庵治石(あじいし)とは?|価格相場や産地・歴史を紹介

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庵治石の用途


出典:写真AC

庵治石は花崗岩の中でも結晶が細かく、とても精密な細工を施すことができます。 そのため、墓石をはじめ、灯籠や塔、鳥居、狛犬、仏像、記念碑、さらに芸術作品などにも用いられます。

広島平和記念公園の原爆死没者慰霊碑や、成田山新勝寺の石碑なども庵治石を石材としています。 ただし、庵治石の丁場には亀裂の入った岩盤が多く、なかなか大きな石を採石することはできません。

また、同じ丁場でも模様や色合いがそろいにくく、まとまった石材としては使いづらい状況です。 そのため、実際に墓石などに使用されているのは、年間産出量30万トンのうちわずか1%程度にすぎません。 それ以外の用途としては、建築用の敷石や柱石、庭石、砂利、埋め立て用の捨石などがあります。首相官邸の庭石や、大阪城、姫路城の築石なども庵治石です。 

庵治石の値段の相場


出典:写真AC

世界中の石材で、ただ1つ庵治石にだけ見られる「斑が浮く」模様。 こうした特質に加え、採石が難しく、なかなか良質な石が得られないといった希少性から、庵治石は世界でもっとも高価な石材だとされています。

墓石の相場としては、一般的な大きさで安価なものが100万円ほどです。高品質のものとなると、数百万円以上になります。 また、傷のない大きな石材を掘り出すのは難しいため、サイズが大きくなるとさらに割高になります。

ものによっては3割増し、5割増し、ときには2倍以上の価格になることもあります墓石のダイヤモンドと呼ばれる所以が、ここにあります。 現在では、偽物が出回ることを防ぐため、採掘業者の組合が庵治石登録証を発行しています。シリアル番号を付けて全て厳重に管理しています。

庵治石を墓石に使うメリット

庵治石が墓石に利用されるのは、石材そのものの美しさからでしょう。それに加え、硬度が高く、繊細な彫刻を施しやすいのも理由の1つです。 そして、何より墓石として大事なポイントが耐久性の高さです。 庵治石の結晶はきめ細く、目が詰まっています。そのため、ほとんど水が染みこまず、シミなどもできにくくなっています。

また、石材は鉄分が錆びることで赤茶色に変色します。美しいツヤを失ってしまうのですが、庵治石の成分である黒雲母にはほとんど鉄分が含まれていません。 化学変化もほとんどしないので、酸性雨の影響で文字などが崩れることもありません。

墓石というのは、長年風雨にさらされるものです。どうしても劣化は免れませんが、庵治石はその耐久性の高さから、数百年間も美しい姿のまま保つことができるといいます。 子々孫々まで受け継ぐ墓石には、まさにぴったりの石材といえるでしょう。

庵治石以外の墓石に使われる石


出典:写真AC

庵治石の他にも、墓石には国産だけで50種類以上もの石材が用いられています。外国産も含めると、さらに100種類以上もあります。 中でも、「西の横綱」庵治石に対して「東の横綱」といわれているのが本小松石です。神奈川県真鶴町でしか採石できない希少な安山岩で、古く奈良時代から関東地区で用いられてきました。

変化しないのが庵治石の特性とすれば、本小松石は時間とともに味わいを増していくのが魅力です。 真壁小目石は、茨城県真壁町で採石できる白御影石です。表面にうっすら青みが差して、その色が濃いほど高級品とされます。庵治石と同じく高い硬度、低い吸水率、ねばりがあって彫刻しやすいのが特徴です

工芸品の「真壁石燈籠」の素材としても知られています。 浮金石は、福島県の黒石山で採石できる斑糲岩です。黒御影石の代表ともいうべき石材で、黒い石肌に金や白の斑が浮くのが特徴です。山肌の玉石からしか採石できないため、大きな石材は得られません。そのことから、「幻の石」とも呼ばれています。

大島石は、愛媛県で採石される石材です。最大の特徴は、石肌と石目の美しさでしょう。上品な青みから、「石の貴婦人」と呼ばれています。時間が経つにつれ、かえって青みを増していきます。その割に安価で、関西や中国地方では墓石の定番となっています。

天山石は、佐賀県の天山山系で採掘される花崗岩です。「天山みかげ」、「佐賀みかげ」、「鍋島みかげ」などともいわれます。白御影石としては硬く、低い吸水率が特徴。透明度が高く、紫がかった色合いは時間が経っても変わりません。西日本を中心に、墓石として多く用いられています。 

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