山口県は日本海、瀬戸内海、関門海峡と三方を海に囲まれており、人や物の流通が活発な地域です。。
盆地が点在していて農業にも適しているほか、豊かな自然を活かした県産の酒米も高品質です。山口では、周辺との交流が活発ではあるものの、地元の料理に合わせた日本酒造りが進められています。
日本酒は蔵元のある地域の自然環境や使用する酒米、麹などによって味わいがずいぶん異なってきます。隣接する島根県の日本酒が甘く濃厚な特徴を持っているのに対し、山口の日本酒はミネラルウォーターのように淡麗で軽い飲みやすさが人気です。
オリジナルの酒米である「西都の雫」や県内産の「山田錦」は、山口の日本酒造りに欠かせない原料です。
国内では日本酒の需要が伸び悩んでいることから蔵元の数も減少傾向になっていましたが、山口で作られている日本酒が全国的にブームになったことがきっかけで、海外進出まで果たしています。
山口県のおすすめ日本酒①
獺祭
山口県のおすすめ日本酒として外せないのが、旭酒造の獺祭です。通常の蔵元とは全く異なる製造工程をとっており、環境などにほとんど左右されず、安定しておいしい日本酒を生み出しています。
特徴としては、雑味のもととなる酒米のたんぱく質を極限まで磨いて取り除き、小規模であることを逆に活かして大吟醸だけを製造しています。また、遠心分離システムで酒を搾り、純度が高く香りや味わいはそのままの日本酒に仕上げているのです。
空調設備で環境を安定させ、杜氏制度を廃止して社員で作業をするなど、斬新な方法で日本酒を製造しています。獺祭は今や山口だけでなく全国から注文が来るほどの人気で、海外にもシェアを伸ばしています。
クセがなく飲みやすいながらもキレやふんわりとした香りがあり、上品な味わいです。
山口県のおすすめ日本酒②
東洋美人
山口には、全国的に高く評価されている日本酒がたくさんあります。
澄川酒造場の東洋美人もその一つで、山口では獺祭と並んで人気の高い銘柄です。銘柄通りの上品でしっとりした味わいは、山口で昔から愛されているだけでなく、県外や海外でも高く評価されています。こちらの酒蔵は大正10年創業の老舗で、銘柄は東洋美人一種のみに限定しています。
さらに、ここで作られている日本酒の大半が清酒の製法品質表示基準の要件を満たす、「特定名称酒」になっており、透明感がありながら米の旨みがはっきり感じられる逸品です。
決して順風満帆に発展していったわけではなく、過去には集中豪雨で日本酒が流され、機械が壊れるといった被害もありましたが、山口の日本酒としてあちこちに定着していたこともあり、全国の蔵元関係者や酒販店、ボランティアなどの多くの助けを得て、2013年末から仕込みを再開しています。
山口県のおすすめ日本酒③
雁木
八百新酒造の雁木は、力強い飲みごたえが特徴で、すべて無濾過仕立てで仕上げています。
雁木というのは船着き場の階段のついた桟橋のことですが、かつては原料の酒米をここから水揚げしていたことから名づけられています。少量仕込みの伝統的な製法で、大量に出回るお酒ではないものの、コストパフォーマンスが高いと日本酒ファンから高く評価されています。
山口の日本酒は、山口の郷土料理に合わせた味わいにしているものが多いですが、雁木は米の旨みとキレがしっかりしていながら、全体的なバランスが良くいろいろな料理に合います。