硫黄泉とは
温泉法によって定められた掲示用泉質名に基づく泉質では療養泉にカテゴライズされるのが、温泉水1kg中に2mg以上の総硫黄の含有がある硫黄泉です。
以前は硫化水素を含む硫化水素泉と硫化水素を全く含まない硫黄泉とで分けられていましたが、1978年の温泉法改訂によって統一表示されるようになり、現在は一般的に硫黄泉と呼ばれています。
硫黄泉は日本国内で比較的多く湧出するもので、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症などに対する浴用があると言われています。これらの浴用に加え硫化水素を含有する泉質の硫黄泉では末梢循環障害への浴用が期待できます。
また硫黄泉は飲用も可能で糖尿病や痛風、高コレステロール血症や便秘への効能が期待できるとも言われています。
硫黄泉の特徴
出典:写真AC
一口に硫黄泉と言っても無色透明なものから乳白色、蒼、緑色、茶色など様々な表情を持つ泉質だと言えるでしょう。
例えば乳白色に見える現象は硫黄泉の中でも硫化水素を含む泉質の温泉に多く見られるのが特徴で、硫化水素が空気に触れ酸化することで硫黄コロイドという微粒子に変化した硫黄が光を乱反射することで発生すると考えられています。
また地域が限定されているものの蒼や緑色の温泉は硫化水素を多く含む泉質であることが確認されていますが、発色のメカニズムは解明されていません。自然の力で発生する天然界のマジックだと言えるでしょう。
硫黄分と共に鉄分を含む硫黄泉では湯の色が茶色く見えるケースも存在します。 硫黄泉の特徴ともいえる様々な表情を造り出しているのが硫化水素ですが、硫化水素は卵が腐ったような独特のニオイを発生するのも特徴です。
硫黄泉の温泉や卵の腐ったようなニオイがする場所では装飾品や腕時計などが変色する可能性がありますので、それらは外しておくことをおすすめします。
硫黄泉の効能
出典:写真AC
温泉法で治療泉に位置付けられる硫黄泉は様々な浴用や効能が期待され「生活習慣病の湯」とも呼ばれています。硫黄泉に含まれる硫化水素は低濃度であれば痰の排出を促し慢性気管支拡張症などの呼吸器系の疾患に働きかけると言われています。
また血管拡張作用が体の隅々まで働きかけることから末梢毛細血管が影響する動脈硬化症やしもやけ、頸肩腕症候群、循環器系に働きかけることから心臓疾患への浴用が期待されます。
硫黄泉の含有成分である硫黄には解毒作用があると言われることから、金属や薬物などの中毒症治療にも利用され、慢性皮膚病、慢性関節疾患、慢性関節性リウマチ等にも効果が期待できると考えられています。
さらに皮膚の角質を軟化し溶解する効果も確認されていることから、角化症、慢性湿疹、苔癬(たいせん)、慢性膿皮症等の皮膚病疾患のほか、寄生虫によって引き起こされる疥癬(かいせん)にも効果があると言われることから「万病の湯」「生活習慣病の湯」として古くから利用されて来ました。
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