元祖!プレミア焼酎!鹿児島の焼酎8選⑤
伊佐美
伊佐美は鹿児島の焼酎のなかでも、昔ながらの素朴な芋焼酎です。 明治32年創業の甲斐商店が、今もたったひとつ作り続けている銘柄で、ラベルなどの作りにもどことなく懐かしさを感じさせます。
そこに記された「伊佐焼酎」とは、もともと伊佐市で作られた焼酎に対する呼び名のこと。
あえて薩摩焼酎とはしないところに、伝統に対する誇りと自信もうかがえます。 口当たりはなめらかでクセがなく、それでいて芋焼酎ならではの深みのある香りと濃厚な味わいもしっかり楽しめます。
伊佐地方は鹿児島のなかでも「薩摩の北海道」と呼ばれるほど涼しい地域で、米作りのさかんな地域です。
また、米焼酎で有名な熊本県球磨地方に隣接していたこともあり、焼酎はもっぱら白麹で作られるものでした。
そんな中、黒麹による芋焼酎作りをずっと守ってきた伊佐美は、ブームより以前から焼酎好きの間で熱狂的な人気を集めていました。 そのような経緯から、プレミア焼酎の元祖ともいわれる存在です。
鹿児島で最も古い酒造が手掛ける鹿児島の焼酎8選⑥
復刻版兵六
復刻版兵六は、享保年間の1730年創業という鹿児島でも最も古い歴史を持つ相良酒造によって作られている芋焼酎です。 かつては藩主の島津家にも酒を納入していたという蔵元では、現在でも家業のみで製造から瓶詰めまでをすべて行っています。
その相良酒造が太平洋戦争をきっかけに地酒づくりをやめ、新しく始めたのが芋焼酎の「兵六」です。初代兵六はやがて作られなくなりますが、九代目当主によってその復刻版が現代によみがえりました。 昔ながらの濾過を行わない製法で、うっすらと濁っているのが特徴です。
そのため、白麹仕込みでありながら芋の香りもしっかり楽しめる焼酎となっています。
ちなみに、銘柄の由来となったのは、薩摩藩の戯作者である毛利正直の『大石兵六夢物語』の主人公です。鹿児島ではとてもなじみ深い存在で、ほかにも「兵六踊り」や「兵六餅」としてその名前が残っています。