みなさんは「迸る(ほとばしる)」という日本語の正しい意味・使い方をご存知でしょうか?
例えば、「熱い血潮が迸る(ほとばしる)」のような言い方があります。では、実際に迸るの意味や使い方、由来を見ていきましょう。
【意味】 | 「一気に噴き出る」「飛び散る」「流れ飛ぶ」 |
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【由来】 | 火のように熱い女性器から、尿が勢いよく飛び散る様子から。 |
【類語】 | 「奔流(ほんりゅう)」「横溢(おういつ)」「溢れるような」「はち切れんばかりの」「勢いよく出る」「噴き出す」 |
【対義語】 | 「滞留(たいりゅう)」「停留(ていりゅう)」「途絶」「杜絶」 |
【英訳】 | 「gush out」「spout」 |
以下では迸るについて詳しくご紹介していきます。
「迸る」はどう読む?
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「迸る」。なにかの動詞であることは見れば明らかですが、この漢字を読むことができますか?「迸」という、JIS第二水準の字自体に、そもそもなじみがないかもしれません。漢字検定1級レベルの読みですので、読めなくても恥じることはありませんが、「迸る」は「ほとばしる」と読みます。
ワープロでは変換される言葉です。頻繁には使わない言葉かもしれませんが、ひらがなで書けば、その意味、イメージはおおむね掴めるのではないでしょうか? では、「迸る」という動詞はどういう時に使うのでしょう。
「滝の水が迸る」「焼き鳥から肉汁が迸る」「思いが口から迸る」「火口から溶岩が迸る」などと用います。もちろん、これらの使い方には共通項があります。言葉の使われるシーンとそのイメージを掴んでみましょう。
迸るの意味とは
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「迸る」の意味は、「一気に噴き出る」「飛び散る」「流れ飛ぶ」ということです。特に、液体が飛び散る様子を描写するには最適の言葉でしょう。勢いよく飛び散る様を描写するのであれば、液体に準じて、人の言葉が溢れ出す状況で使ってもいいわけです。
字をよく見てみますと、「迸」は、しんにょうと、「併」という字にも使われるつくりでできています。つくりのほうには、一般的な名称はありません。しんにょうには「どこかへ行く」という意味が、「併」のつくりの部分には、「合わさる」という意味があります。
「合わさったものがどこかへ行く」というのが「迸」の漢字の意味です。
迸るの言葉の成り立ち
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「ほとばしる」という言葉を聞くと、複合語のようなイメージを持たないでしょうか? つまり「ほと」と「走る」とが合わさってできた「ほと走る」のような気がします。これはそのとおりです。
「ほと」は古事記など神話に出てきますからご存知かもしれませんが、「女性器」のことで、「火所」や「炎処」と書き、火のように熱い場所を示します。ほとばしるとはもともと、火のように熱い女性器から、尿が勢いよく飛び散る様子から出ている言葉なのです。そうして時代とともに変化していき、今の意味になりました。
下品な由来だと思うかもしれませんが決してそうではなく、むしろ、生き生きとした生命力、力強さを感じるのではないでしょうか。漢字の「迸る」よりも、大和言葉らしい「ほとばしる」のほうが、その意味では相応しいかもしれません。
また、「ほとばしる」の「はしる」が跳躍することを意味していることから「躍り上がる」という意味となり、そこから喜びや驚きなど大きな感情の起伏が激しいときにも使われるようになり、今の水が勢いよく噴き出す様子を躍り上がる様子に見立てて今の意味になったともされています。
普段何気なく目にしたり使っていた「迸る」という言葉にはこのような深い由来があるのです。
迸るの使い方
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語源からもわかる通り、例えば地面から勢いよく湧き出す間欠泉に対して、「熱い湯が迸る」と用います。このような使い方が「迸る」の基本的な用例です。
これは物理的に液体が飛んでいく様を表現していますが、それにとどまらず、ちょっと洒落て使ってみたくなる言葉です。
例えば何か才能が突然出てきたり何か心のうちから湧き出るような感情を表したいときは、
「彼の音楽は今まで落ち着いた曲調のものが多かったが、今度の曲は非常に情熱的で思いが伝わる曲であった。まるで若きアーティストの情熱が迸るようだ」
「紫式部が詠んだとされるこの歌は今現代でも彼女の激情が迸るさまが良く見え、紫式部の歌人としての才能はやはり素晴らしいものだ」
などのように迸るを用いて表現します。
いずれも、押さえきれない何かが外に向かって溢れ出ていく様子が窺えるのではないでしょうか。物質に留まらず、目に見えないものを描写するにもぴったりの言葉です。