お正月の初詣では、鈴や絵馬の飾りがついた紅白の矢を持ち歩く人々を大勢見かけます。あれが、神社やお寺でさずかることのできる破魔矢です。 破魔矢は縁起物の一種で、一年間の好運を射止めるという意味を持っています。また、厄除けのお守りとしても用いられます。
破魔矢はあくまでも武器ではないので、矢の先も鋭くは尖っていません。 初詣の時以外にも、男の子が生まれた時に初めて迎えるお正月のお祝いにも用います。また、新しく家を建てた際に、上棟祭で鬼門に向けて棟の上に破魔弓とともに立てかけておく風習が現在でも残っています。
破魔矢の由来
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現在の破魔矢には、「破魔」といういかにも厄除けらしい漢字が当てられています。 しかし、本来「はま」というのは、縄や木を丸めて作った的の穴のことを指していたといいます。
お正月にはその的を空中に放り投げ、弓矢で落としてその年を占う儀式などが行われていました。 このことから、それぞれ弓矢のことを「浜矢」、「浜弓」と呼ぶようになります。 宮中でも、正月17日には射礼という浜矢と浜弓による競技が行われていました。
一方、破魔矢の「破魔」というのは仏教用語で、悪魔や煩悩を打ち払うことをいいます。 この「はま」と「破魔」が通じて縁起が良いとされ、破魔矢は次第に正月の縁起物として扱われるようになっていったのです。
破魔矢以外の矢の使い方
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お正月に神社やお寺でさずかる矢には、破魔矢以外にも鏑矢があります。 鏑というのは、木などをくり抜き蕪の形にした飾りのことです。鏑は中が空洞になっているため、これを矢先に付けた鏑矢は笛のような音を鳴らして飛んでいきます。
かつて戦では、その音を始まりの合図として用いてきました。 現在でも、鏑矢は流鏑馬などの祭礼に用いられています。また、音は邪気を払うという考えから、厄除けや開運を呼ぶ縁起物としても飾られるようになりました。
鏑矢は、戦で最初に射られることから「一番矢」とも呼ばれています。そこから、進学や就職、転居など、新たな決意をもってことを始めるときに最も良い縁起物のひとつとされています。
破魔矢を置く場所
破魔矢の飾り方については、これといって明確な決まりはありません。 玄関口や家族の集まる居間など、邪気を払い、福を招きたい場所に置くとよいでしょう。
また、年によって方角も決まりがありませんので好きな方角に向けて置いてください。気になる方は、その年の凶の方角に向けると良いでしょう。2018年の凶方位は五黄殺である北方向に向けると良いです。
ただし、適当な場所に破魔矢を放置しておくのはよくありません。あくまで神様からさずかったものとして、神棚や床の間など、ふさわしい清らかな場所に置く飾り方をしましょう。
逆に、台所や風呂場、トイレなどの汚れの溜まりやすい場所に破魔矢を置くことは好ましくありません。 また、神様を敬う気持ちを込めて、目線よりも高い位置に置くようにしましょう。神棚がければ、タンスや鴨居の上などでもかまいません。
破魔矢を置く向き
破魔矢の飾り方について、意外と悩んでしまうのがその向きです。 例えば、上棟祭で破魔矢は、北東の鬼門と南西の裏鬼門に向かって立てられます。これは、鬼門が陰陽道で災いを招く方角とされ、忌み嫌われているからです。
しかし、一般家庭での飾り方は、そこまで細かく考える必要はありません。飾りやすい場所に、飾りやすい向きで置くだけで十分です。 もちろん、鬼門や裏鬼門を意識した飾り方でも問題ありません。
風水や占いなどによる凶方位に向けた飾り方もよいでしょう。 ただし、破魔矢を縦に置く飾り方の場合は、かならず矢の先を下に向けてください。これは、天照大神をはじめ、天は神様のいらっしゃる方向だからです。
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