和傘の魅力|美しさと機能性が光る至高の一本

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現代に生きていると、「和傘」を使う機会にはめったに遭遇しません。朝出かける前、天気予報が雨だったら傘を持っていきますが、そのときはプラスチックや金属製の洋傘を持って出るのが普通でしょう。しかし和傘は実際に手にしないでいるのがもったいないほど、美しい色合いと職人の手しごとが光る魅力を持っています。読めば一本欲しくなる、和傘の魅力を紹介します。

和傘とは?

出典:写真AC

「和」傘と言いますが、その起源は中国にあります。私たちの知る和傘は、平安時代の前後あたりに中国から伝わってきたものに日本なりのアレンジが加えられたもので、昔は雨除けではなく魔除けや権威を示すためのものとして使われていました。

形も現在のようなものではなく、被る笠のような形をしていたと言われています。日本に使わってきた当初のものと現在の和傘とでは、かなり違うようですね。

和傘の作り方を紹介

和傘は一人で作れるものではなく、機械で作れるものでもないため、作る過程でたくさんの職人のこだわりが込められます。複数の作業段階を経て、何人もの手を使ってようやく組み上がるのです。その作業工程を少し見てみましょう。

1.下事という和傘の骨を組んでいきます。

2.組んだ骨に間隔を均等に割り振っていくまくわりという作業をします。これは和傘の骨の間隔を均等に振り分ける作業になります。

3.軒紙張りという作業をします。これで和傘の外周に紙を張り付けていきます。

4.中置張りを経て胴張りをします。ここが、多くの人が目にする和傘の本体に和紙を張る作業になります。

5.本体の頭頂部を作り、傘をたたんだ時の癖をつける作業をします。

6.頭包をやって傘の頭頂部の強度を上げます。

7.傘の骨の上に塗料を塗り、骨の強度を上げます。それから油引きを行って傘の防水性を高めます。

8.天日干しをして油を硬くします。

これで全工程が完了です。この後、仕上げを行って完成になります。

和傘の種類を紹介

出典:写真AC

一口に和傘と言っても、種類があります。ここでは二つご紹介しましょう。

まず和傘の中でも比較的ポピュラーなものが「番傘」になります。これは多くの人が時代劇などで目にしたことがあるでしょう。そのがっしりした作り、単一色のシンプルなデザインから、男性が使っているイメージが強いですね。

そしてもうひとつは、蛇の目傘画と呼ばれる和傘です。「雨あめふれふれ」で始まる童謡にも出てくるあの蛇の目傘です。これは和紙の色を変えて張り付ける事で、蛇の目の模様を演出したおしゃれな和傘のことです。

和傘の産地紹介

和傘は提灯と製造が似ていることから、提灯屋が作って販売したという背景があります。そのため和傘の産地として有名なのは、提灯の原料である上質な竹、和紙、油が揃いやすかった岐阜や、金沢などになります。

和傘専門店を紹介

出典:写真AC

では実際に和傘を購入しようと思ったときは、どこで買えば良いのでしょうか。

おすすめは、「浅草新仲見世北斎グラフィック」や「辻蔵」といった和傘専門店です。特に「北斎グラフィック」では、従来の地味なイメージを打ち破るモダンなデザインの和傘を販売しており、今でも通用するおしゃれな商品が複数取り揃えられています。全国に支店があるので、近くのお店を探してみてください。

また「辻蔵」は日本最古の和傘屋という事もあって、その高い品質に定評があります。何代にもわたって受け継ぎ守られてきた伝統の良さを感じたいのであれば、ここでお気に入りの一本を探すのもよいでしょう。

和傘の魅力

和傘の魅力はなんといっても、その軽さと強度です。骨に金属を使った重い洋傘とは異なり、より小さい力で手軽にさすことができます。また柄もシンプルな洋傘以上に手の込んだ、目を引くデザインのものがたくさんあります。雨の日でも人と差をつけたおしゃれがしたい人にはぴったりでしょう

特に蛇の目傘はさまざまな和紙を貼り付けるので、色味がとても鮮やかです。見た目も良くまとめられ機能性も十分というのですから、洋傘以上の魅力を持ち合わせていると言えるでしょう。次の雨の日のお出かけには、自分でセレクトした和傘を持って行ってみてはいかがですか。

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