それ、マナー違反かも?間違った箸の使い方とは
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箸の持ち方や使い方には、してはいけないとされているものが数多くあります。それらをまとめて、「嫌い箸」や「忌み箸」、「禁じ箸」などといいます。
たとえば、箸を鷲づかみにする「握り箸」も、そのひとつです。握り箸では、食べ物を突き刺す「刺し箸」にもなりやすいので気をつけましょう。
食べ物を選ぶとき、どれを取ろうか箸をあちこち動かすことを「迷い箸」といいます。
ほかにも、箸で器の中身をかき分ける「探り箸」や、一度つかんだ食べ物を戻す「空箸」などは、食事を提供してくれた人に対する失礼にもあたります。
箸先についた食べ物や汁を舐める「舐り箸」、汁物を箸の先から垂らす「涙箸」なども、見苦しい所作となります。箸を高く持ち上げる「振り上げ箸」は、食べ物や汁を飛ばして、同席者などに迷惑をかけることになるので絶対に避けてください。汁気が多い食べ物は、懐紙で受け取るといった工夫をしましょう。
箸を口でもてあそぶ「噛み箸」や「くわえ箸」、食べ物を詰め込む「押し込み箸」、食べかすを取る「楊枝箸」なども、みっともない箸の使い方です。
食べ物だけではなく、器を箸で移動させる「寄せ箸」や、器に箸を乗せる「渡し箸」、箸を持った手で器を持つ「持ち箸」などにも注意が必要です。 また、ご飯に箸を突き刺す「立て箸」や、箸から箸へ食べ物を渡す「合わせ箸」は、仏前に供えるご飯や遺骨を拾う動作を連想させ、縁起が悪いとされています。
ほかにも、箸の使い方には多くのタブーがありますが、基本的に、相手に不快感をあたえたり、迷惑をかけないよう、きれいに食事することを心がけましょう。
正しい箸の使い方をするメリットとは
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正しい箸の持ち方というのは、箸をうまく使うための方法です。 間違った使い方をしていると、どうしても食べ物がうまくつかめなくなり、食べ方も汚くなってしまいます。それが、マナー違反につながってしまうわけです。 間違った箸の使い方は相手の印象を悪くして、せっかくの食事の席を台無しにすることもあります。
たとえば、恋人やその家族、あるいは取引先の相手と同席していると、それがマイナス評価となることもあるでしょう。 正しい箸の使い方は美しい食事の場を作り、自分自身にも大きなメリットをあたえてくれるのです。
箸の持ち方・使い方が悪いと、食事をかきこんだり、顔を器に近づけて姿勢が悪くなったりして、早食いや食べ過ぎ、消化不良をまねくこともあります。
正しい箸の使い方は、自然とゆっくり料理を味わえるようになることも大きなメリットです。 このように、箸の使い方や持ち方は、食生活の充実度を大きく左右します。特に、和食はすべて箸で行うことが前提となっているので、正しい箸の使い方が何より重要といえるでしょう。
お箸を正しく持つための練習をしよう
箸の持ち方・使い方は、子供のころからクセになっているものなので、なかなか直せないものだと考える人も多くいますが、意識して練習さえすれば、矯正はそれほど難しいことではありません。
まず、箸は上と下でそれぞれ持ち方も動かし方も異なるので、一本ずつなじんでいくようにしましょう。 上の箸は、鉛筆の持ち方と同じです。人差し指と中指ではさみ、反対側に親指を添えます。そのまま、人差し指と中指で回転させるように箸を上下させてください。回転軸となる親指は、あくまで添えるだけで動かさないのがポイントです。
下の箸は、親指と人差し指の根本ではさみ、それを薬指の側面で支えます。下の箸はいっさい動かさないので、この形をしっかり固定できるようにしましょう。 それぞれの持ち方や動きが理解できたら、次は2本の箸でものをつまみます。豆のような小さなもの、スポンジのような柔らかいものを、皿から皿へ移し替える練習をしてみましょう。
正しい箸使いをしたい方におすすめ「矯正箸」
箸の持ち方を直したい人におすすめなのが、矯正箸です。 子供用のものでは、箸にリングが付いているものが一般的で、そこに指を通すと、自然と指が正しい箸の持ち方になるため、使っているだけで矯正することができます。
同じような矯正箸でも、大人用のものは指を置く位置にくぼみが付いているタイプのものがあります。こちらも、箸を使っているだけで自然と指がその位置にはまるようになり、無理なく正しい箸の持ち方が身につくようになります。 一見するとただの塗り箸なので、見た目だけではほとんど分かりません。
おしゃれな塗り箸も多いので、外出先でも気にせず持ち歩くことができるでしょう。 箸の持ち方を矯正することは、けっして恥ずかしいことではありません。このような便利な道具を利用して、ぜひスムーズな矯正を目ざしてください。
お箸を正しく使って食事をもっと楽しもう
普段、何気なく使用している箸にも、事細かな作法がいくつもあります。それらは、いずれも食事を美しく、楽しくするためのもので、社会人としても重要なマナーなので、かならず身につけておくと良いでしょう。
また、ユネスコ無形文化遺産にも登録されているように、すでに和食は世界的な文化となっており、箸の正しい使い方は、それを形作るうえで欠かせない要素のひとつです。それを学び、子供たちに伝えていくこともまた、日本人としての大切な役割といえるのではないでしょうか。
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