富山の鋳造メーカー「能作」の魅力|人気商品・工場見学・鋳物体験

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株式会社「能作」は、富山県高岡市に本社を置く鋳造メーカーです。 創業以来手がけてきた茶道具や花器などの銅製品に加え、現在ではおしゃれなインテリア雑貨やエクステリア、照明、テーブルウェアなどの錫製品も人気を集めています。

今回は能作の歴史や商品など魅力をご紹介していきます。

株式会社能作とは

株式会社能作はもともとは、1916年(大正5年)に仏具製造のために設立されたのが始まりでした。 その後、事業拡大にともない1967年には有限会社、2002年には株式会社へと改組。その翌年からは、現在メイン商品のひとつとなっている錫の鋳物にも取り組んでいます。

伝統的な生型鋳造法だけではなく、独自のシリコーン鋳造法も取り入れるなど、ベストな製品を作り出すためにさまざまな手法を積極的に導入。さらに、NC加工や3Dプリントといった最新技術も取り入れたそのデザイン性は、とても高く評価されています。

日本デザインコミッティーのコレクションやニューヨーク近代美術館の販売品に選ばれるなど、その名声は広く海外まで届いています。

まさに、今最も注目を集めている鋳造メーカーのひとつといえるでしょう。

能作を産んだ、富山の鋳型文化


出典:Wikimedia Commons

今をさかのぼること、600年以上。すでに室町時代のころから、富山県では鋳造がさかんに行われていたといいます。

それを地域産業として確立させたのが、加賀藩主として入城した前田利長でした。 1609年に高岡を商工業の町として開くと、鋳物による産業を大いに進めていきます。

2年後の1611年には、礪波郡西部金屋村から金森弥右衛門ら7人の鋳物師を、現在の金屋町に招いています。 こうして、鋳物製作はこの地に根付いていきました。 始めのうちに作られていたのは、まず鍋や釜、鍬といった日用品や農耕具がおもなものでした。

やがて江戸時代も中ごろになると、灯籠や梵鐘などの鋳物も手がけるようになります。そして江戸時代末期、技術の発展にともなって、より芸術性の高い花瓶や仏具などが作られるようになります。

さらに、明治時代になると仕事を失った刀職人なども参加。伝統工芸品のひとつとして、製品が海外へも輸出されるようになります。

特に1873年のウィーン万博への出展は大いに評判を呼び、日本国内でも高岡銅器の名が知られるきっかけとなりました。 現在、じつに国内の銅器の生産額の約95%が高岡市によって産み出されています。

日本三大大仏のひとつ高岡大仏や、藤子・F・不二雄の出身地としてゆかりあるドラえもんのポストなど、町を歩けばそこかしこにさまざまな銅器や銅像を見ることができます。

能作が注目した「すずがみ」の性質

「すずがみ」というのは、錫を金槌で何回も叩いて伸ばして作る素材のことです。

錫の特性は、何といっても軟らかさ。それを活かしたすずがみは、特に力を入れなくても簡単に曲げ伸ばしができ、自由な変形を可能としています。 まるで紙のように折り曲げられることから、すずがみという名称が付きました。

たとえ既成品であっても、ちょっとしたアイディアで自分好みのアレンジを自由に加えられるのが大きな特長です。一度曲げても、これを使えばもとの平らな形に戻せるので、何度でも違う形を楽しむことができ、収納するのにも便利です。

折り曲がるときに鳴る、錫の分子がこすれ合う独特の音は「錫鳴き」と呼ばれ、情緒深さに彩りをくわえてくれます。

能作ではこの錫の柔らかさを活かし、「曲がる」シリーズを展開。美しい網目や模様をかたどった鋳物を折り曲げて、自分だけの花器やお皿として使うことができます。

次のページでは、能作の魅力的な作品を紹介します。

富山の伝統工芸「高岡漆器」その特徴と螺鈿体験を紹介 

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