古伊万里(こいまり)と伊万里焼の違い|歴史・特徴・魅力を紹介

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国内外で骨董品として評価され、多くのコレクターに愛される「古伊万里」をご存知でしょうか?伊万里焼や有田焼との違い、特徴や魅力をご紹介します。

古伊万里とは

伊万里焼とは、現在の佐賀県および長崎県にあたる肥前国で作られていた磁器のことをいいます。

有田焼をはじめ、三川内焼や波佐見焼なども伊万里焼にふくまれており、これらをまとめて伊万里と呼ぶようになったのは、磁器を輸送するさいに伊万里の港が利用されていたからです。遠方の地に住む人々にとっては、いずれも伊万里から運ばれてきた磁器、という認識だったわけです。 そのため、研究者の間では産地をあらわす「肥前磁器」と呼ぶこともあります。

このような伊万里の磁器なかでも、特に江戸時代に作られたものを「古伊万里(こいまり)」と呼んで区別しています。

古伊万里の美しい仕上がりの理由


出典:ウィキメディアコモンズ

古伊万里の特徴は、そのなめらかな肌触り透き通るような白地にあります。

それを生み出しているのが、地域で発掘される泉山陶石と天草陶石です。これらの陶石はとても強度が高く、美しく焼き上がる性質を持っているため、ほかの土を混ぜる必要がありません。このような陶石は世界でもほかに類を見ず、ヨーロッパ貴族からは「白い金」と評されるほどでした。

その白地をさらに映えさせているのが染付と色絵の美しさで、様式は年代ごとに分かれ、1610〜1630年ごろの「初期伊万里」では、絵付けの前に素焼を行わない「生掛け」で、中国の様式を模倣しつつ、日本らしい素朴な味わいの染付が多くなっています。

これが、1660〜1690年ごろの「柿右衛門様式」になると、素地に直接絵を描いて焼き上げる「濁手」によって、赤を中心により鮮やかで丁寧な色絵となっていきます。

さらに、1690~1740年ごろの「金襴手様式」では、赤地に絵付けしたあとから金を焼き付け、さまざまな色のほどこされた豪華な仕上がりとなります。

このころの古伊万里には、輸出先の注文から、ヨーロッパ風の大きな壺やひげ皿、水注なども多く作られており、のちにふたたび国内向けに量産されるようになった古伊万里は、これとくらべると落ち着いた上品な色合いの作品が多くなっています。

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