庵治石を加工する職人
出典:写真AC
庵治石を加工する職人は、産業の発展とともに、大正から昭和にかけて大きくその数を増やしました。 戦後は機械化が進みますが、庵治石は花崗岩の中でも特に硬い石材です。傷の見きわめや石目をそろえるのも難しく、職人泣かせの石材といわれています。したがって、現在でも腕のよい職人は欠かせません。
中でも、石材に丸みをもたせる曲面加工は全て手作業のみです。銀杏の実のような丸みを加える銀杏面加工など、これらの技術は高級感を出すだけではなく、角を欠けにくくする意味合いも持っています。 額縁加工は、機械で磨いた平面に段差をつけてさらに彫り込む技術です。機械との差がはっきりと出るので、より丁寧な仕上げが求められます。
亀腹加工のように独特な曲線でも、ツヤを均一に出していかなければいけません。 蓮華加工や反花加工では、花びらと花びらの接する部分など、機械では彫刻できない繊細な部分を彫り込んでいきます。すじ蓮華では、一枚の花びらに数本の筋を入れていくという、とても根気と集中力の必要な作業となります。
希少価値の高い庵治石
庵治石は、そのきめ細かな結晶の美しさや耐久性、そして職人の巧みな彫刻からその希少価値が生み出されています。 いずれを取ってみても、まさに世界に誇るべき日本の技術といえるでしょう。
普段から、墓石や灯籠などの石材の違いに目がいく人はなかなかいません。しかし、よくよく観察してみると、庵治石と他の石材とでは、はっきり違うと感じる風格があります。 お墓参りや展示場に行く機会があれば、ぜひその本物の存在感を確かめてみてください。