いちごの品種紹介③
紅ほっぺ
photo by かときち さん
そのネーミングからも分かるように、とても鮮やかな紅色をしたいちごです。食べた時に見える断面も、果肉の中心まで真っ赤に染まっています。 形は長めの円錐形で、ひと粒のサイズが大きい品種です。 「ほっぺ」という愛らしい名称は、ほっぺが落ちるほどコクのある美味しさ、という由来からつけられています。
実際にとても甘みが強く、さらに適度な酸味もあり、いちごらしい味わいがしっかり楽しめます。 果肉がぎゅっと締まっていて、歯ごたえある食感もポイントです。
静岡県農業試験場(現在の農林技術研究所)で、「章姫」と「さちのか」を交配して作られ、2002年に品種登録されました。 最近では特にその人気が高まっていて、静岡のみならず全国各地で栽培されています。
いちごの品種紹介④
桜桃壱号
出典:Wikipedia
高級ブランドとして知られる「ももいちご」より、さらに上級のいちごを作り出す目的で開発された品種です。 「アマテラス」と「紅ほっぺ」をかけ合わせ、一般的には「桜桃苺」という登録商標で知られています。流通が始まったのは、2008年頃からのことでした。
とても大ぶりな果実で、先の尖った円錐形をしています。完熟しても鮮やかな赤色を保ったまま、酸味が少なく、甘い香りを放ちます。締まりある果肉は歯ごたえがよく、果汁がたっぷり含まれています。 敢えて少数の果実に栄養を集中させるため、花を摘んで、1株に8個ほどしか実らせない栽培方法を採用して作られています。
出荷されるのは、さらにそこから厳しい基準をクリアしたもののみと、ブランドを守るために徹底した品質管理が図られています。 現在、栽培を行なっているのは徳島県佐那河内村の生産者数名のみです。
大阪市場にしか出回っていなかったので、以前は幻のいちごともいわれていました。 テレビで紹介されたのがきっかけで広く知られるようになり、現在ではネット通販で購入することができます。
いちごの品種紹介⑤
とよのか
出典:Wikipedia
九州を中心に、かつて西日本で最も人気があった品種です。 福岡県久留米市で、「ひみこ」と「はるのか」をかけ合わせて作られました。1984年には既に品種登録され、とても長い歴史を持ったいちごです。 大粒で丸みを帯びたいちごらしいシルエットに、あざやかな赤色で果肉の中心が白くなっているのが特徴的です。
甘みと酸味のバランスもよく、果汁もたっぷりあり、豊かな味わいと香りに定評があります。 一方で、変形しやすく粒が不揃いになりがちなのが弱点です。柔らかめで傷つきやすいといったように、扱い辛い面も持っています。
早期の収穫量がとても多く、促成栽培にも向いているため、一時期は女峰と並んでいちごのスタンダードともいうべき存在でした。 現在では新しい品種に代替わりしたため、生産量は激減しています。それでも、まだスーパーで見かけることができるほど、根強い人気を持ったいちごでもあります。