野点傘から垣間見る日本文化の”粋”|茶会で欠かせない野点傘とは?

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野点傘(のだてがさ)とは

茶の楽しみ方の中に屋外で茶を点てる野点(のだて)があります。美しい景色の中に紅色の緋毛氈(ひもうせん)を敷き、やはり紅色の野点傘(のだてがさ)を立てて行われる野点は、古くから日本に受け継がれる優雅で雅な和のピクニックだと言えるでしょう。

緋毛氈や野点傘は、観光地などに存在するお茶屋でも用いられていることから、見覚えがあるのではないかと思います。また話題性の高い著名人らが招かれる宮中茶会などの報道でも、紅色の緋毛氈と野点傘を目にすることができます。

屋外で行われる茶会である野点は、茶室の中で行われるしきたりを重視した堅苦しい茶会ではなく、自然の美しさを楽しみながら茶を楽しめることから人気の茶会で、日本庭園や景色の美しい公園などで頻繁に行われています。

そこには必ず紅色の緋毛氈と野点傘が設置されますので、大きな番傘のような紅色の野点傘を見つけたらその下では茶会が催されていると言えるでしょう。

野点傘の歴史


出典:写真AC

野点は約500年以上前に豊臣秀吉によって行われた九州平定の際に、同行した千利休が野外で茶を点てたことが始まりだと言われています。同年茶人のノ貫(へちかん)が紅色の野点傘を立てて茶室を演出したことで茶会を催した秀吉を喜ばせ、それ以降野点傘は野点に欠かすことができないものとなりました。

戦国時代が終わり江戸時代に入ると、野点は益々盛んに催されるようになり野点に欠かすことができない紅色の緋毛氈や野点傘の需要は高まります。

屋外で行われる茶会ではしばしば俳句や和歌を楽しむ催しも併せて行われ、茶会以外に軸足を置いた野外での催し物にも紅色の緋毛氈や野点傘は用いられるようになりました。

既に紹介した通り現在では、観光地の茶屋の装飾として広く用いられると共に宮中茶会に代表される野点にも野点傘は用いられ続けています。

野点傘の特徴・用途


出典:写真AC

雨具として開発された傘を日傘として転用したのが野点傘だと言えます。野点傘の本来の姿は紙や布で作られていましたが、現在ではビーチ・パラソルの素材で形状だけ野点傘を模したものも存在しています。

しかし日本の伝統文化である野点に用いられる野点傘は、従来通りの製法を用いて手作りで作られたものが用いられており、商業施設で用いられているものとは一線を画していると言えるでしょう。

しかし、近年では和モダンの装飾に対する評価が高まってくるにつれ、本物志向の強いディスプレイの人気も高まり、店舗用ディスプレイなどにも本格的な野点傘が用いられるようになってきているのも事実です。

美しい野点傘が再評価される時代が到来したとも考えられます。

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