上代(じょうだい)日本語とは|発音・文字・読み方・成り立ち

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上代日本語とは

奈良時代、またはそれより以前に使用されていた日本語のことを「上代日本語」といいます。上代日本語については、その当時の「金石文」「木簡」「正倉院」に残されている資料、もしくは当時の「古事記」「日本書記」「万葉集」といった文献の写本に記されている文字から研究されています。

上代日本語は漢字のみの表記で、漢字の意味を用いる方法と、漢字の音のみを用いる方法があり、音のみを用いる用法は「万葉仮名」と呼ばれています。この万葉仮名には、母音の違いで文字に甲乙の区別をつけた「上代特殊仮名遣」という今の日本語には無い仮名遣いが多くみられます。

万葉仮名には音読みを用いた「音仮名」と訓読みを用いた「訓仮名」がある他、一字に一音だけでなく、「兼(けむ)」「越(おと)」のように漢字1字で2音節表したものや、「十六」で「しし」と読むような表記、「金風」で「あきかぜ」と特殊な読み方をするものもあります。

また、奈良時代以前には、イ段の「キ・ヒ・ミ」、エ段の「ケ・ヘ・メ」、オ段の「コ・ソ・ト・ノ・(モ)・ヨ・ロ」の12文字(古事記では13文字)と、それらのうち濁音のある「ギ・ビ・ゲ・ベ・ゴ・ゾ・ド」については、2種類(甲類と乙類)に書き分けられています。

そしてこれら2種類の文字は、詩の四段活用連用形のイ段の仮名は必ず甲類を使う、上二段活用の未来系・連用形・命令形は必ず乙類を使うなど厳格に区別されていました。 万葉仮名のみで書かれた文献には「古事記」「日本書記」の中にある歌謡や「万葉集」の一部、「正倉院仮名文書」などがあります。

一方、万葉仮名を用いない文献もあり、「法隆寺薬師仏造像記」や「古事記」の本文、「万葉集の「略体歌」と呼ばれるものがあります。また両方を用いた文献には「宣命体」という助詞や助動詞、活用語尾などを記したものが見つかっています。

上代日本語で使用されていた文字


出典:写真AC

上代日本語で使われる文字 【万葉仮名(一字一音)】

『比流等家波 等家奈敝比毛乃 和賀西奈尓 阿比与流等可毛 欲流等家也須家』

「昼解けば 解けなへ紐の 我が背なに 相寄るとかも 夜解けやすけ」

昼間解くと解けない紐が、夫に会うからというのか、夜は解けやすいことだ。

【万葉仮名の「音・訓」別にみる漢字の読み方】 ・音(1字で1音を表す)

以(い)・呂(ろ)・波(は)・安(あ) ・音(1字で2音を表す) 信(しな)・覧(らむ)・相(さが) ・訓(1字で1音を表す) 女(め)・毛(け)・蚊(か)・石(し) ・訓(1字で2音を表す) 蟻(あり)・巻(まく)・鴨(かも) ・訓(2字で1音を表す) 嗚呼(あ)・五十(い)・可愛(え)

この他、訓読みに関しては、2字で2音を表す十六(しし)や、3字で2音を表す八十一(くく)、4字で2音を表す三伏一向(つく)といったものがあります。

【甲類と乙類の2グループに分けられる上代特殊仮名遣いの例】

例:よ さよひめ:用・容・欲・庸=甲類 よろず:余・与・巳・予・預・誉=乙類

このように使われる字が区別されており、甲類と乙類が入れ替わって使用することはありませんでした。

上代日本語の発音①

母音


出典:写真AC

現在の日本語の母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つの音からなりますが、上代日本語は、「イ・エ・オ」の母音が2種類ずつ、つまり「ア・イ・イ・ウ・エ・エ・オ・オ」の8母音存在すると言われています。

これは現代の日本語でいう「キ・ヒ・ミ・ケ・ヘ・メ・コ・ソ・ト・ノ・モ・ヨ・ロ」の音が2種類に書き分けられていたことから、上代日本語に母音が8つあるという説に辿り着いたとされています。

ただしこの8母音存在する説には賛否が分かれており、音価についてははっきりとわかっていない状況です。

この他の特徴として、ア行のエ(e)と、ヤ行のエ(ye)、ア行のイ・エ・オ(i・e・o)とワ行のヰ・ヱ・ヲ(wi、we、wo)、も区別して使用されていたことがわかっています。

また母音は語頭であれば単独で使用することが出来る等の決まりもあったようです。

上代日本語の発音②

子音

子音は、音素の上では非常にシンプルですが、1文字に対する実際の発音(音価)については、現代の日本語とは異なる点がいくつかあげられます。

ハ行の子音はhではなく、さかのぼるとpでなはいかという説や、サ行の子音はsのような摩擦音ではなくtsなどの破擦音であった可能性があると言われています。

タ行とダ行のチ・ツ・ヂ・ヅについても、t・dが使用されていたようです。 また、子音でとまる音節、つまり子音の連続がないという特徴もあります。

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