秋の七草とは、日本の秋の草花を代表するものをいいます。選定者は定かではありませんが、万葉集に載っている歌人、山上憶良の短歌に含まれている花を指しています。山上憶良の短歌には朝顔とされている花は桔梗を指しているといわれています。
秋の七草は以下の通りです。名前の由来や花言葉や効能などについてもまとめております。
・萩(はぎ)
字の中に秋が含まれている萩は、その文字からも分かるように、まさに秋を代表する花です。花言葉には思考や前向きな恋などの意味があります。春に芽吹く萩の根には、胃痛緩和や下痢止め、咳止めなどの効果があります。
・尾花(おばな)
一般的には「すすき」と呼ばれている尾花は、すすきの穂の姿が動物のしっぽに似ているので尾花と呼ばれていると言われています。花言葉には勢力や生命力、活力などの意味があります。また、茎や根には利尿効果があると言われています。
・葛(くず)
和菓子などで良く使われている葛には、治療や根気、努力といった花言葉があります。また、根を乾燥させる葛根湯は現在でも風邪薬や胃腸薬に多く活用されています。
・撫子(なでしこ)
日本女性を表している大和なでしこは「撫でたいほどかわいい」という意味をもつこの撫子を由来とした言葉とされています。純愛や無邪気、才能といった花言葉があり、煎じると高血圧の抑制やむきみを抑える効果が期待できます。
・女郎花(おみなえし)
花の立ち振る舞いが美女をも圧倒するほど美しいという意味が女郎花の名前の由来だと言われているほど美しい花です。その名を示すかのように、美人やはかない恋などが花言葉となっています。
草根には解毒や鎮痛、利尿効果があるほか、根に消炎に作用があります。
・藤袴(ふじばかま)
花の弁が筒の形状なところが袴に類似していることから名付けられた藤袴の花は、淡い紫色をしています。今では自然に生息している藤袴はほとんど見られることはなく、絶滅危惧種にも指定されています。
花言葉には遅延や躊躇、思いやりなどがあります。乾燥させて煎じたものを飲むことで、糖尿病に効果を発揮します。
・桔梗(ききょう)
根を煎じて飲むと、咳やのどの痛みに効果があります。 明智光秀の家紋などでも知られる桔梗は、形が美しいことから、多くの家柄で家紋として扱われていました。
現在では自然界ではなかなか見ることができず、絶滅危惧種として指定されています。花言葉は清楚や気品、誠実となっています。根の部分を乾燥したものを煎じれば、喉の痛みや咳の薬として効果が期待できます。
秋の七草は山上憶良の歌が起源?
出典:写真AC
秋の七草の始まりは、山上憶良が万葉集の中に収めた2首の歌が要因とされています。
後ほど意味合いについて記述しますが、1つ目の歌で、「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」と詠みます。
それに対して2つ目の歌でその花の種類を、「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」と歌っています。
朝貌は「あさがお」と読みさまざまな説が言われていますが、現在では桔梗(ききょう)が定説となっています。