「捲土重来(けんどちょうらい)」の意味や由来|例文も紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「若き経営者の失敗は無駄なものだったのか。捲土重来を期す」 このような表現があった場合、どのように受け取ればいいのか戸惑ってしまいませんか?

捲土重来はあまり使われない言葉ですが、短い言葉に込められた意味が強く、使い方によっては大きな説得力を持たせることができるのです。

捲土重来の意味


出典:写真AC

捲土重来(けんどちょうらい)の『捲土』とは人や馬などが走る際に土を巻き上げること意味しています。土が舞い上がるほどであることから、人や馬の速度が速く、勢いがあることがわかります。

『重来』は再び戻ってくるという意味で、同時に一度は去らなければならなかったことも意味します。

この言葉の組み合わせから、「捲土重来」の意味は一度敗北や失敗をした人や組織が、勢い良く巻き返す様を意味する言葉になっているのです。

「捲土重来を期する」という文になると「失敗後に勢い良く巻き返し、成功を期待する」という意味にすることができます。

捲土重来の由来

捲土重来は 唐の詩人杜牧(とぼく)の詩が由来になっています。秦末の武将項羽の自害を悼んだ詩「題烏江亭(うこうてい)」に捲土重来の記述があります。

『題烏江亭 勝敗兵家事不期 包羞忍恥是男兒 江東子弟多才俊 捲土重來未可知』

現代語訳をすれば戦で負けて自害した項羽に対し、「勝敗は兵法家であっても予想出来ないものであり、負けても恥辱に耐え、巻き返しを図るのが男児というものである。項羽の出身地には才能があるものが多い。もう一度砂を巻き上げる勢いで戦っていたらどうなったかわからない」というものになります。

この詩から、捲土重来に「敗北や失敗を乗り越えて勢いを巻き返す」という意味が込められるようになり、様々な場面で使われるようになっていったのです。

捲土重来の例文


出典:写真AC

冒頭の「若き経営者の失敗は無駄なものだったのか。捲土重来を期す」は、若き経営者が失敗をして学んだ教訓を生かし、巻き返しに期待するという意味になります。

重要なのは失敗を認めることと、その経験をバネに行動へとつなげることです。捲土重来を期すという表現から、この言葉が第三者から贈られたものであり、激励の意味が込められていることもわかります。

「過酷な競争の中A社が開発した新商品は、シェアを再び回復することができるのだろうか。捲土重来となるか注目したい」この場合は、A社が同業他社との過酷な競争でシェアを奪われていることと、新商品の投入でシェアの回復と奪還を図ろうとしていることがわかります。

捲土重来の表現があることから、A社に余裕がなく、追い詰められている可能性を匂わせることもできます。

また、文章を書いた人間が注目したいという言葉を用いていることから経済の流れを追う記者の視点が近く客観性が高い文章になっているのもポイントになっています。

日本人なら知っておきたい国語の知識「国語」の記事一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連するキーワードから探す