百人一首「恋の歌」7選|現代語訳と歌人についての解説

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百人一首は、一般的には『小倉百人一首』として知られているものであり、700年以上前に鎌倉時代の歌人である藤原定家がまとめたものです。

基本的に『古今集』『新古今集』などの当時から古典的な歌となっていたものを集めた歌集、そして勅撰和歌集から選ばれています。この勅撰和歌集は、時の天皇の命で編さんされた和歌集で、全部で21の和歌集となっています。そしてこの和歌集の特徴としてあるのが恋の歌が多いこと。

今回は百人一首の中から、恋の歌を厳選してご紹介してきます。

百人一首に恋の歌はどれくらいあるの?


出典:写真AC

百人一首は名前の通り、一人一首が選ばれており、本当に全部で百首で構成されています。そのうちにどのくらい恋の歌があるのかといえば、実に四十三首と、半分近くを占めているんです。

そして、あとは季節の歌などが多く、季節の中でも秋が最もたくさんありますよ。公家ばかりではあるのですが、女性も多く、100人のうち21人は女性です。また、当時の最高の学識者であった僧侶も15人ほど選出されています。

歌集は世界的にどこでもあるのですが、ここまで恋の歌がメインになる公的な歌集は、世界的にも珍しいといえるでしょう。

百人一首の歌10選

今回は、百人一首から恋の歌だけを10首選んでご紹介します。

片思い中の切ない気持ちを詠んだものから、別れの悲しみを詠んだ歌までさまざま。当時の人の恋愛模様に思いをはせてみてくださいね。

玉の緒よ たえなばたえね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする

玉の緒よ たえなばたえね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする

「我が命よ、絶えてしまうのなら絶えてしまえ。このまま生き長らえていると、堪え忍ぶ心が弱ってしまうと困るから」

新古今集を代表する女流歌人で、藤原俊成の弟子でもあった式子内親王の恋の歌です。

百人一首を代表する、おさえきれない恋心の激情を読んだ歌です。この歌はもともと「忍ぶ恋」という題を与えられて読んだ歌。現代の我々から考えてみると、「そうまでして隠さなければないらないの?」とも思うかもしれません。しかし、妻ある人に恋心を抱いてしまった場合、こんな気持ちになるのでしょう。

君がため 惜しからざりし いのちさへ 長くもがなと 思ひけるかな


出典:ぱくたそ

君がため 惜しからざりし いのちさへ 長くもがなと 思ひけるかな

「貴方のためであれば、この命を捨てても惜しくはないと思っていたのに、逢瀬を遂げられた今においては、貴方に逢えると思うと長くありたいと思うようになりました」

藤原義孝の歌です。

藤原義孝は若死にした人物で、恋の歌といっても艶っぽいものではありません。そこはかとなく誠実な感じがするのは、人物そのものが歌に反映しているからでしょう。

仏教の信仰心が強く、清廉で孝行な人だったと伝わっています。歌自体には歴史的な背景や逸話があるわけではなのですが、人物の風格と誠実さが伝わってくる歌ですね。

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