動物の妖怪①
狐
出典:写真AC
古来日本では「狐や狸は人を化かす」と言われています。狐の妖怪伝説は日本各地に残っていて、総称的には「化け狐」と呼ばれますが、「伊賀専(いがたうめ)」、「おこんこんさま」、「おとうか」、「けつね」、「迷わし鳥(まよわしどり)」、「野干(やかん)」、「野狐(やこ)」など多くの種類の別称が残っています。
一般的には「豆腐の油揚げが好物で、犬や狼、漁師が苦手である」とされています。多くの別称を持つ狐の妖怪は7つの種類に分けられます。
・野狐(やこ):人間に対して悪事や悪戯をする狐の妖怪全般を指します。
・九尾狐(きゅうびこ):強大な妖力を持った妖狐として恐れられる妖怪です。
・八尾の狐(やおのきつね):三代将軍家光の夢に現われ、患っていた病が治る旨を告げ去っていったとして春日局が記したとされる『東照大権現祝詞』に登場します。
・白狐(びゃっこ/はくこ):人々に幸福をもたらすとされお稲荷さんに祭られています。
・金狐(きんこ)、銀狐(ぎんこ)、黒狐(こくこ):善狐の種類として『狐ものがたり』に記されています。
動物の妖怪②
かまいたち
photo by なおびむ さん
つむじ風に乗って現れ人を切りつける妖怪が「かまいたち」です。全国的に言い伝えが多く「鎌風(かまかぜ)」、「悪禅師の風(あくぜんじのかぜ)」、「風鎌(かざかま)」、「飯綱(いづな)」、「野鎌(のがま)」など多くの種類の別称が残っています。
一般的には「刃物で切られたような鋭い傷が付くが、痛みはなく、傷からの出血もない」のがかまいたちに襲われた証拠だとされています。
かまいたちによる被害は、妖怪によって引き起こされたと考えられる被害の中でも「人が直接的にキズを追う」という実害を含むので、特に珍しいものであると言えます。
動物の妖怪③
猫又
出典:Wikipedia
猫又は山の中に潜むものと、年老いた家猫が化けるものの2つの種類に分けられます。 山に潜む猫又は里に降りてきては村人を食い殺す妖怪として恐れられていました。
猫又が人々を食い殺したといわれる富山県の「猫又山」、人間に化けた猫又が人をたぶらかしたという福島県の「猫魔ヶ岳」など、猫又伝説が山の名前となっている場所もあります。
年老いた家猫が化けた猫又も、人を食い殺したりさらったりするとして恐れられました。年老いた猫は尾が2つに分かれ、猫を長期間飼うのは不吉であるとされていました。
江戸時代に描かれた『百怪図巻』には猫又が人間の女性に化け三味線を弾く姿が描かれています。人に身近な動物が妖怪になった例として、猫又は恐れられていたと言えます。