「風習」と「文化」や「習慣」の違いは?
「風習」という言葉は一般的に「文化」や「習慣」と混同されがちですが、実際には意味合いが異なります。
風習というのは、限定された地域で受け継がれてきた特有のならわしです。文化は人々が社会生活において培ってきた知識やならわしであり、より普遍的な意味合いを持ちます。
風習であれば、地域や国が変われば異なるケースも多く見られますが、文化というのは国単位のような広範囲で共有している事柄が多く、多くの人が行っていることから、異なった文化を持つ人からも受け入れられやすいです。
一方、習慣というのはどちらかといえば個人の癖に近く、繰り返し行ってきたために無意識下で行う動作などを表すことが多いです。団体や地域単位での習慣もありますが、風習よりもさらに狭い範囲で用いられがちです。
日本の風習が独特なワケ
出典:ぱくたそ
風習は地域によって若干の違いがあるものの、ある程度広範囲の人に受け入れられているならわしであるため、日本国内ならば多少の違和感があっても基本的に受け入れられます。
しかし、日本は島国という立地条件の上、鎖国を行っていた時期もあったため、他国の文化や風習を取り入れる機会がほとんどありませんでした。
そのため、同じ日本人から見れば普通のことであっても、海外の人からすれば驚かれるような風習もたくさんあります。
日本は他国の影響を受けにくい環境下で長年かけて培われてきた風習も多く、他国にも類似する風習がないケースが少なくありません。
外国人が驚く日本の風習①
家の中に仏壇と神棚がある
出典:写真AC
日本の風習の中でも、海外で最も驚かれるものの一つに、家に神棚と仏壇の両方を飾っていることが挙げられます。
海外は基本的に一つの宗教のみを進行しており、信仰心も日本に比べると強い傾向にあります。そのため、異なる宗教の象徴である神棚と仏壇が一つの家庭にあるという状況が、にわかには受け入れがたいのです。
日本では、八百万の神々を信仰する風習が広まっていますので、神棚と仏壇を同時に祀っていても特に問題視はされません。また、物や自然にはそれぞれに異なる神々が宿っているという認識を持っているため、異なる対象にそれぞれに手を合わせることも当たり前のように考えられているのです。
外国人が驚く日本の風習②
冠婚葬祭でお金を包む
出典:ぱくたそ
日本では当たり前のように行われている、冠婚葬祭でお金を包む行為も、海外では驚かれます。
海外では宗教に関係なく、冠婚葬祭にお金を包むことはまずありません。例えば、結婚式に関して言えば、アメリカでは新郎新婦がほしいものリストを掲載し、招待客がそれらの中からプレゼントを選んで購入し、品物で贈るのが一般的な風習です。
現金やギフトカードを送ることもありますが、日本のご祝儀よりはずっと少なめです。また、不幸があったときには、花やカードを送るのみで、お香典に該当するものを渡すような風習はありません。
外国人が驚く日本の風習③
サインではなく印鑑ばかり
出典:写真AC
海外では、ビジネスにおいてサインを使って本人であることを証明するのが一般的です。
ですが、日本ではサインよりも印鑑の方を使用する風習であり、海外では驚かれるのです。世界中で見ても、印鑑を法的な証明として用いる国は日本以外に台湾と韓国くらいで、少数派の風習といえます。
確かにサインの方が模倣されにくく、本人であることを証明しやすいという側面もありますが、日本では複製が困難な複雑な陰影の実印や銀行印を用意して、普段使用する認印よりもセキュリティを強くするなどの対策が取られています。