野点傘の種類
出典:写真AC
野点傘は古くから伝わる伝統的な妻折野点傘(つまおれのだてがさ・つまおりのだてがさ)と1952年に皇太子成年を祝うために催された宮中茶会の際に考案された本式野点傘(ほんしきのだてがさ)の2つに大別することができます。
古くから用いられた妻折野点傘は、本来貴人や高僧に差しかけるのに用いられた傘で、傘の骨の先端が下向きに折り曲げられています。
柄の上部にある骨が密集している部分は魔除けを意味する五色の糸があしらわれ、紅色の傘地との美しいコントラストを生み出すと共に、糸によって傘の骨を強化し、骨の破損の際に貴人や高僧を傷つけることがないように作られています。現在でも最も普及している野点傘として知られています。
本式野点傘は既述の通り今から約70年近く前の宮中茶会のために考案された野点傘です。一般的な番傘をそのまま大きくしたような形状で、傘の骨の先端が真直ぐに伸びている点と、かがり糸による装飾が施されていないのが特徴です。
また、傘地が伝統的な紅色一色のもの以外に、紅色地に白丸が施された赤白と染み入るような緑地に白丸が施された緑白の計三色に張り分けられているのも本式野点傘の特徴だと言えます。
日本の美意識の集大成|野点傘
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豊臣秀吉の時代から脈々と受け継がれる野点の文化は、古くから日本で受け継がれる文化の中でも風流さと雅な雰囲気が非常に強い文化だと言えるでしょう。
美しい自然の景色を楽しみながら、野点傘が作り出す日陰の下で茶を楽しむ野点はとても魅力的な大人の遊びです。季節を問わず自然の景色に溶け込む野点傘と緋毛氈は、日本の美意識の集大成だと言っても過言ではないかもしれません。