茅葺き屋根の特徴とメリット|葺き替えの方法とタイミングもチェック

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茅葺き屋根に必要な葺き替え


出典:ぱくたそ

茅葺き屋根を維持していくためには定期的に屋根の葺き替えが必要です。

葺き替えの方法としては全面的に葺き替える「丸葺き」と部分的に吹き替える「分割葺き」、さらには傷みの進んだ部分に少しずつ茅を差して補修する「差茅(さしがや)」といったものがあります。

これらは地域によって用いられる方法が異なり、温暖な九州や四国地方では丸葺き、東北地方や北信越の日本海側では差茅、それ以外の地域では分割葺きが一般的です。

それでも、様々な環境によっても異なりますが、通常20年差茅30年丸葺きというのが茅葺き屋根におけるメンテナンスのひとつの目安です。

また、日常的なメンテナンスとしては、表面に生えた苔を取り除く「苔落し」もあります。これは屋根の表面の茅を削り取り腐朽を防ぐもので、汚れを落とすためでもあります。

そして、葺き替えの場合でも、3分の1から4分の1の茅は再利用され、それ以外も堆肥として利用されます。

茅葺き屋根の景観地・世界遺産白川郷


出典:写真AC

現在、茅葺き屋根の代表的な景観地としては岐阜県白川郷があります。

日本の原風景ともいえる合掌造り集落は、1976年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、1995年には富山県の五箇山と共に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコの世界文化遺産にも登録されました。

合掌造りは勾配の急な茅葺きの切妻屋根で、これが手を合わせた合掌の形に見えることから名付けられました。

現在では国内外から多くの観光客が訪れる人気の観光スポットですが、いまなお集落の多くの住居では、実際に住民が生活を営んでおり、中には築後400年を経過しているものもあります。

見た目だけではなく機能性も優れた茅葺き屋根


Photo by bluXgraphics(motorcycle design Japan)=Midorikawa

茅葺き屋根の魅力は様々ですが、特徴として挙げられるのは断熱性に優れ、意外にも防水性が高く、素材の茅自体が軽量で屋根を軽く仕上げられるということがあります。

また、近年海外ではスロー住宅として注目も集めつつあります。

日本においては茅葺き職人をはじめ、茅葺きの経験のある人も減り、茅の入手もままなりませんが、優れた居住性を持つ茅葺き屋根の文化を守っていくのは日本の文化を守っていくことといえるかもしれません。

茅葺き屋根に関する本はこちらがおすすめです。

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