です。

「鍋壊し」とは

いくら聞いても考えても、食べ物の名前に聞こえない「鍋壊し」。北海道全域で食べられる「カジカ鍋」のことを「鍋壊し」とも言うのです。名前の由来は、「箸でなべ底を突っついて壊してしまいそうなくらいおいしいから」と言われている絶品鍋です。鍋にした時の美味しさから、カジカ自体を「ナベコワシ」と呼ぶ場合もあるほどです。
魚へんに「秋」と書いて鰍(カジカ)とも書くように、秋から旬が始まるカジカ。東北から北海道にかけての冷たい海域に住む魚です。冬の季節が一番、脂が乗りおいしいので、根野菜と一緒に汁物にしたり、鍋にして食べられることが多いです。
カジカの見た目は大きくて、強面の顔に、ぼてっとした体が特徴です。顔に似つかず、身自体の味は淡泊で、ゼラチン質のプリプリした皮と濃厚な肝が人気のお魚です。
作る人によって、味付けや材料が変わるのですが、今回は「味噌ベースの肝を溶かしたバージョン」のレシピをご案内します。

【「鍋壊し」のかんたんレシピをご紹介!


材料〔4人分〕
カジカ 1パック(約300g)
大根 1/6本
人参 1/2本
長ネギ 1本
ゴボウ 5㎝~10㎝
しいたけ 4~5個
水 500㏄
昆布 10㎝ほど
味噌 40g~60g(味噌の塩分によって調整)
みりん 大さじ2
塩 お好みで

他にもジャガイモやキノコ類を入れたり、白菜・キャベツを入れてボリュームを出す場合もあります。鍋料理ですので決まった材料はないと思っていただいて大丈夫。ただ、カジカだけは忘れずにご用意ください!

鍋壊し作りのポイント

〔作り方〕
1.ぶつ切りのカジカに熱湯をかけ、臭みを抜く。肝はザルなどで濾しておく。
2.カジカと昆布とを水に入れ、沸騰直前で昆布を取り出す。
3.アクを取りながらカジカを煮ていく。
4.野菜を入れ、素材が柔らかくなってきたら調味料を入れ、味を調えて完成。

魚を鍋や汁物にするときに重要なのが、湯引きとアク取りです。お湯をかける、または沸騰したお湯の中に魚を入れて、色が変わってきたらザルにあげると良いです。魚特有の生臭みを軽減することができ、一緒に鍋に入れた他の食材への臭い移りも防ぐことができます。少々手間ですが、美味しく魚を食べるためにはやっておきたい下準備です。

肝は溶かす派?溶かさない派?


どこの郷土料理も地域や家ごとに作り方が変わるものですが、鍋壊しも同様です。味付けはしょうゆベースだったり味噌ベースだったり、肝をぶつ切りにして鍋に具として入れる家庭もあれば、肝をスープに溶かして肝の濃厚さをスープに移す食べ方もあります。
このカジカの肝の濃厚さと言ったら、「海のフォアグラ」とも言われているほど。ねっとりとろけるような口触りに肝好きならとりこになること間違いありません。肝を鍋にゴロゴロいれると家族で取り合いになってしまいそうな場合は、穏便に溶かし込んでしまうという手もアリかもしれません。
同じ家でも作る日によって味や作り方を変えることもある「鍋壊し」は、北海道民の鍋料理のレパートリーの一つと言っても過言ではありません。カジカの旨味が染みた野菜は、美味しくてどんどん箸が進んでしまいます。

終わりに

北海道の冬の郷土料理、カジカ鍋の通称「鍋壊し」の紹介でした。北海道のスーパーでは鮮魚売り場に鍋壊し用のカジカのぶつ切りパックが並んでいるのが普通ですが、東北以南では入手が難しいかもしれません。
代用可能な魚と言うと、身も肝もアンコウのような味と言えるので、もしアンコウの方が、入手が簡単なのであれば同じレシピでアンコウの鍋壊しを作ってみることをお勧めします!冬の北海道観光の機会がある際には、ぜひ鍋壊しに舌鼓を打ってみてください。

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