百人一首「恋の歌」7選|現代語訳と歌人についての解説

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かくとだに えやはいぶき さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを


出典:ぱくたそ

かくとだに えやはいぶき さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを

「私がこんなにもお慕いしていることを貴方に伝えたいですが、伝えることができない。貴方は知らないでしょう。伊吹山のさしも草のように燃えあがっている私の思いのほどを」

藤原実方朝臣も、百人一首では恋の歌を歌っています。

読み手の藤原実方朝臣は、非常に花形として有名であり、清少納言との恋などで宮廷でも人気がありました。しかし、いさかいによって陸奥守に左遷され、僻地で逝去した悲劇の人でもあります。

色恋沙汰が多かった人物だけに、恋の歌が似合う人物であるといえるでしょう。

あふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも うらみざらまし

あふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも うらみざらまし

「もしも逢うことが絶対にできないのであれば、あの人のつれない態度も、逢えない辛さや運命も恨むことがないに」

中納言朝忠が読んだ恋の歌も、百人一首に選出されています。

中納言朝忠は、管楽器「笙(しょう)」の名手だったとされており、恋愛歴も非常に豊富。恋の歌がぴったりの人物といえるでしょう。

百人一首にも登場している右近も恋人の一人。このように、百人一首の人物内での恋愛模様などもあるのが、百人一首のおもしろいところですね。

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな

「私はもうすぐ死んでしまうでしょう。あの世への思い出になるように、せめてもう一度なりともあなたにお会いしたいのです」

恋多き女として有名だった、和泉式部の詠んだ歌です。

和泉式部は恋愛遍歴が多く、藤原道長からは「浮かれ女」といわれ、紫式部には「恋文や和歌は素晴らしいが、素行には感心できない」といわれています。恋愛遍歴が多いということは、それだけ魅力的な女性でもあったのでしょう。しかし、相手が病気で早世するなど、決して幸せな恋愛ばかりではありませんでした。そんな彼女が死ぬ間際、誰のことを思ってこの歌を詠んだのか気になりますね。”

忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな

忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな

「あなたに忘れられる私の身はどうなろうと構いません。けれども、神に永遠の愛を誓ったあなたの命が、神罰で失われるのではないかと、惜しまれてなりません」

前述した中納言朝忠とも恋愛関係にあったという、右近が詠んだ歌です。彼女は、醍醐天皇の中宮穏子に仕えた女房。ほかにも元良親王・藤原敦忠・藤原師輔・藤原朝忠・源順などとも恋愛関係があった、といわれています。

振られた未練を詠みつつも、相手の身を案じているところから、女性としてのプライドも感じられる歌です。

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