日本各地で行われる、「灯篭流し」という行事をご存知でしょうか。
灯籠流しとは、灯篭と呼ばれる器具を用い、それに火を灯し川に流すという行事です。これには故人の霊を供養するという意味合いがあり、お盆の時期などに各地で開催されている行事です。
今回は有名な灯篭流しを行っている場所やその歴史、参加する際のマナー等を紹介していきます。
国内各地の灯篭流し①
長崎の灯篭流し
まず紹介するのは長崎県の灯篭流しです。長崎では他とは少し違い、精霊流し(しょうろうながし)として地域に定着しています。灯篭流しは灯篭を川に流すのに対して、精霊流しでは精霊舟と呼ばれる木など自然のもので作った舟を流します。
この地域に根づいている精霊流しと、万灯籠流しと呼ばれる灯篭流しの2種類が行われているのが長崎県の特徴です。開催日はどちらもお盆の8月15日。開催場所は万灯籠流しが佐世保中央駅から徒歩5分の場所にある、アルバカーキ橋で行われます。
残念ながら灯篭を流して参加することはできませんが、観覧は自由に行うことができます。
精霊流しのほうは故人の自宅から流し場という場所まで舟を担いで練り歩くために、各地で行われています。そのためこの日は18時頃から各地で交通規制が行われます。
参加したい場合は早めに現地に到着しておいたほうがいいでしょう。
国内各地の灯篭流し②
広島の灯篭流し
出典:写真AC
広島県の灯篭流しです。
こちらは原爆投下日である8月6日に行われます。個人の弔いだけでなく、平和への祈りも込められている行事です。開催場所は広島市の広島原爆ドーム前の平和公園で行われます。会場では600円で灯篭が用意されており、こちらに思い思いの言葉を書き込むことができます。
言葉を書き込んだ後、火を灯してもらい川に流します。全国から人が集まるのはもちろん、世界でも報道されており、外国人も多く立ち寄るなど世界的に有名な行事になっています。そのため1万個以上の灯篭が流される全国屈指の灯篭流しスポットです。
国内各地の灯篭流し③
東京の灯篭流し
出典:写真AC
灯篭流しは東京でも行われています。最後に、東京の灯篭流しを紹介します。東京で有名な灯篭流しは浅草で行われています。
それが「浅草夏の夜まつり 灯篭流し」です。隅田川に隣接している隅田公園親水テラスから灯篭を流して、様々な想いを込めることができます。
電車の場合は東京メトロ銀座線の浅草駅から徒歩3分ほどになっています。開催日時は8月中旬、毎年変わるのでチェックは忘れないようにしてください。灯篭は1基1500円になっています。
夜の隅田川に浮かぶ幻想的な灯篭を眺めてみるのも素敵ですよ。この灯篭流しが開催される日には、隅田川灯篭流しクルーズというクルーズ船も出航します。
人気のあるコースなために予約は必須ですが、船の上から灯篭を流すというのも風情があって素敵です。
灯篭流しの歴史・起源
出典:写真AC
この灯篭流しが生まれたのは一体いつからなのでしょうか。その歴史を紐解いてみましょう。
灯篭流しは送り火と言われる行事が元になったと言われています。火を使い死者を弔うということ自体は昔から行われてきました。
しかし灯篭流しという行事が生まれたのは戦後の広島であると言われています。
そのために広島や長崎などでは大きな灯篭流しが行われます。当初は亡くなられた方の名前を書くものでしたが、平和の願いを書くという人も徐々に増えてきて、慰霊と同時に平和を祈る行事へとも変化しました。
灯篭流しの特徴・見どころ
灯篭流しの見どころといえばやはり川に数多く流される灯篭の数です。場所によっては1万を超えるという膨大な灯篭の数が用意されています。
その灯篭が川一面に敷き詰められて、火が灯る姿は幻想的で素晴らしいの一言です。一つ一つの灯篭に注目してみるというのもいいでしょう。
素敵なデザインの灯篭から、様々な願いが込められた灯篭まで、それぞれが違う顔を持っていることがわかると思います。そのような灯篭流しは花火や夏祭りと共に開催される地域も多くあります。
祭りを楽しみながら、灯篭流しで平和への祈りを行うこともできます。
花火も火を用いて死者を弔う、送り火の行事の一種だと言われている地域もあります。同じ送り火として相性が良いため、同時開催される場所が多いのです。
次のページでは、知っておくべき灯籠流しのマナーをご紹介します。
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