杜氏は「とうじ・とじ」と読みます。 日本酒造りの職人「蔵人」を管理、統括する人のことを杜氏といいます。 では社長さんなの?と思われそうですが、経営者は別にいて、その下に杜氏がいるといった組織図になっています。
昔は冬、日本酒を仕込む農閑期に、経験豊富な杜氏が外部から各蔵元に一人派遣されてきていたそうです。
現在では高齢化や後継者不足により自社の社員に杜氏をさせるところも増えているそうです。
杜氏の仕事
杜氏の仕事を説明する前に、蔵元での日本酒造りの組織体系について触れたいと思います。 社長である経営者の下に杜氏がいます。その下には補佐的役割の「頭(かしら)」、麹づくりの責任者「麹師(こうじし)」、母酒作りを仕切っている「酛廻り(もとまわり)」がいます。
それぞれにはその下で働く蔵人がいます。この蔵人たちを統括、管理するのが杜氏の役割です。日本酒造りにおいては総指揮官、最高責任者といったところです。
杜氏はすべての工程に精通しており、それなりの知識や経験も必要となるのです。
杜氏の年収/勤務体系/福利厚生
杜氏は責任重大なのに農閑期しか雇ってもらえないなんて儲からないのでは?不安定そう・・・。といった声が聞こえてきそうです。
杜氏の年収は、蔵元にもよりますが社員として雇用されている場合、500万から1000万程度の年収ということですが、蔵元に社員雇用されるということは農閑期だけでなく通年での雇用となる場合がほとんどでしょう。
しかし、杜氏になるための見習い期間は、月収10万円程度の場合もあるそうです。
見習い期間は、技術を伝承してもらうための修行期間といえます。当然職人的なお仕事になりますので朝は早いことが多いです。
また、会社によっては日々変わる醸造の工程をオートメーション管理しているため、デスクワークがある場合があります。
勤務体系は会社にもよりますが、定時がある場合がほとんどでしょう。 福利厚生については酒造一級技能士などの資格取得に向けて、補助などをしてくれるところもあるようです。
杜氏のメリット・デメリット
メリットは、日本の伝統技術を継承できるという点が一番多い気いのではないでしょうか。
自分が関わった日本酒が世界に認められ、たくさんの人の幸せにつながるとしたら、とてもやりがいのあるお仕事だといえます。
デメリットは、杜氏の采配でその蔵元のお酒の出来が左右されますのでプレッシャーやストレスは計り知れないことです。
見習いの時期は、やや収入面が少ないので、やはり強い意志がないと続けられない責任ある仕事です。
杜氏に向いている人、向いてない人
杜氏に向いている人はやはり日本酒が好きな人です。
反対に比較的向いていない人はストレス耐性のない人や、気の弱い人でしょう。 近代化したとはいえ、蔵元にはまだまだ職人気質の方も多いのが現状です。強くやり抜く気持ちを持った人には向いています。
杜氏の将来性
今は国内より海外で人気の日本酒。 単価が安く、大衆的なイメージから、高級なワインと並び称されるようになった日本酒にはこれからまだまだ成長の可能性が大きくあります。
将来性においては、外食産業とのコラボレーションや、海外富裕層への販路拡大などまだまだ開拓の余地があるといえます。