和装小物のひとつ、足袋。
奈良時代以前に中国から伝わり、時代とともに皮から木綿へと素材が変化し、現在はニット、レースなどでもつくられています。
「おしゃれは足元から」という言葉もあるように、足袋は目立たずとも大切な存在です。
今回ご紹介するのは、そんな足袋の専門店、「分銅屋足袋」です。京都には、着物に関係するものを扱うお店がたくさんあります。そして、「分銅屋足袋」もそのひとつ。足袋のオーダーメイドができるお店です。
分銅屋足袋の歴史
分銅屋足袋があるのは、京都の街中・三条通。
モーニングで有名な「イノダコーヒ」や、チョコレート専門店「ベルアメール京都別邸」のすぐそば、落ち着いたたたずまいと、歴史を感じる看板が目印です。
京都市内には江戸時代から続くお店が数多く存在しますが、分銅屋足袋も江戸末期にあたる、1864年創業という老舗です。店名の由来「分銅」は、実は元々漢方薬を扱うお店だったため、薬を調合するために使う、分銅というはかりからきているのだとか。
足袋をつくり始めたのは明治に入ってからだったそうですが、長い歴史があることには違いありません。代々、受け継がれてきた足袋づくりの技術を示すように、店内に入るとミシンの音、ショーケースの中には色とりどりの足袋が並べられています。
確かな歴史を刻んできた老舗ならではの空気感。その中にいると、ちょっとレトロな時代にタイムスリップしたような気持ちにもなりそうです。
分銅屋足袋ができるまで
分銅屋足袋の作る足袋は、生地を裁断し、留め具である「こはぜ」をつけ、ミシンをかける・・・と、ひとつの足袋をつくりあげるまで、12の工程があるそうです。こはぜは今も、一つひとつが手縫いでつけられています。裁断からできあがりまで、職人の手による丁寧なものづくりが行われています。
分銅屋足袋で自分サイズを購入する
分銅屋足袋で足袋を購入するときは、まず自分の足の大きさを測ってもらい、足の大きさと同じサイズの足袋を試着し、サイズ感を確かめます。
サイズがピッタリ合えば、そのままお店に置かれているものの中から気に入ったものが選べます。もししっくりこなければ、足の形に合わせてセミオーダーが可能です。
分銅屋足袋では、市販の足袋ではサイズが合わない人のために、横幅が広い人用の足型や、指の短い人用の足型など、さまざまな型が用意されています。もちろん、足型に合わない人の場合は、その人の足に合わせた足型を作り、あつらえてもらうこともできます。仕上がりまで10日間ほど見ておく必要がありますが、既製品では足が合わない人にとっては、心強いお店です。
足袋の種類も、定番の白足袋のほか、おしゃれな色足袋が用意されています。京友禅を使った色足袋は、50年ほど前に客として訪れた、舞台役者の一言がきっかけで生まれ、人気の商品となりました。
「足袋は着物」というイメージがありますが、柄足袋を靴下がわりに履くのもアリです。ピタッと足にフィットする足袋を履くことで、気持ちもしゃんとしそうですね。
分銅屋足袋の足袋は、その場での購入もOKなので、しっかりしたつくりと、かわいい柄などの理由から、お土産やプレゼントにされる人もいるようです。
分銅屋足袋でつくる足袋の魅力
「指先までフィットした足袋をつくること」。
これが分銅屋足袋のこだわりです。
自分の足に合った足袋を履いたときは、足先までピシッと決まります。サイズが合っていて、指先までしっかり足袋が履けていると美しく、着物も引き立ち、足さばきも上品になるのだそうです。
「足の大きさは問題ないのに、足首の大きさが合わなくてこはぜが留められない」、「こはぜの部分はピッタリだけど足の指先が合っていない」・・・人によっては、既製品では履いてみてガッカリ、ということがあるかもしれません。ですが、分銅屋足袋ではまず試着し、サイズ感を確かめられます。本当に自分に合うか、オーダーが必要かを確認できる安心感は、専門店だからこそ得られるものといえるでしょう。
一つひとつ手作りの足袋は、見た目の美しさだけでなく、丈夫さも兼ね備えています。お手入れはクリーニングいらずで、汚れたら石鹸とブラシを使って手洗いでOK。手洗いをすることが、型崩れを防ぎ、結果的に長持ちにもつながります。
自分用にも、プレゼントにも。分銅屋足袋で粋な足元を
最近は足袋型の靴下や、履き口がゴムになった足袋もありますが、自分に合ったサイズの足袋は履き心地も抜群。せっかくおしゃれをするなら、足元までビシッと決めたいですよね。
分銅屋の色足袋はおしゃれなものも多く、着物だけでなく普段着に使っても粋な雰囲気が演出できそうです。
お店もアクセスしやすい場所にあるので、京都に訪れた際はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
所在地:京都市中京区三条通堺町角
営業時間:9:30~18:30
定休日:日祝日
お問い合わせ:075-221-2389
交通アクセス:市営地下鉄「烏丸御池」駅下車、徒歩約5分
阪急「烏丸駅」下車、徒歩約10分