喧嘩祭りとは
火事と喧嘩は江戸の華といいますが、喧嘩が男の勇ましさの表れとなるのは江戸だけではありません。
日本全国各地に喧嘩祭りと呼ばれる荒々しい祭りが存在します。そもそも年に一度のお祭りは、ハレの日であり無礼講、しばしば喧嘩が起こり、それをまた良しとする傾向も見られます。喧嘩祭りならばなおさらのことで、あちこちで本物の喧嘩が起こることも珍しくはありません。
そして喧嘩による勝ち負けが、吉凶を占うものとして儀式化されているお祭りも数多くあります。
喧嘩になるのは神輿を担いでいるときが多く、神輿は神様の乗り物ですから、喧嘩をするのは神の意向に適うものともされます。
とはいえ根本的には、祭りの際の喧嘩は、コミュニティの中のガス抜きとしても機能するようです。祭りの喧嘩で日常の不満を発散したコミュニティは、その後また、平穏な生活に戻っていくのです。
喧嘩祭りは各地にあり、日本三大喧嘩祭りと呼ばれる括りも存在します。諸説ありますが、「岸和田だんじり祭り」「角館のお祭」「飯坂けんか祭」が日本三大喧嘩祭りとされます。
まず、極めて有名な岸和田だんじり祭りをご紹介します。
日本三大喧嘩祭り①
岸和田だんじり祭
出典:写真AC
だんじり祭りは西日本全域にありますが、最も有名なのが岸和田のだんじりです。
だんじりとは山車のことで、上には屋根乗りと呼ばれる人が乗っています。これを猛スピードで引き回してそのままコーナーを曲がる「やり廻し」が醍醐味で、見物人からもっとも着目される祭りのハイライトです。
綺麗に曲がるのは大変難しく、無事だんじりが通過しますと拍手が上がります。数年に一回は死傷者も出る、日本で最も激しい祭りの一つです。
人が喧嘩するわけではないものの、喧嘩祭りと言うのにふさわしい勇壮なお祭りです。毎年9月開催です。
日本三大喧嘩祭り②
角館のお祭り
photo by Kzaral
「角館のお祭」は、武家屋敷と桜で有名なみちのくの小京都角館(秋田県仙北市北部)で開催されます。角館駅は秋田新幹線の停車駅です。
角館のお祭りでは、曳山と呼ばれる山車を互いにぶつけ合う「やまぶつけ」が見られます。高さ4メートル、重さ8トンの曳山を正面からぶつけ合う様子は、喧嘩祭りというのにふさわしいでしょう。
ですがやまぶつけはもともと観光客を楽しませるためではなく、曳山同士の通行がばったり行き当たることがあって、その際の優先権を決めるために行われるものです。
最初からぶつかり合いを目的にしているものではなく、あくまでも交渉が最優先で、交渉が決裂した際にやまぶつけが行われるのです。
最近では、双方がやまぶつけをしたくて始まることも多いようですが、もともとはハプニングであり、祭りの一部に過ぎず、どこで見られるかはわかりません。
それでも観光客が確実にやまぶつけを目にできるように、スケジュールに沿って行われる観光用やまぶつけも行われています。角館のお祭りは、毎年9月7日から9日に開催されます。
日本三大喧嘩祭り③
飯坂けんか祭り
出典:写真AC
飯坂けんか祭りは、飯坂温泉で有名な福島県福島市の飯坂八幡神社で、毎年10月第1土曜を中心とした3日間開催されます。
お祭りのハイライトである宮入は、2日目の土曜日の夜です。お神輿が町内を6台の担ぎ屋台とともに巡行し、夜になると神社に帰ってきますが、境内に入ると屋台同士が激しくぶつかり合います。
神輿が宮入りすると、祭りが終わってしまうのでこれを阻むためにぶつかり合うのだとされます。担ぎ屋台がぶつかり合う、まさに喧嘩祭りです。
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