女性のアイヌ文様
女性が行う手仕事は「メノコカラペ」(女のつくるもの)と呼ばれ、刺繍や編み物・入墨などがそれにあたります。アイヌ文様はそれらにも多くみられます。
樹皮と布によって作られたアイヌの伝統的な衣服・アッドシや、儀礼に用いるための装飾を施したゴザを織り上げる際にも文様は用いられ、モザイクのようなデザインが特徴です。 うずまきなどの曲線が美しいアイヌ文様ですが、ゴザに用いられる文様はアイヌ文様のなかで唯一の「直線の美」を持つと謳われています。
先述したイトクパのように、アイヌの女性は自分の母親や母の姉妹から受け継いだ「ラウンクッ」(成人女性が腹部に締める帯)を、自身のルーツを示したりお守りの意を込め、常に身に着けていたといわれています。
このラウンクッは形状や締め方がそれぞれの家系によって異なっており、婚姻相手を決める際にも重要な意味を持つものだったそうです。
様々な思いが込められたアイヌ文様
アイヌの人達はその文様に様々な思いを込め、親から子へ代々受け継いできました。 複雑なデザインを素材へと施す作業は、手間や時間がかかり容易ではなかったと推測されます。
文様を彫り、刺繍し、身に着ける毎日の中で、自身のルーツ・先祖や文化を大事にする心が受け継がれていったのでしょう。 美しいアイヌ文様に触れ、北の大地で逞しく生きる人々に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
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