硫酸塩泉とは
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硫酸塩泉は温泉法によって定められた泉質の1つで、掲示用泉質名に基づく泉質は療養泉の塩類泉に分類される温泉です。温泉水1kg中に1,000mg以上の含有成分の陰イオンの主成分が硫酸イオンであることが硫酸塩泉の条件となっています。
硫酸塩泉の中でも陽イオンの成分によって石膏泉と呼ばれるカルシウム硫塩泉と正苦味(せいくみ)泉と呼ばれるマグネシウム硫酸塩泉、芒硝(ぼうしょう)泉と呼ばれるナトリウム硫酸塩泉に分けられます。
陽イオンの成分によって3種類に分類される硫酸塩泉ですが、硫酸塩泉には鎮静、鎮痛作用があることから「傷の湯」、鎮静、血圧降下作用があることから「脳卒中の湯」とも呼ばれ薬効の高い泉質だと言われています。
硫酸塩泉の特徴
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硫酸塩泉という名称から刺激が強くてピリピリするような泉質をイメージする方もいるかもしれませんが、硫酸塩泉は陰イオンの主成分が硫酸イオンであることから名付けられており劇薬の硫酸とは異なりますので安心して入浴することができます。
一般的に硫酸塩泉は無色透明無臭であることが特徴だと言われています。飲用も可能ですが硫酸塩泉の1つである正苦味泉は独特の苦味がある泉質です。
石膏泉と芒硝泉は全国各地で湧出しているので手軽に楽しむことができる硫酸塩泉ですが、正苦味泉の湧出は稀で全国的にも珍しい泉質だと言われています。
硫酸塩泉の効能
出典:写真AC
薬用の高い硫酸塩泉は温泉法で定められた掲示用泉質名は療養泉の塩類泉に分類されます。陽イオンの成分で3つに分けられる硫酸塩泉は浴用は共通点があるものの、飲用では若干効能が異なりますので具体的に紹介します。
硫酸塩泉と呼ばれる3つの泉質の浴用は鎮静、鎮痛、血圧効果作用が注目されます。鎮静鎮痛効果は打身、切り傷、火傷などの外傷や慢性関節性リウマチに効果が期待されるほか、血圧降下作用が期待できることから高血圧症、動脈硬化症、脳卒中などへの浴用があると考えられています。「傷の湯」や「脳卒中の湯」と呼ばれ古くから多くの湯治客に愛された泉質だと言えるでしょう。
一方飲用では石膏泉と呼ばれるカルシウム硫酸塩泉と芒硝泉と呼ばれるナトリウム硫酸塩泉には腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にする胆汁の分泌を促進する働きがあり胆道疾患、弛緩性便秘、糖尿病、肥満症、痛風に効果があると考えられています。
またナトリウム硫酸塩泉には多くのナトリウムが含まれるため、飲用でも血圧降下や鎮静作用が期待できます。 正苦味泉と呼ばれるマグネシウム硫酸塩泉は、マグネシウムが多く含まれるために飲用することで鎮痛や血圧降下作用に優れていると考えられています。
動脈硬化や脳卒中の予防の他、脳卒中で併発する体の麻痺の改善効果が期待されています。名前のとおり苦味がある為、飲用に抵抗がある方もいるかと思いますが「良薬口に苦し」の典型的な例だと考えると苦味も効能の内だと考えられるのではないでしょうか?