日本の夏の風物詩といえば花火ですよね。全国各地でさまざまな花火大会が催されますが、そこで打ち上げられる花火をトータルでプロデュースしているのが「花火師」と呼ばれる人たちです。多くの人の心を魅了する花火を作る職人になるには、どうすればよいのでしょうか。花火師の職業事情やなり方を紹介します。
花火師とは
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花火を作り、打ち上げまでをトータルで担当する職人のことを「花火師」と言います。日本の夏祭りをはじめとした花火の活躍シーンを、裏から支える重要な存在です。
花火師の仕事
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花火の製造は、花火師の非常に重要な仕事です。注文された種類の花火を、安全かつ迅速に作り上げていきます。 また製造を行うだけではなく、実際に花火の打ち上げに関する様々な準備をするのも、花火師の重要業務です。
花火そのものはもちろん、打揚筒をはじめとした諸々の機材を用意し、花火大会の現場に搬入し、所定の場所に設置します。運営サイドと相談し、適切な設置位置を前もって検証しておくのです。当然、当日の打ち上げも担当しますし、後片付けも行います。機材やゴミを回収したり、花火の残骸が落下していないかどうか点検もします。
花火師の年収/勤務体系/福利厚生
花火師が働いているのは、主に煙火事務所と呼ばれるところです。事業規模は全体的に小規模なところが多く、打ち上げのみを担当している企業、製造と販売のみを担っている企業など様々です。
正社員制度もありますが、一人前になる前の下積み時代は、契約社員やアルバイトとして雇用されるケースも少なくありません。 平均年収は、およそ310万円程度となっています。下積み時代の年収はこれよりずっと低く、月収で言うと10万円から15万円程度です。夏場の繁忙期以外は、更に収入が低くなるケースもあります。
しかし一人前の花火師になると、年収が1000万円ほどに及ぶ場合もあります。 休日は週休二日の一般的なシステムを取り入れている事務所が多いものの、繁忙期は休日返上のケースも少なくありません。特に花火大会は週末に開催されるパターンが基本なので、夏場は休み無しということもあります。
多くの人を魅了することができる花火師
日本の伝統工芸に携われるということは、花火師ならではの大きな魅力だと言えるでしょう。花火師独自の高い芸術技能を身に着けることが可能です。自分が手掛けた花火で何万人もの観客を一度に魅了することが出来るというのは、ほかの仕事にはない貴重なやりがいになるでしょう。
キャリアを積み重ねれば、自分のオリジナルの花火や演出方法を考案するチャンスもあります。一方で花火師の仕事は、基本的には重労働です。力仕事も多く、一人前になるまでは長い下積みを経る必要があります。
修行時代は収入も低くなりやすく、土木業を始めとしたその他の仕事と合わせて二足のわらじを履く人もたくさんいます。心身ともに負担が大きいというリスクはあるでしょう。
花火師に向いている人・向いていない人
花火師に向いているのは、強い情熱を持ち、目標に向かって地道な努力を続けられる人です。花火師には自立するまでの根気強い取り組みが求められます。心身ともにタフでなければ続かないため、体力や気力も必要でしょう。
また火薬という危険物を取り扱うため、慎重かつ責任感のある人でなければいけません。根気強く淡々と、真摯に仕事が出来る人ほど、花火師として活躍しやすいでしょう。
逆に言えば、危険物に対する意識が低い人や、手っ取り早い結果を求める人には、花火師はあまり向いていない仕事です。ちょっとした意識の抜けが大きな事故に繋がり、多数の人を事故に巻き込んでしまう可能性もあるからです。