地獄谷温泉の見どころは猿
出典:写真AC
長野県の地獄谷温泉は、スノーモンキーと呼ばれる、温泉に浸かる猿が有名な観光地です。世界でも、温泉に浸かる猿というのはここだけです。トリップアドバイザーなどの評価が高く、山奥で交通不便な立地にもかかわらず、外国人観光客の大変な人気を集めています。冬季の平日は、外国人観光客が過半数を占めているほどです。
猿の入浴する地獄谷温泉は、地獄谷野猿公苑という自然テーマパークの一角にありますが、職員の撮影した写真が、アメリカの「ネイチャーズ・ベスト国際写真コンテスト2006」でグランプリを受賞して以来、一目注目を集めるようになったのでした。
長野オリンピックのハーフパイプ会場が近くの上林温泉にあり、各国のメディアが地獄谷温泉に浸かる猿をこぞって取り上げたのも大きかったようです。
地獄谷温泉へのアクセス
長野県でも屈指の名湯である、湯田中温泉、渋温泉を抜けて、さらに元有料道路で快適に走れる草津道路(国道292号線)を東に向かいますと、上林温泉があります。12月から4月までの冬季は、猿の入浴を楽しむためにはオンシーズンですが、この期間に地獄谷温泉に行くためには、上林温泉にある地獄谷野猿公苑の駐車場に車を止め、山道を30分歩かなければなりません。
装備はきちんとしておいたほうがよく、スノーブーツをレンタルして入山するのがお勧めです。地獄谷野猿公苑の冬季の開苑時間は9時頃から16時頃と、生き物相手のため「頃」が付いているのがユニークです。
入苑料金は大人800円、子供400円です。年間パスもあります。人間の泊れる温泉宿は、一軒宿の秘湯、「後楽館」だけです。
後楽館は、囲碁界の巨人、木谷実、呉清源の両棋士が滞在して、昭和初期に大流行した「新布石」を開発した宿でもあり、囲碁ファンの訪問も多いです。日帰り入浴はありませんので、入浴したい方は上林温泉や渋温泉に立ち寄りましょう。
地獄谷温泉で猿が温泉に入り始めた理由
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地獄谷温泉のある地獄谷野猿公苑は、もともと猿が野に降りてきて、長野のリンゴ農家に被害を与えるため、この対策として誕生したものです。猿と人間との共生を図るため、猿を餌付けして開苑したのでした。
ここの開苑がなければ、地獄谷温泉の猿たちは、林野庁の許可に基づき駆除されていたのです。もっとも人間が行ったのは餌付けと公苑の整備までで、温泉に入るようになったのは、猿たちの自主性によるものでした。
好奇心旺盛な子ザルが、最初に後楽館の、もちろん人間用の温泉に入ったのです。猿の世界、特にオスは保守的なので、新たな行動を始めるのはだいたい子供と決まっています。子ザルの行動を大人のメスザルが真似するようになり、徐々に温泉に浸かる猿が増えていきました。
大人のオスはほとんど入浴しないとのこと。現在、衛生面から猿専用露天風呂が整備され、観光客が眺めるのはこちらです。