世界で最も古い独楽は、紀元前2000~1400年ごろのエジプトの遺跡から見つかっています。何となく日本の玩具というイメージがある独楽。意外なことに、実は同じようなものが古代ギリシャやインダス地方など、世界各国の遺跡で見つかっています。 もちろん、現在でも民芸品として世界中に独楽は存在しています。あまりに古くから広く分布しているため、詳しい起源は分かっていません。子供ならどんぐりからでも作れるような簡単なおもちゃなので、自然発生的に各地で生まれたものなのかもしれません。 日本には、朝鮮半島の高麗(こま)から伝わったといわれ、古くは「こまつくり」や「こまつぶり」と呼ばれていました。「つぶり」には、円いものという意味があります。その後、省略されて「こま」だけが残るようになりました。「独楽」というのは、中国語の「ひとりで楽しむもの」という言葉が当てられたものです。 日本における独楽の歴史 出店:写真AC 日本では、6世紀以降の平城京跡や藤原宮跡などから木製の独楽らしい出土品が見つかっています。ただし、実際に独楽として使用されていたかどうかは分かりません。はっきり独楽と分かるものが使用されていたのは、平安時代以降です。 独楽には神が宿るとされ、貴族の遊び以外にも、宮廷の儀式や占いにも用いられるようになりました。その後、南北朝時代になると太平記などに、庶民の子供たちが独楽で遊ぶ様子が描かれるようになります。江戸時代になると、経済の発展にともない、より広い地方まで独楽が伝わるようになります。 例えば、雪の上でも回せる北国の「ずぐりゴマ」や、回すと音の鳴る関西の「竹鳴りゴマ」、軸を鉄製にすることで回転数を増やした「博多ゴマ」など、様々な工夫を凝らした独楽が生まれました。 巻き貝に蝋や鉛を溶かし込んだ「バイゴマ」は、のちに金属製の「ベーゴマ」となって明治時代の子供たちの間で大流行します。昭和に入っても「けんかゴマ」などが駄菓子屋で売られ、男の子の遊びとして長い間定着した玩具となりました。 独楽の種類 出典:写真AC 独楽には、主にその形によっていくつかの種類があります。最も単純な方法として、指でひねって回すのが「ひねりゴマ」です。あまり長く回転させることはできないため、小型でシンプルなものが多くなっています。 独楽の上部に突き出した軸を、掌でこすって回転させるのが「手よりゴマ」です。回っている途中でも、こすって回転を加えられるのが特徴です。そのため、曲独楽にも多く用いられています。 手ではなく、道具を使って回すタイプの独楽もあります。その最も古い形が「ぶちゴマ」です。円筒形で、先が円錐形にとがった形をしています。その側面をムチなどで叩きながら、回転させます。このぶち独楽は、やがて紐を独楽の胴体に回して投げるタイプの「投げゴマ」に発展していきます。 ヨーロッパでは17世紀頃からこの投げゴマが主流となり、日本でも江戸時代中期からその多くが投げ独楽になっていきます。紐を使うタイプには、他にも軸に巻き付けて回転させる「巻きゴマ」があります。 縁起物としての独楽 出典:写真AC 独楽は古くから儀式や占いに用いられ、縁起の良いものとして扱われてきました。その理由は、独楽が回る様子を物事が上手く回っていくことに重ねていたからです。仕事やお金、また頭が回るというように、回ることはポジティブな意味合いを持っています。 また、軸がまっすぐ通っていることから、芯がある、筋を通す、といった強いイメージもあるようです。このようなイメージから、独楽は新年に縁起物として遊ばれるようになります。また、江戸時代には赤、黒、黄、緑、紫の五色に塗られた独楽が出回るようになります。 これらは江戸五色と呼ばれ、それぞれ、健康、力、富、豊作、高貴、という意味合いを持っています。他にも、佐世保独楽や肥後独楽などにも、同じように願いを込めた配色がなされています。現代でも、福岡県八女市のでは新築祝いや結婚祝いなどに、飾り独楽が贈られる風習があります。 また、関西地方で家を新築するときには、一家の繁栄を願って一対の独楽を梁に飾ります。このように、縁起物としての独楽は古くから受け継がれている伝統の1つなのです。 この記事が気に入ったら いいね!を押して最新情報を受け取ろう
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番傘は、和傘の一種です。シンプルなデザインのものが多く、和傘の中では最もポピュラーなものです。 柄と骨組みの部分に太い竹を使用していて、和傘の中では比較的丈夫でしっかりとした設えとなっているのが特徴です。 番傘の歴史 出展:写真AC 日本に傘が伝来したのは西暦552年。 中国大陸で貴人の魔除けなどの観点から発明された後、百済聖王の使者によってもたらされた品がその原型です。その頃は、主に日差しを防ぐ役目で使用されていて、開閉することもできませんでした。この傘は、唐傘と呼ばれていたそうです。 それから室町時代になると、日本で開閉機能が与えられ、現在のような携行性の高い傘(絡繰と同義語の唐繰から唐繰傘と呼び、こちらを唐傘の語源とする説もあります)となりました。また、雨の多い日本では、日傘として使うよりも雨水をしのぐほうへとその主な用途が変わっていきました。 それに伴い、アマニ油やエゴマ油などの油脂を塗った和紙を傘部分に使用することで高い防水性を付与されました。 この番傘などの雨傘が江戸まで伝わり、そこで安価かつ丈夫である点が庶民に人気となり、後に大黒屋傘として日本全国に広まっていきました。 その様子は、名所江戸百景や喜多川歌麿の美人画に知ることができます。 当時ならではの出来事として、武士が失業の折に副業として傘製作の内職をしていた、という話があります。 江戸を舞台にした時代劇で、長屋に住む浪人が傘を作っているシーンは、史実に基づくものだったのです。これには、傘の需要の増加により製造作業を分けていたという背景があり、実はいかに番傘が流行っていたかを知ることのできるエピソードです。 番傘の特徴・用途 出展:写真AC 番傘は、気取らない普段使いに最適の傘です。 もちろん、日傘にも使えます。 とは言え、厚い油紙でしっかりと防水加工されているので、雨の日の外出のおともとして使うのがやはり定番です。 番傘の名前の由来には諸説あります。 その中に、番号を記した傘という意味であるとするものがあります。これは、江戸時代頃に商家が客が帰る折に降ってきた雨をしのぐために貸した傘が紛失しないようにする目的で、家紋や屋号と一緒に番号を振られたという説です。 現在でも、主に専門店で購入した際などにこうした家紋や屋号などを番傘に入れてくれるサービスを受けることができます。 他にも、「番」の字には普段の、日常的な、などの意味合いがあり、そこから来ているとする説もあります。 これらの説にある通り、番傘は誰でも気軽に差させる和傘です。余談ですが、番傘の出番は伝統芸能の世界にもあります。 江戸時代には歌舞伎の舞台で小道具として使われ始め、現在でも太神楽の傘回しの必需品です。 番傘と蛇の目傘との違い 出展:写真AC 蛇の目傘は、柄と骨組みの部分が細い木で作られています。 細部に装飾が施されていて、華やかな印象を受ける外見です。名前は、真上から傘を見ると蛇の目に見えるからというのが由来でしたが、現在では絶対的な条件ではないようです。 番傘とは兄弟のような関係で、一般に和傘と言えば、このどちらかを思い起こされます。分かりやすいイメージとしては、芸妓さんが差している和紙で出来ている傘と言えば伝わるかと思います。 比較する上では、デザイン性の蛇の目傘と機能性の番傘と考えることができます。蛇の目傘は見た目にも艶やかな細身の傘ですが、丈夫さという点では質素で骨太な番傘に軍配が上がります。 番傘と蛇の目傘にはそれぞれに長所があり、どちらか一方が優れているということではありませんから、選ぶときには用途やお好みに合わせるのがよいでしょう。 …
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道の駅にのみやはイチゴ生産量日本一の栃木県真岡市に位置する「イチゴの道の駅」です。道の駅にのみやの営業情報は以下の通りです。 【営業時間】 ・09:00~18:00(季節変動あり)※元旦と毎月第3火曜(祝日の場合は翌日)は休み 【アクセス】 ・車:常磐道「谷和原I.C」、東北道「佐野藤岡I.C」、北関東道「真岡IC」からアクセス可能 ・電車:真岡鐵道「久下田駅」からアクセス可能 ・高速バス:秋葉原から益子まで1日9便が運行、益子より真岡鐵道利用でアクセス可能
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徳島といえば一番初めに思いつくのが、今では全国的にお祭りで踊られている阿波踊りでしょうか。でも実は、徳島は「阿波藍」(あわあい)と言われている藍染が昔から伝統的に行われている地域なのです。今回は、実際に徳島県の藍住町にある藍染体験施設にうかがい、藍染を行ってきました。 徳島で藍染が盛んな理由 藍染は藍色と呼ばれている紺色や青色の色素の原料である、蒅(すくも)が多く栽培されてきました。今でも徳島産の蒅(すくも)の生産量は全国的にも上位を占めています。 藍染は、平安時代、戦国時代、江戸時代、そして現代になるまで引き継がれており、天然のナチュラルな染料としてオーガニックやエコロジーが人気の現在では注目が集まっています。 実際に藍染工房で職人の方にお話をうかがうと、藍染をした衣類はアトピーに悩む方にも肌に優しく人気だそうで全国から染めて欲しい、と注文が入るとのことでした。 藍染をすることで、抗菌作用が生まれ、虫除けや防虫、保湿作用など嬉しいことがたくさんある、とのこと。しかし、藍染ができるものは、綿や絹、レーヨン、麻などの天然由来の素材に限られていて、ナイロンやポリエステルなどは染めることができないとのことです。 藍染には色によって名前がついており、留紺(とめこん)が一番濃く、白藍(しろあい)が最も淡い色となります。これは、染める液の濃度で決まるわけではなく、染める回数により決まります。 そのため、濃紺に近い色に染めたい時に染めては空気に当てて酸化させて、さらに染めて…という工程を何度も何度も繰り返します。長くつけて時間を置いて染めて終わりではなく、時間と根気の必要な手間暇のかかる作業となっています。 徳島での藍染体験 徳島の藍住町には、いくつか体験できる工房がありますが今回は「藍の館」という施設を訪れました。県の中心地である徳島市からは比較的近いのですが、公共交通機関でのアクセスが難しいので、遠方から訪れる場合にはレンタカーなどを使用されると良いと思います。 この施設は、同じ敷地内に資料館が併設されており、入場料金が300円(2017年9月現在)かかりますが、手持ちのTシャツなどを持ち込めるところが魅力です。 入口で入場料金を支払い、持ち込んだ衣類やハンカチ、帽子などの重さなどを測ってもらいその場で精算します。資料館の中を通り抜けた裏に、昔ながらの家屋がありその中のひとつが藍染工房になっています。 中に入ると、藍の独特の香りがします。どこかで嗅いだことがあるような懐かしいような気分になります。エプロンを借りて、手袋をはめて、いよいよ体験がスタート! 染め方には色々あって、絞ったり、折り曲げてとめたりすることで模様をつくることができます。また、ロウケツを使用することで絵を描いて、そこだけ染まらないようにすることでお好みの絵や文字を表現することもできます。今回は、シンプルに一色で染めることにしました。 どのように染めたいかが決まったら早速作業スタートです。シワができるとムラになるため、シワにならないようピンと伸ばして、つけていきます。しばらく手を離さずに放置したら、ぎゅっと絞って室内に少し干します。 その間に他のものをつけてまた干します。ブルーをより濃くしたい場合にはこの工程を何度もなんども繰り返します。それが終わったら、水道水で洗い流す作業を行います。お水が青い色に染まるので、薄くなるまでこちらも何度も繰り返します。そして、時間があれば最後に乾燥させて出来上がりです。 藍染体験の魅力 今回、体験をしてみて工程が多く、濃く染めようと思えばかなり手間暇がかかると感じました。時間がかかる分、購入するときにはお値段が上がりますが、現代では化学的な染料を使用しているからこそ、お手頃価格の服が多いと感じさせられます。 自分で藍染をしたタオルを使用してみて、確かに肌に柔らかく当たるような気がしますし、何より自分で染めたことが嬉しくなりました。日本の古き良き藍染を体験してみては、いかがでしょうか。 この記事が気に入ったら いいね!を押して最新情報を受け取ろう
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空に向かって実を伸ばすことからその名を名付けられたと言われている、茹でて食べるとほっくりとした食感が特徴の「そら豆」は、日本では古くから食べられてきました。また、日本だけではなく古代エジプトなどでも食べられてきた記録があります。 原産地が地中海から西南アジアとされている「そら豆」は、成長すると大きいものでは30センチメートルくらいになるサヤに、種が3つから4つ入っている緑鮮やかな豆です。 今では「そら豆」は、世界各国で栽培されています。その中でも最高級となる「そら豆」は、中華人民共和国の河北省張家口で生産されています。 私達が口にしている「そら豆」は一寸系と呼ばれる品種のものが多く、「仁徳一寸」、「打越一寸」、「陵西一寸」の3種類が主に日本では取り扱われています。 「そら豆」の魅力は、ほっくりとした食感や見た目の鮮やかさだけではなく、その小さな粒の中に高い栄養素にあります。 「そら豆」には糖質をエネルギーに変えてくれる、ビタミンB1と糖質や脂質の代謝を促す効果がある、ビタミンB2が特に豊富に含まれています。さらに、コラーゲンの生成を促進させるビタミンCも含まれていますので、肌荒れや風邪などにも有効です。 また、他の豆類と同様に「そら豆」には植物性タンパク質が多く含まれています。 タンパク質は筋肉や皮膚など、人の体を構成する上で非常に重要な栄養素なうえ、動物性のタンパク質より脂質を抑えながら摂取することを可能にしています。 さらには、体内に不足しがちなミネラルであるカリウムも「そら豆」に含まれている多くの栄養素の一つです。カリウムには体内にある余分なナトリウムを、体外に排泄してくれる効果がありますので、高血圧やむくみなどに効果が見込めます。 そら豆の選び方 出典:写真AC 栄養価の非常に高い「そら豆」をせっかく食べるなら、美味しい「そら豆」を選びましょう。 美味しい「そら豆」は、基本的には豆の形がサヤからもハッキリと分かり綺麗に揃っているものを選びましょう。また、サヤが鮮やかできれいな緑色のものを選びます。 ただし、サヤの筋が茶色に変わっているものは避けましょう。 さらに、表面にうぶ毛が生えているものは新鮮な「そら豆」となりますので、積極的に選びましょう。サヤから「そら豆」が出ているものは、風味が落ちていますのでおすすめしません。 そら豆の下準備の仕方 出典:写真AC 「そら豆」をゆでる前には下準備を行います。 まず、「そら豆」をサヤから外したら、「そら豆」一粒に包丁などで切り込みをいれましょう。切り込みを入れることで、ゆでている時に塩味が付きやすくなることと、「そら豆」の実が出しやすくなります。 切れ込みは、「そら豆」にある黒い発芽する部分とは反対の緑の部分に入れます。大体2センチメートルほどの切れ込みを入れると良いでしょう。 インスタ映えする色違い野菜 シルク茄子をご存知ですか? もろみ酢とは?|美味しい飲み方や成分と身体に嬉しい効果を紹介 無調整豆乳と調整豆乳の違い|混ぜて飲んだり、料理に入れたり 絹ごし豆腐は木綿豆腐と何が違う?|美味しいレシピや簡単水切り法も紹介 この記事が気に入ったら いいね!を押して最新情報を受け取ろう
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今、瓦を使用したテーブルウェアや、インテリアグッズが大人気。全国に展開する人気の「瓦カフェ」もテーブルウェアに瓦を取り入れています。 理由は、昔ながらの屋根瓦を使うお家も減ってきてしまい、瓦を作っている職人さん達が新たな需要の開拓として、瓦を応用した面白いグッズをつくりはじめたのがきっかけと言われています。とてもおしゃれで、今までにない新鮮さを味わえます。 今回は、瓦の新しい使い方が新鮮なインテリアグッズやテーブルウェアをご紹介していきます。 icci KAWARA PROCUTは、山梨県の老舗の瓦会社、一ノ瀬瓦工業が瓦を使ってつくったグッズのブランド。瓦というシンプルな素材を活かして「屋根の上からテノヒラの上に」という粋なコンセプトに商品を展開しています。 瓦の色のままの、いぶし銀を用いて「和」の要素を残しながらも世界に向けて発信できるkawaraをデザインしています。 瓦のコースター 1,800円 いぶし銀のシンプルなフォルムが、とてもモダンなデザインのコースター。無地や家紋入りのものがあります。和にも洋にも合うので海外の方にもよろこばれそうです。 瓦ボウル(ファット) 5,200円 瓦のベーシックな形の小物入れです。アメを入れたり小銭を入れたりして自由につかえます。木のふたは別売りです。 瓦のバナナ 6,800円 HATCH(ハッチ)さん(@hatch8.jp)がシェアした投稿 – 6月 27, 2016 at 8:12午前 PDT 本物のバナナをそのままの大きさで再現しています。そのままオブジェとして飾ったり、ペーパーウェイトとしても使えます。 かわらや菊貞 「かわらや菊貞」は愛媛県今治市にある「菊間瓦」の老舗。菊間瓦は独特のいぶし銀の美しさがあり、品質が高いことで有名です。屋根瓦だけでなく、商品開発に乗り出しいろいろなグッズを制作しています。 SHIKI 敷 瓦コースター 1,728円 一般に手に入れやすいのがこのコースター。この商品のポイントはあえていぶしをかけていないこと。瓦、本来の吸水性を活かしており、水滴をすぐに吸い取って空気中に拡散してくれます。コースターとしての機能は抜群です。 「瓦膳」テーブルウェア 掌~たなごころ~さん(@kikusada_tanagocoro)がシェアした投稿 – …
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日本舞踊とは、言葉通りに捉えると「日本の踊り」です。 「踊り」といっても多様で民間伝承で伝わってきたものもありますが、ここでは舞台芸術としての踊りを指します。舞台芸術のとしての「日本舞踊」は、流れとして「舞楽」や「能楽」といった要素を取り入れながら様々な流派で発展を続けてきました。 日本舞踊の歴史 出典:写真AC 日本舞踊の歴史は上述したように様々な潮流を汲んでおり、一概に「いつ始まった」と定義できません。 ただ、記録としては平安時代に皇室に伝わった「雅楽」という日本独自の歌や舞に、大陸から伝わった仏教芸術が混じり合ったものの中に、既にその萌芽を認めることが出来ます。 日本舞踊の五大流派 日本舞踊には現在に至るまで様々な流派が存在していますが、最も重要な5つの流派のことを「五大流派」として区別しています。 ①花柳流 最大の流派と呼ばれ、1849年頃に創始されました。 リズムの粒度が非常に高く、踊りの厳密さを重視することで知られています。 ②藤間流 1704年頃創始されました。 今では「家元」と「宗家」に分派しています。 花柳流が踊りに厳密さを求めるのに対称的に、藤間流では自由でおおらかな踊りが特徴になります。 ③若柳流 1895年に創始されました。後継者争いなど様々な紆余曲折を経て沢山の分派を持っています。 手振りを重視することで品格のある舞踊であるとされています。 ④西川流 詳細は不明ながら1700年前後創始とされており、最も古い流派の1つです。宗家家元、10世扇蔵は1999年に人間国宝として認定されました。 ⑤坂東流 1800年代初頭に創始されました。歌舞伎役者を流祖とし、ゆえに大衆に受け入れやすい筋書きがあり、多くの定番となる作品を生み出しています。 それではここから、日本舞踊の三大構成要素である「舞い、踊り、振り」について解説していきます。 先ず「舞い」について解説します。 日本舞踊の種類① 舞い 出典:写真AC 重い音楽に合わせて、穏やかな動作で舞台を周回する動作を基本とします。 心理状態を静かな動きで表現する役割が強く、後述する「踊り」と比較して、貴族的要素が強いと言われています。 日本舞踊の種類② …
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伊勢型紙の特徴は、多くの種類の小刀や彫刻刀を使い分けて、美濃和紙の上に多彩な柄を表現することです。柄の彫り方は、縞彫り、突彫り、錐彫り、道具彫りの4つに分けられます。 ・伊勢型紙~縞彫り~ 糸を使った「糸入れ」で補強した型地紙と、定規と彫刻刃を使って、まっすぐな縞を彫ります。1本の線を3回くり返し彫って、シャープな線を作ります。 ・伊勢型紙~突彫り~ 紗を使った「紗張り」で補強した型地紙と、刃先が約2mmの小刃を使って、垂直に突くように彫ります。繊細でブレのない、鋭利な柄を作ることができます。 ・伊勢型紙~錐彫り~ 半円形の刃先がついた彫刻刀を、型地紙に立てて回転させると、丸い穴が空きます。その穴を応用して、鮫小紋、アラレなど、円が並んだ柄を作ります。 ・伊勢型紙~道具彫り~ 刃先が桜・菊・扇など、小さな型のようになっている彫刻刃を使います。刃先の形が良いかどうかが、柄の仕上がりを左右します。江戸小紋で好まれる技法で、「ごっとり」とも言われます。 伊勢型紙の作り方 伊勢型紙の作り方は、「法造り(ほづくり)」といって、200~500枚の美濃和紙を重ね、同じ寸法に裁断することから始まります。次に「紙つけ」裁断した美濃和紙を3枚、繊維の向きを90度変えながら、柿渋で張り合わせます。繊維が縦横に重なるので、より頑丈な紙を作ることができます。 紙つけの終わった紙は、桧板に広げて、天日乾燥します。紙つけの次に、「室干し(むろがらし)」を行います。乾燥を終えた紙を、燻煙室で約1週間いぶす作業です。通常の紙は、縦横に伸びるため、彫った形がゆがみやすくなります。 「室干し(むろがらし)」を行うと、紙は茶色くなりますが、伸縮性が減り、柄の型崩れが起こりません。「室干し(むろがらし)」を終えた型地紙は柿渋に浸し、乾燥と室干しをもう一度行って完成します。 次のページでは、伊勢型紙職人の道具を紹介します。 伊勢型紙の職人の道具 出典:Wikimedia Commons 伊勢型紙の職人は、「小刀」と「道具」を使って型紙を彫っていきます。小刀はカッターナイフのように、刃先を使って形をつくるものです。小刀型紙職人のもっとも基本となる道具です。 道具は、刃先が桜や菊など文様の形になっていて、紙に押し当てると型抜きができます。文様をきれいに正確に仕上げるには、小刀を自由自在に操れるとうまくいきます。職人それぞれが、自分が使いやすい刃先になるよう、研ぎを工夫します。 また、小刀を研ぐ時は、3種類の砥石を使って、3段階行います。 最初は水砥、1000番の粗目の砥石です。小刀の先端のだいたいの形を作ります。次に1000番より目の細かい水砥を使って、より精細になめらかな表面を作っていきます。 最後に空砥で、細かく仕上げてこの3つの砥石を使いわけることで、伊勢型紙用の小刀ができます。 道具伊勢型紙では、「道具」と呼ばれる彫刻刀も使います。道具の先端には、花や植物、三角、四角など、大小さまざまな形を抜くことができる刃先がついています。 型の種類が多いうえに、大小のサイズ違いを揃えてあるため、1人の職人が数千本の彫刻刀を使い分けています。同じ形を均一に無数に彫ることができますが、彫る時の手加減が違うと、形が違ってきます。一律の力加減で、安定した彫りつづけることが必要になります。 この記事が気に入ったら いいね!を押して最新情報を受け取ろう
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「左官職人」をご存知でしょうか?コテなどを使って壁を塗る職人のことです。「壁を塗るだけ?」と思われるかもしれませんが、まっすぐ水平に塗るのはなかなかどうして大変です。奥深い技を極め、リフォームや建築の仕上げを飾る左官職人の仕事を紹介します。 左官職人とは 出典:写真AC 左官職人とは一般的に、建物の壁や床を専門のコテを使ってきれいに塗り整える専門職のことをいいます。 語源は、平安時代に宮殿の建築や修理をすることを許可された人を属(さかん)と呼んだことにあります。 左官職人の仕事内容 出典:ウィキメディア・コモンズ 左官職人の仕事は、素材を壁に塗るというシンプルな内容です。実際の工程では下塗り、中塗り、仕上げ塗りと分かれているのが一般的です。 依頼者の要望によって、珪藻土(けいそうど)や炭といった自然素材を使い分けます。 基本的には水平でムラのない仕上がりをよしとするため、職人の腕が試されます。 また塗り壁の他にも、タイル張りやレンガ積みをすることもあります。 左官職人の気になる年収 atelier.beni.さん(@mika_inada)がシェアした投稿 – 3月 11, 2018 at 6:21午後 PDT 年収はおおよそ300~400万円です。良くも悪くも生活できる程度に収入が安定しているのが左官職人の特徴です。 勤務体系は一般的な職業とおおよそ同じで、朝の8時から午後の5時くらいまでとなっています。ただし左官より前の工程が遅れたり、雨が続いて仕事ができなかったりすると、埋め合わせで残業をする場合もあります。 会社は数人レベルと小さなことが多いので、そういったところでは福利厚生はあまり期待できません。保険などの備えが気になる人は会社の規模に注意しましょう。 左官職人のメリット・デメリット 出典:写真AC 左官職人のメリットは第一に学歴が必要ないことです。求められるのは壁をきれいに塗って整えられるかどうかなので、学力は求められません。数学や英語が苦手でも十分対応できる可能性があるのです。 また芸術が関係している仕事の中で比較的需要が多いほうなので、芸術家や建築や職人に興味がある人が現実的になりやすい職業という特徴があります。 デメリットとしては個人で行う場合営業が必要なことです。仕事の性質上、信頼関係のない相手から頼まれることは少ないので、こちらから存在を示していかなければなりません。 コミュニケーションが苦手で最終的に独立を考えている人は、この点について注意が必要です。 左官職人に向いてる人、向いてない人 …
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粋(いき)の意味や使い方をさっと解説した後に、実際にみんながどういう使い方をしているか。事例をSNSやニュースなどから集めたので紹介します。 粋の意味 出典:写真AC 「粋」という言葉にはいくつかの意味があります。 ひとつは、粋=いきと呼ぶ方で、「洗練された、洒落た、美しい」という意味で、日本文化や美意識を表す言葉としてよく使われます。 もうひとつの意味は、「本質的、核心を突いた、本物である」という意味があり、例えば「粋な演技」「粋な技術」といった使い方があります。 どちらも共通する点は、「粋」は、優れたもの、本物、真髄を突いた物を表す意味で使われます。 「粋」を「いき」と読むこと、これは元々は江戸っ子が使っていた言葉で「粋でいなせ」という褒めシーンで使われていました。 「すい」と読みますと、途端に上方の雰囲気が出ます。 粋=「すい」と読む場合の意味 純粋。そのもの。まじりけのない。 すぐれたもの。えりすぐりのもの 生粋(キッスイ)、抜粋(バッスイ) では、江戸っ子のいう粋=「いき」とはなんでしょうか。これは美意識を指す用語ですから、意味は複合的、多面的で、とてもひと口には言えません。 ですが、「洗練」「カッコのよさ」「垢ぬけ」「色気」「誰もが憧れる」というニュアンスは、どんな使い方をしても間違いなくそこに含まれています。特に男女の仲についてよくわかっている人は「粋」だと言われます。 粋の由来・言葉の背景 「粋・いき」は「意気投合」「生意気」「意気地」「心意気」などに使う「意気」が元々の言葉であったとされています。 粋の類語・対義語 粋の類義語は「いなせ」です。その意味は粋と同じく、多義的で、その使い分けも単純でない言葉です。「いなせなおあにいさん」などと、特に職人や侠客(ヤクザ)など、アウトローなにおいのする人に対しての褒め言葉として使われました。 粋の対義語は、ワンセットでよく使いますので目にすることが多いでしょう。「野暮」です。「いき」でなければすなわち「やぼ」ということになります。江戸っ子からすると、田舎から出てきた人間は、侍も町人もみな野暮でした。 粋の使い方 現代では、「粋」という言葉は、比較的フォーマルな場面で使用される言葉です。例えば、ビジネスの場でのプレゼンテーションや、公式の書類で使用されることがあります。また、芸術や文化に関する場面で使用されることもあります。 以下にいくつかの例文を挙げてみます。 彼女の着物姿はとても粋で美しかった。 この建物のデザインは、日本の伝統美を粋に取り入れている。 このテクノロジーは、最新の粋な技術を使って開発されたものだ。 彼は演技の粋を尽くして、会場を沸かせた。 この料理は、素材の味を生かした粋な調理法で作られている。 「粋」という言葉は、ある程度の知識や教養がある人に対して使用されることが多いため、適切な場面で使用することが重要です。また、過度に使用すると堅苦しくなってしまう場合もあるため、程度を考えて使用するようにしましょう。 それでは、現代ではどのような意味や使い方をされているのか。事例を紹介します。 …