人形浄瑠璃の「浄瑠璃」とは
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では、人形浄瑠璃との「浄瑠璃」とはなんでしょう。浄瑠璃がすなわち人形浄瑠璃というわけではありません。三味線に乗せて語られる浄瑠璃は、これ自体が一つの伝統芸能で、現代にも脈々と伝えられています。
浄瑠璃は歌であり、説明でもあり、登場人物のセリフも喋りますが、これを「語り」といいます。浄瑠璃は芝居に合わせて語られるだけでなく、単独でも語られ続けてきました。浄瑠璃が趣味人の教養でもあった様子は、「軒づけ」「寝床」など、多くの落語でもうかがえます。
明治になると、女芸人の語る娘義太夫が大変な人気を集めました。人形浄瑠璃の上演の際にも、太夫の浄瑠璃が語られますし、歌舞伎でも、太夫の浄瑠璃がしばしば入ります。太夫が物語をリードして、そこに人形の動きと三味線が合わさるのが、人形浄瑠璃の醍醐味といえます。
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阿波人形浄瑠璃
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人形浄瑠璃が文楽だけでない証拠に、徳島県には国の重要無形民俗文化財である阿波人形浄瑠璃が伝えられています。もともと、人形浄瑠璃は、淡路から出たといわれています。
阿波の蜂須賀家政は、人形浄瑠璃を厚く保護し、淡路の一座が諸国巡業に出る際には、必ず徳島城下からスタートさせていました。そのため、徳島に人形浄瑠璃が広まっていったものです。阿波人形浄瑠璃は、農村の庶民の娯楽として伝えられてきたため、野外の舞台で映えるよう、人形の頭が大きく作られているのが特色です。
大坂・江戸における人形浄瑠璃の発展とは別に、阿波人形浄瑠璃も独自に進歩してきました。徳島県立阿波十郎兵衛屋敷では、毎日2回、人形浄瑠璃を公演しています。平日は録音に合わせて人形が動きますが、土日は大夫と三味線も舞台に上がります。
人形浄瑠璃が見られる劇場
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人形浄瑠璃の本場は大阪ですので、専用劇場である国立文楽劇場も大阪の日本橋にあります。貸劇場公演も含めますと、文楽を観劇できる機会は、大変多くなっています。大阪ほどの頻度ではありませんが、東京でも、国立劇場小劇場で文楽が公演されています。
日本独特の古典芸能「人形浄瑠璃」
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世界にも例を見ないユニークな古典芸能、人形浄瑠璃を見てきました。
今でも数多くの公演が行われ、新たなファンを獲得しつつある人形浄瑠璃を、是非一度体験してみてはいかがでしょうか。
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