桜肉とは?
かつて日本人は動物性タンパクの多くを魚類から摂取しており現在では普通に消費されているビーフやチキン、ポークなどの肉類は明治維新から始まった文明開花と共に普及したものだと言われています。
日本ではイノシシ肉を牡丹(ボタン)、鹿肉を紅葉(モミジ)などの別称で呼び表す習慣があり、桜肉は馬肉の別称です。馬刺しや桜鍋などが桜肉を用いたメニューとして知られていますが、桜肉についての情報は意外と少なく桜肉と馬肉の関係にピンと来ない方や桜肉の正体を知ると抵抗を感じる方も少なからず存在するようです。
しかし400年以上の昔からタンパク源として桜肉を食べる習慣が九州の一部や甲信越、東北の一部には存在していました。現在では食通の間で再認識され評価が高くなっている桜肉について紹介します。
なぜ馬肉は桜肉と呼ばれるのか?
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まず馬肉を桜肉と言い換える必要性についてですが、これはイノシシを牡丹、鹿を紅葉と別称で呼んだこととも関係すると考えられます。
江戸時代には獣肉を食べることは禁忌とされていました。何の肉を食べているかを悟られないように別称で呼び表したのではないかと言われています。
馬肉の別称がなぜ桜肉になったかについては諸説存在します。
まず桜の季節の馬肉が美味しいと言われるからと言う説があります。これは牧草を食べることができない秋口から冬場は干草や穀類をエサとして与えるため、桜の季節の馬は脂の乗りが良く美味しいから桜肉と呼ばれていると言うものです。
また明治維新の志士・坂本竜馬が呼んだといわれる都都逸に「咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が騒げば花が散る」というものがあり駒は馬を指す古語であることから桜に繋がれた馬の連想から馬肉の別称が桜肉となったという説もあります。
さらに高村光太郎の作品の中に馬肉をさくらと解説したものの存在を指摘する説も存在します。
現在の千葉県佐倉市には幕府の牧場があり立派な馬が飼育されていたことから「馬といえばサクラ(佐倉)」の洒落で呼ばれるようになったというものから、牛肉料理の店の客を装うサクラには高価な牛肉ではなく馬肉が提供されていたから桜肉と呼ばれるようになったと言う説なども存在します。
馬肉が桜肉と呼ばれる理由については確固たる証拠となる資料が存在しないため、謎のままであるのが実情です。
ダイエットや筋トレ中でも安心!桜肉の栄養価を紹介
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桜肉はビーフやポークなど一般的に消費される獣肉と比べると高タンパク低脂肪であると言われています。
高タンパクである桜肉を食べることで滋養強壮、疲労回復の効果が期待され、低脂肪であることはダイエット中や筋トレ中の方でも安心して食べるられると言えるでしょう。
また桜肉には鉄分やカルシウム、亜鉛分が豊富に含まれていることでも知られています。鉄分は血液の成分の1つのヘモグロビンを作り貧血対策に有効な成分です。
亜鉛は味を感知する舌の味蕾(みらい)や精力増強にも働きかける成分です。 疲労回復に有効なグリコーゲン、血圧の効果作用があるペプチド、ビタミンやミネラルも豊富に含む桜肉は他の獣肉と比べても非常にヘルシーな食材だと考えられます。