「あの老女は若いころから天衣無縫で、今なお多くの老若男女から愛されています」というようなときに用いられる、「天衣無縫」という言葉の意味をご存知でしょうか。
天衣無縫という言葉自体は、稀に耳にすることがあるものの、漢字の組み合わせから正確な意味を想像するのが難しい言葉の一つと言えます。
しかし一方で、この言葉を知っておくと役に立つ機会も少なくありません。そこで、こちらでは、天衣無縫という言葉の意味や由来、使い方などについてご紹介していきます。
天衣無縫の意味
出典:ぱくたそ
天衣無縫(てんいむほう)という言葉の意味は、性格が自然で、取り繕うことや飾り立てることがないという意味です。
また、これが転じて取り繕う必要がないほど素晴らしいという意味で用いられることもあります。
「天衣」というのは天界の人々の衣服のことで、穢れのない美しい衣装を意味します。また、「無縫」というのは縫製がないこと、つまり縫い目がないことを指しており、飾りつけなどが必要ないという意味になります。
太平広記の話からきている天衣無縫の由来
出典:ぱくたそ
天衣無縫という言葉の由来は、霊怪録、太平広記の女仙という話から来ています。
この話では、郭翰という青年が一人の天女と出会います。しばらく一緒に過ごすうち、その天女が来ている衣服に縫い目が全く見えないことを不思議に思い、尋ねてみたところ、「天の衣服は針や糸を用いて作らないのです」と言われました。
不思議なことにその天衣は、天女が身につけるとひとりでにその体にぴったりと寄り添ったということです。
ここから、天衣無縫というのは、針や糸で形を作る必要がなく、何も手を加えなくても自分らしく素晴らしいという意味に使われるようになりました。