富山の伝統工芸「高岡漆器」その特徴と螺鈿体験を紹介

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お節料理を入れる重箱や汁物を入れる椀など、日本には伝統的な漆器があります。そのなかでも有名なのが富山県の伝統工芸である「高岡漆器」。江戸時代に誕生したその歴史や代表的な技法、そして、装飾技法である螺鈿細工にチャレンジできるお店をご紹介します。

富山の伝統工芸「高岡漆器」の歴史

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高岡漆器は、17世紀のはじめ、江戸時代初期に、加賀藩の二代目藩主であった前田利長が作らせたことに始まっています。前田利長は、加賀に高岡城を築城した時に、全国各地から職人や商人を高岡の町に呼び寄せて城下町をつくりました。

そして、箪笥や膳など日常生活の中で使用する家具や什器を高岡漆器で整え、さらに武具にも採用したのです。当初は、赤茶色に塗られた赤物(あかもの)という漆器が主流であり、販路は高岡の町にとどまらず、北海道にまで広がったといいます。

そして、江戸中期になると、中国から堆朱(ついしゅ)、堆黒(ついこく)という漆を塗り重ねることで紋様を描き出す技法が伝来してきました。堆朱というのは朱漆を数十回も重ね塗りして彫刻を施したもので、堆黒は黒の漆を使用しています。

こうした鮮やかな色漆を重ねることで漆器に立体感を生み出す彫刻塗や錆絵(さびえ)、螺鈿(らでん)、存星(ぞんせい)など、現代に伝わるさまざまな技巧を凝らした漆器が誕生したのです。

富山の伝統工芸「高岡漆器」の特徴

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高岡漆器には今に伝わる3つの代表的な技法があります。ひとつは「彫刻塗」と言われるもので、江戸中期に活躍した辻丹甫がその礎を築きました。木彫堆朱や堆黒などの技巧を施した雷紋や、亀甲の地紋の上に草花鳥獣、青海波、牡丹、孔雀などの絵柄を表現したものが多数あります。

この技法は、現代では産業としても発展を遂げ、海外でも高い評価を得ています。また、「勇助塗」という技法も高岡塗の代表的な技法で、江戸末期に初代石井勇助が編み出したものです。

勇助は中国の明の時代の漆器について研究を重ね、この技法を編み出しました。そのため、勇介塗は、そこはかとなく唐の雰囲気がにじみ出ていて、花鳥・山水・人物などの錆絵や箔絵が描かれています。

また、青貝、玉石などの装飾がしてあるのも勇介塗の特徴です。そして、「青貝塗」という鮑などの貝殻を使って細かい破片を作り、それを漆器に貼り付けて山水や花鳥を表現したものも高岡漆器を代表しています。

富山の伝統工芸「高岡漆器」に施す螺鈿体験

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螺鈿とは沖縄周辺で獲れる夜光貝などの貝殻に彫刻をして、漆器や木地にはめ込む技法のことです。貝の表面に色をつけたり、貝の裏面に金箔や銀箔で装飾を施したりしたものを色底螺鈿といいます。

螺鈿には厚みのある貝殻を使ったものと薄い貝殻を使ったものがあり、厚貝は真珠のような鈍い色の光沢を放ち、薄貝の場合は、青から赤へと変化する貝の膜層を利用した色合いが特徴です。

高岡には、この螺鈿細工を体験できる施設があります。「はんぶんこ」という店なのですが、江戸時代から続く金物屋「金七金物店」をリノベーションした建物を使って職人の手による工芸品の販売をしています。ここでは、螺鈿細工体験以外にも錫のぐい呑を作るワークショップに参加することができるのです。

螺鈿細工のワークショップでは、鮑の貝殻を薄く切ったものに皮を使って貼り付けます。おにぎり型の弁当箱か手鏡のいずれかひとつに自分で考えたデザインの螺鈿細工を施すことができます。

お子様も参加できるので、親子で螺鈿細工にチャレンジすることも可能です。完全予約制で、金曜、土曜、日曜が開催日です。詳しくは下記までお問い合わせ下さい。

施設名:はんぶんこ

住所:富山県高岡市小馬出町63

電話番号:0766-50-9070

URL: http://hanbunko.org/

陶器の器もいいですが、時には木の器も温もりが感じられ、伝統工芸品の重み漂う高岡漆器を使ってみてもいいのではないでしょうか。ぜひ、高岡を訪れ、長い歴史に育まれた高岡漆器の美しさに触れてみて下さいね。

そして、その際にはぜひ螺鈿細工の体験もおすすめします。

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