なぜ猫と杓子なのか?猫の慣用句・ことわざ8選⑧
猫も杓子も
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杓子というのは、ご飯や汁をよそうときに使う道具のことで、しゃもじや、おたまのことをいいます。カエルの子供のおたまじゃくしは、このお玉杓子に似ていることから名付けられました。
猫と杓子には、一見して何の関係もありません。それをひとまとめにして、「誰でも彼でも」、「何でもかんでも」、といった意味で用いることわざです。
なぜ、猫と杓子が選ばれたかはよく分かっていませんが、どちらも日常生活でとてもよく目にするものです。また、杓子は女房の象徴とされることもあるため、家内総出という意味を込められているとも考えられています。
一方で、「禰宜(ねぎ)も釈子(しゃくし)も」や「女子(めこ)も弱子(じゃくし)も」が変化したことわざだという考えもあります。
この場合は、神職と仏弟子、女性と子供をひとまとめにているわけで、それぞれ関連性のある言葉となっています。
また、『一休咄』に見られる「生まれては死ぬなりけりおしなべて釈迦も達磨も猫も杓子も」という言い回しを語源とする説もあります。 いずれにしても、横並びを揶揄するときなどに用いられ、あまりよい意味で使われることはありません。
人間と猫の暮らしが見える猫のことわざ
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このように、猫にまつわる慣用句やことわざには猫の習性や仕草などが様々に含まれています。 このような言葉を見ていくと、昔の日本人がじつに鋭い観察眼や巧みな表現力を持っていたのか、ということがしみじみと思い知らされます。
他にも、まだまだよく知られていない猫の慣用句やことわざはいっぱいあります。 それらの言葉をもう一度調べなおし、昔の人たちと猫との暮らしに想いを馳せてみると、また新しい発見が得られるかもしれません。
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