【三重県ブランドの伊勢茶】伊勢の地で、古くから愛されるその魅力

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伊勢茶とは三重県の旧伊勢国で古くから産出している三重県産100%の緑茶です。(三重県内のお茶の生産量は全国3位)。伊勢茶の起源としては、平安時代に僧侶の玄庵が茶の木を植え、空海直伝の製茶法を伝承したのがはじまりとされた記録があります。

また室町時代の書である「背書国誌」においては、明の恵上人が伊勢の川上に茶樹を分植するとの記録もあることから、伊勢茶には古い歴史があることがわかります。

その後も豊臣秀吉の時代に茶の年貢を収めた記録、江戸時代にも多くの茶税が収められた記録もあることから栽培が盛んであることもうかがえます。

伊勢茶の特徴


出典:写真AC

伊勢茶は南北に長い三重県全域において栽培が広がっています。主に栽培されているのは煎茶ですが、北勢地域と南勢地域で特徴が大きく異なります。

北勢地域では「かぶせ茶」、南勢地域では「深蒸煎茶」をそれぞれ栽培しています。新茶が収穫される時期は4月下旬~5月中旬ごろで、二番茶までしか摘採しないので、葉肉が厚く、コクのある味わいのお茶になります。

煎茶のさっぱりした味、かぶせ茶のまろやかなおいしさ、深蒸煎茶の渋みの少ないコクのある味や香りは高い評価を得ています。ただ、伊勢茶の知名度は静岡県のものや宇治茶、狭山茶と比べるとやや劣ります。

これは戦後の茶栽培の立て直しが滞ったためであり、結果として静岡茶、宇治茶の原料茶となってしまいました。しかし、加工用原料茶(アイスクリームなどに使われる)としてのシェアは全国1位の82%を占めています。

伊勢茶の一種、かぶせ茶とは

「かぶせ茶」は広義としては煎茶に属していますが、栽培方法が煎茶や玉露と異なります。最大の違いは、その遮光期間や栽培方法です。

藁などで茶の木を覆う方法は玉露と同じですが、玉露は茶園全体に遮光幕をかぶせるのに対し、かぶせ茶は木そのものに直接遮光幕をかけて栽培します。茶木に直接遮光幕をかぶせる栽培方法が「かぶせ茶」という名前の由来です。

また遮光期間も3~10日程度と玉露の20日よりも短くなっています。直接日光を遮って栽培するため、渋みのもとであるカテキンが通常の煎茶よりも少なく、旨味のもとであるテアニンが多くなります。

茶葉の色も煎茶より鮮やかになり、幕で覆うことで玉露のような覆い香も発生します。このかぶせ茶の生産量が三重県では1位であり、三重県全体の生産量の約24%を占めるので、伊勢茶はかぶせ茶を代表するお茶といっても過言ではありません。

おかげ横丁の伊勢茶のお店「翠」


出典:

当然観光スポットでも伊勢茶の販売は数多く行われています。伊勢神宮そばのおかげ横丁には伊勢茶の製造販売を行っているお店や、伊勢茶ソフトを売っているお店などがありますが、その中でもお茶と抹茶スイーツのお店「翠」を紹介します。

有名なものに伊勢茶の山盛り詰め放題があります。1,050円でお茶の缶に詰め放題(種類は煎茶、かりがね茶、深蒸茶のいずれか)、フタさえできれば詰め放題です。大人は喜び、お子さんもお菓子の詰め放題のようにトライしてくれるので親子で参加するのも楽しそうです。

もちろんスイーツ商品も伊勢茶をふんだんに使用したフロートやソフトクリームがあります。季節によってメニューが異なるので、季節が変わるたびに訪れてもいいかもしれません。

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