剣道の防具をそろえよう
出典：写真AC
こちらでは、剣道の防具をご紹介します。それぞれの特徴や役割、名称などはもちろん、かかる費用などもぜひチェックして剣道を始める方はこちらをご参考に防具をそろえてみてください。
剣道の防具その１「面」
面は、頭部から喉までを守る剣道の防具です。 頭頂部から肩の部分までが、「面布団」と呼ばれる1枚の板状の刺し子でおおわれています。素材は、圧縮綿やフェルト、毛氈、クラリーノなどを緩衝材として、それに紺革や紺反などを縫い付けています。
正面には、「面金」という金属製の格子ははめられています。縦に1本の「中金」、横に14本の「横金」が組み合わされ、横金の6本目と7本目の間は見やすくするために間隔を広くして、「物見」と呼んでいます。以前は鉄やステンレスが一般的でしたが、現在ではジェラルミンやチタンなどによる軽量化が進んでいます。
横金の下から4〜5本目には、面紐を結びつけた「面乳革」が取り付けられています。この形式を「下付け」といい、西日本などでは中金の頭頂部に取り付ける「上付け」も用いられています。
面の内側には、土手状になった「内輪」があり、額に当てる「天」、顎に当てる「地」とともに衝撃を吸収します。顔に直接触れるため、肌触りや通気性を考えた、ビロードやテトニット、アイレザーなどが素材に用いられています。 面金の下には、「突き垂」と呼ばれる喉を守る部位があります。その内側には、突きが外れたさいのために「用心垂」もついています。
突き垂には、蜀紅や飾り糸などでさまざまな文様もほどこされています。 面の価格は、安いミシン刺しのもので1万5,000円から。手差しやオーダーメイドの高級品となると、5〜20万円ほどになります。
剣道の防具その２「小手」
小手は、拳から手首周辺の前腕を守るための剣道の防具です。 前腕を保護する部分は、板状の「小手布団」を筒状に丸めて作られています。芯材には、圧縮綿、フェルト、毛氈、クラリーノなどを用い、紺革、織刺、紺反などで縫い合わせています。内側は手首を動かしやすいように、「小手紐」を交差してつなぎ合わせています。
拳を保護する部分は、「小手頭」といいます。竹刀を握るために、親指だけが分かれています。内部の素材には、弾力性の高い化学繊維や、丈夫でなじみやすい鹿毛が用いられています。
また、手の平側は「手の内」といい、鹿革や合成皮革、クラリーノといった柔らかく丈夫な素材が使用されています。 小手布団と小手頭の間は「筒」といい、手首を動かすためにより柔らかい素材が用いられ、飾り糸を縫い付けることで耐久性を高めています。
小手頭と筒の間は打突を受けるので、「ケラ」と呼ばれる盛り上がった部分が1〜2段作られています。 小手の価格は、安いもので5,000円から。高級なものになると、2〜10万円ほどになります。
剣道の防具その３「胴」
胴は、胸から腹、脇腹にかけてを守る剣道の防具です。 胸部分の「胴胸」は、突かれたさいに喉に当たらない滑り止めの役割も果たしています。牛革に漆を塗った黒桟革でおおわれ、蜀紅や飾り糸などで雲形などのさまざまな文様がほどこされています。最近では、文様のない点刺しも多くなっています。
腹部分となる「胴台」は、竹やプラスチック、ファイバーなどより硬く強い素材で作られています。竹胴は、50本以上の竹を組み上げて土台とし、牛革を張って漆を塗ります。プラスチックやファイバーの場合は、これを再現したような仕上げがほどこされます。
ほかにも、着色しない生地胴や、鮫皮を張った鮫胴などもあります。 胸胴と腹胴には、それぞれ胴紐を結ぶための「胸乳革」、「胴乳革」が取り付けられています。 胴の価格は、ミシン刺しの安いもので1万円から。手差しなどの高級品になると、3〜10万円ほどとなります。
剣道の防具その４「垂」
垂は、腰の部分から太ももまでを守る剣道の防具です。打突部位ではありませんが、竹刀が外れたときなどを想定しています。 腰に巻く「前帯」は、より締めやすいように刺し子や布地だけで作られています。この前帯の左右に「垂紐」が取り付けられ、後ろで結ぶようになっています。
前帯の正面には、3枚の大垂とその間に2枚の小垂が下がっています。 中央の大垂には、名前や団体名などを書いた合皮製の名札をはめます。上に横書きで団体名を、下に縦書きで姓を記します。このときの文字は、黒地か紺地に白と定められています。
垂の価格は、ミシン刺しの安いもので1万円から。手差しなどの高級品では、4〜12万円ほどとなります。 こららの剣道防具を一式そろえるには、だいたい12万円〜20万円程度が必要となります。
