慣れると馴れるの違い・使い分けは?|意味・その他「なれる」

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たくさんある同音異義語、同訓異義語に、どの漢字を当てはめたらよいかは案外難しいもので、悩んで調べたところ、どちらでもよかったという例もよくあります。

「なれる」という言葉も、ワープロで変換すると「慣れる」「馴れる」「成れる」「熟れる」など様々な漢字が出現しますが、その使い分けはわかりますか。

特に「慣れる」と「馴れる」との区別が難しいです。「新しい仕事にようやくなれる」「隣の猫は私によくなれている」という例文ではどうでしょう。正解は、「新しい仕事にようやく慣れる」「隣の猫は私によく馴れている」です。

「慣れる」の意味


出典:写真AC

まず「慣れる」ですが、この字はわりとよく使うでしょう。改めて意味を説明するとかえって難しいですが、「違和感がなくなるまでなじむ」「経験によりうまくできるようになる」という意味です。

新しい仕事に慣れるというのは、その仕事になじんだということですから、こちらの「慣れる」が当てはまります。「履きなれた靴を履いていく」という時の「なれた」も、新しい靴が、体に違和感なくなったという意味ですので「慣れる」の字です。

「慣」を使った熟語を見てみると、よくわかるのではないでしょうか。「慣性」「慣行」「習慣」などは、いずれもある状態がなじんでいることを指します。

「馴れる」の意味


出典:写真AC

次に「馴れる」です。あまり使わない字ですが、熟語では「馴養」「馴致」などと用います。それより、「馴染む」という字なら「なじむ」と読めますよね。

しかし、「慣れる」はなじむことだと説明したばかりなので、かえってわからなくなってしまうかもしれません。ですが、「馴れる」という字に関しては、「慣れる」より使うシーンが限定されるのだということを知っておけば、それほど迷うことはありません。

馴養は動物を育てることですし、馴致は似た意味ですが、さらに植物にも使います。要は、生き物が人になじんでいる姿を表現しているのが「馴れる」の字なのです。「この象は飼育員になれている」というときは、当然「馴れる」の字が適当です。

「慣れる」と「馴れる」の違い


出典:Pixabay

動物が人間になじんでいる様子を表すのが「馴れる」という字ですが、それでは、「動物園の動物は、引っ越しになれている」という時はどの字でしょうか。

これは「馴れる」ではなく「慣れる」が適当でしょう。この場合は、人に馴れることとは関係なく、あくまでも環境の変化に対して慣れているということだからです。

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「慣れる・馴れる」以外の「なれる」


出典:写真AC

他の「なれる」についても見ておきましょう。ここでは「熟れる」「狎れる」を見ていきます。「熟れる」は「うれる」と読む方が普通でしょうが、「なれる」と読むと意味が多少変わります。

「なれずし」という料理を聞いたことはないでしょうか。琵琶湖の郷土料理で有名な「鮒ずし」もこの一種ですが、お米を使って発酵させた寿司をいいます。「熟れる」は熟成して味がよくなるという意味で、味噌などにも使えます。

次に「狎れる」ですが、これは知らなければなかなか読めないのではないでしょうか。これは、「慣れる」ともともとは同根の言葉ですが、なじみ過ぎて、他人に対してけじめなく、なれなれしい態度を取ることをいいます。

「狎」という字は「コウ」と読み、熟語では「狎客」「狎昵」などとして使われます。漢字検定1級の字です。ちなみに、なれなれしいは「馴れ馴れしい」と書きますので、「馴れる」の意味とも通底していることがうかがえます。

共通している「慣れる」「馴れる」


Photo by totobook

漢字としては色々な表記がありますが、どの字であっても日本語の「なれる」を使っているなら、その意味が根底で共通していることがうかがえます。

日本は中国から輸入した字を使っていますので、日本語にしたときに、中国での意味により漢字が分かれるわけです。こうしたことを知っていると、漢字についても、日本語についてもより楽しめるのではないでしょうか。

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