もともとのしはアワビだった?
のしとは、のし紙の水引の上に印刷されている飾り(マーク)のことで、日本では贈答品にこの「のし」を必ず添えるのがしきたりとなっています。 のしはもともと長寿や繁栄を意味する縁起物として、薄く伸ばした鮑を干した「のしあわび」が使われていました。
貴重な鮑を贈り物に添えることで、心の籠った特別な贈り物であることを表しているのです。しかし、のし鮑はそう簡単に入手できるものではなく、次第に紙を折ったのし飾りが代用で使われるようになりました。今ではさらに簡略化され、印刷されたものを使用するようになっています。
現在は、のしと水引が印刷されたのし袋にお祝い金を入れ、印刷されたのし紙を贈り物にかける場合がほとんどで、紙で包む手間・時間も省く略式方法が主流となっています。そのため大切な贈り物やしきたりを重んじたい場合、この方法は失礼にあたることもあるようです。
また、お祝い事であっても贈る品物が肉や魚介類といった生物の場合、生ものの象徴となるのしをつけると意味が重複してしまいます。そのため生ものを贈る際はのしのついていない水引のみの紙を使用することとなります。
この様にのし紙は慶事となる結婚や出産のお祝い、お中元、お歳暮に使われ、そのシチュエーションによって水引の色・水引の結び方・のしの有無など様々なタイプを使い分けることとなります。
一般祝事やお中元・お歳暮といった、何度でも繰り返しても良いお祝い事に使用されるため、結びなおせる蝶結びの水引を使用します。
水引の色は紅白の他、さらに特別な場合は金赤、金銀などが使われます。蝶結びの水引の本数は7本、5本、とありますが、出産内祝には5本が使用され、丁寧に送りたい品物には7本のものを選びます。
何度も起きては困るお祝い事には、固く結ばれた結びきりののしが使用されます。結婚やお見舞い、快気祝いなどによく使われます。この結びきりの水引の本数には、10本、7本、5本、3本とあり、偶数となる10本は主に婚礼関係の祝事に使われます。
3本は5本を簡素化したもので粗品などによく使われ、7本は5本より丁寧にしたものという解釈で良いでしょう。一般的には5本の水引が主流となっています。
ちなみに、快気祝いやお見舞いには「のし」が印刷されていないものを使用することもあるようです。 どちらの結び方ののしでも、水引の本数に迷った場合は品物とのバランスを考えると決めやすいでしょう。
内祝いとは
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本来内祝いとは、身内の中で起こったおめでたいことや、喜びをおすそ分けするという意味の言葉で、近所・親戚・身近にお世話になっている人に贈り物をすることを言います。そのためお祝いを頂いたかどうかとは関係なく内祝いを渡していました。
現代の内祝いは、こちらから進んでお祝いの喜びをおすそ分けするということは無く、お祝いを頂いた方に対してお礼の気持ちを込めた「内祝」を贈るのが一般的となっています。
内祝の種類には、結婚内祝い・出産内祝い・就職内祝い・新築内祝い・開店、開業内祝い・快気内祝い等のほか、子供の祝い事の内祝など多く存在しています。
内祝いの「のし」マナー①
結婚の場合
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結婚祝いに対して内祝いを贈る時は、挙式後の1ヶ月以内に品物を贈るのが一般的です。のしは、紅白10本の結び切りのものを用意します。表書きは、のし上に「内祝」のし下は新郎の苗字のみ記入するのが一般的ですが、その下に夫婦の名前を連名で入れる場合もあります。
また、新郎・新婦の名前のみ記入する形も増えてきているようです。 内祝で贈り物をする場合、お祝いのおすそ分けということから控え目に感じる「内のし」が適しています。
ただ、結婚の内祝は気持ちを込めて手渡しするのが一般的であるため、贈り物の意図がはっきりとわかるように贈り物を包装紙で包んだ後にのし紙をかける外のしでも、失礼にはあたりません。手渡しでも控えめに送りたい場合はもちろん内のしでもかまいません。やむを得ず配送となる場合は内のしが良いでしょう。