加賀棒茶が愛される理由|独自の風味や空間に広がる香り豊かな茶

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「棒茶」と聞いて、なんのお茶のことかお判りでしょうか? 「茎茶」という名称ならば、お茶をよく買っている人ならご存知かもしれません。茶葉というくらいですから、お茶は葉を使ったものを淹れることが多いですが、お茶の茎の部分を使ったお茶もあって、これを茎茶または棒茶と言います。

確かに茎のお茶を見ますと、棒のような形状をしています。一般的な棒茶とは、煎茶の副産物です。お茶の一番摘みの際には、手で摘みますので茎は取れません。次に機械で刈り取りますが、このお茶には葉や茎が混じっており、荒茶と呼ばれます。

この荒茶から、「出物」と呼ばれる粉や茎を取り除くと煎茶ができます。さらに煎茶を作った後の荒茶から、粉やひげのような「毛葉」を取り除いて作ったのが棒茶です。いわば二次利用をしているので、一般的には価格が安いものです。もっともその味については旨みが強く、葉のお茶にも決して負けていないものです。

この棒茶を強火で焙じて、ほうじ茶を作ることが多いです。比較的、葉に比べると雑味の少ないお茶ができあがります。一般的な棒茶によるほうじ茶は、夏以降の渋みが強くなり、煎茶に向かなくなった材料茶葉を強火で焙じて作ります。

献上加賀棒茶とは


出典:写真AC

献上加賀棒茶は、棒茶をほうじ茶にした金沢の名産品です。原材料の棒茶は基本的には安価なものですが、手間を掛けて生み出される献上加賀棒茶は、現在では高級なお土産となっています。

一番摘みの上質の茎から作られている点、遠赤外線で焙じる点も、棒茶ほうじ茶の一般的な作り方とは異なります。献上加賀棒茶は、熱湯であまり時間を掛けずに淹れると美味しいとされます。水出しで、冷たくして飲むのも推奨されています。

献上加賀棒茶の特徴と魅力

焙煎の方法を工夫している献上加賀棒茶は、茶色くはなく、緑掛かってもいて、一見ほうじ茶には見えないかもしれません。淹れた後のお茶もまた、澄み切った琥珀色をしています。これは、遠赤外線の輻射熱により、芯から浅く、ふっくらと煎じた効果によるもので、長年培った技術のたまものです。

そして献上加賀棒茶は材料も厳選し、雁ヶ音と呼ばれる一番茶を使っています。このように献上加賀棒茶は、一般的なほうじ茶とはまったく異なる製法で作られており、その味は清冽で、浅炒りのために緑茶に近い味わいも感じられます。

お茶の茎にはもともとカテキンの含有量が少ないところ、焙じることでさらにカフェインも少なめになっています。これが、献上加賀棒茶のすっきりした味わいにつながっています。

献上加賀棒茶の歴史


出典:写真AC

加賀百万石のお膝元、古都金沢では、江戸初期から棒茶が飲まれていました。元はこの地においても、棒茶は安い原材料を使った、安いお茶だったのです。ですが、昭和天皇金沢訪問の折、当時82歳と老齢の天皇のために、刺激の少ないお茶を出して欲しいという要望が出されました。

要望を受けて、トップメーカーの丸八製茶場が開発したのが、現在の献上加賀棒茶だったのです。茶葉の材料は、茶どころ鹿児島から取り寄せました。試行錯誤の結果生まれた献上加賀棒茶は、たちまち高級品となり、現在に至ります。

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