なぜ猫の手なの?猫の慣用句・ことわざ8選⑥
猫の手も借りたい
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「猫の手も借りたい」というのは、とても忙しくて誰でもいいから手助けしてほしい、という状況をあらわすことわざです。 基本的に、猫は寝るか食べるか、ふらふらしているだけの動物です。
犬のように人間のために働くことはありません。そんな猫でさえも駆り出したいほど忙しい、というわけです。
ちなみに、犬の場合は「犬の手も人の手にしたい」ということわざがあります。微妙に表現が異なるのは、このような習性の違いや、犬が猫と違って手先が器用でないことを表しているのも窺えて、面白いところです。
語源は、近松門左衛門の浄瑠璃『関八州繋馬』で、「上から下までお目出度と、猫の手もかりたい忙しさ」と記された文章だといわれています。
単純に忙しさを表す以外にも、実際に誰かに手助けをしてもらいたいときにも用います。ただし、本来は猫は役に立たないという意味を含めているので、使い方や相手には気をつけなければいけません。
中国の故事が由来している?猫の慣用句・ことわざ8選⑦
ネズミとらぬ猫
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もともと、猫が日本に入ってきたのは、中国から経典を運ぶさいに鼠対策として船に乗せてきたのはじまりだ、という説があります。
日本ではおもに愛玩用として飼われることになりますが、農家や養蚕家などでは、実際に鼠を狩るために飼われることも多くありました。
鼠を捕ることは、猫にとって唯一といってもよい活躍の場面でもあったのです。 にもかかわらず、鼠狩りすらしない猫はまったく何の役にも立たない、ということをたとえたことわざです。
現在では、猫にネズミ捕りの役目を負わせることはほぼなくなりました。その意味では、現代人にとってあまりぴんとこないことわざになってしまったといえそうです。