「いわゆる(所謂)」の意味や使い方|例文も紹介

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「その決断において彼は上司に気を使った、いわゆる忖度をしたのだ。」

この中の「いわゆる」という言葉、よく耳にしますよね。 日常においても、挨拶やスピーチの中でも使われる機会の多い言葉です。あなたは正しく使えているでしょうか。 「いわいる」と言ってみたりしていませんか。せっかくですのでこの「いわゆる」という言葉について考えてみましょう。

いわゆるの意味


出典:写真AC

「いわゆる」とはどういう意味なのでしょうか。この言葉は、何かを言い換えるときに使います。 特に、「世の中で言われている表現で言うと」といった意味があります。 上の文で考えてみましょう。

「その決断において彼は上司に気を使った、いわゆる忖度をしたのだ。」 これを言い換えると、 「その決断において彼は上司に気を使った、世の中でよく言われる表現で言うと、忖度をしたのだ。 」長いですよね。たった四文字で使える「いわゆる」はとても便利な言葉です。

でも、だからこそ違和感のある使い方になってしまわないように気を付けなくてはいけません。 ちなみに、漢字では「所謂」と書きます。

いわゆるの由来・言葉の背景

このいわゆるという言葉がどこからきているのか、漢字からひも解いてみましょう。 「所謂」の「謂」という字ですが、ここでは「言う」と同じであると考えてよいでしょう。 これを漢文のように読んでみると、言うところの。 これを一気に訓読みして「いわゆる」と読み変えているわけです。 “いわゆる”熟字訓というものですね。

いわゆるの例文を紹介


出典:写真AC

ここからは、この「いわゆる」という言葉をどういう時に使うのかを考えていきましょう。 例を挙げてみます。

「このお店のスイーツは、いわゆるインスタ映えというやつだね。」 この文は、「いわゆる」前に出てくる「このお店のスイーツ」について、後に出てくる「インスタ映え」と説明するような文です。 このように、前に出てきた事柄を、後につける名詞で説明する使い方が一般的です。

もう一つ例を見てみましょう。 「このウェブサイトには、いわゆるフェイクニュースが多い。」 今度は、「このウェブサイト」について、「フェイクニュース」が「多い」と説明しています。 言い換えると、「このウェブサイトに多い」のは「フェイクニュース」と説明しているのです。

このように、ただの説明ではなく、「フェイクニュース」という単語を際立たせるような使い方がされることもあるのです。

さらにもう一つあります。 「彼の印象は、いわゆる教師とはかけ離れている。」この場合の「いわゆる」には、「教師」という言葉のステレオタイプな印象を抽出する効果があります。 一つの言葉ですが、色々な効果がありますね。

いわゆる〇〇というやつだの例文

この映画の結末は、いわゆるどんでん返しというやつだ。

あの人の仕事ぶりは、いわゆるプロフェッショナルというやつだ。

この地域の伝統的な料理は、いわゆる郷土料理というやつだ。

この店のデザインは、いわゆるミニマリズムというやつだね。

いわゆる〇〇とかけ離れているの例文

彼女の教育方法は、いわゆる典型的な学校教育とはかけ離れている。

彼女の作品は、いわゆる現代美術とはかけ離れている。

その映画のプロットは、いわゆるハリウッドの大作とはかけ離れている。

いわゆるの類義語・対義語


出典:写真AC

続いては、「いわゆる」の類義語や対義語をご紹介します。 類語としては、

「俗に言うと」世間一般で言うと

「通称」普通に呼ばれている

「いわば」ある意味で

「つまり」や「要するに」も類語といえるでしょう。 「このお店のスイーツは綺麗だ。要するにインスタ映えというやつだね。」 やはり、いわゆると意味の変わらない文になりました。

また、「言うなれば」も類語といえるでしょう。 「このお店のスイーツは、いわゆるインスタ映えというやつだね。」 という例を挙げました。 「このお店のスイーツは、言うなればインスタ映えというやつだね。」 と、置き換えてもいわゆると意味の変わらない文といえます。 

一方で対義語ですが、この「いわゆる」という言葉自体に意味はないため、これといった対義語はありません。

「独自の」が一番近いニュアンスかと思います。

「いわゆる」が一般的なものを指すのに対し、独自性を強調します。

コスパが良い日本語 いわゆる

ここ数年よく「コスパ」という言葉を耳にします。 これは「コストパフォーマンス」の略ですが、「いわゆる」はまさにコスパが良い言葉なのです。 ある事柄を一言で説明するときに使う言葉、つまり文字数の節約に使うことができるわけです。

さらに、「いわゆる」の後に続く名詞を強調していることが多いので、その分の一番大事な部分が一目でわかるという効果があります。 たった四文字で大きな効果をもたらす「いわゆる」という言葉はまさに、コスパに敏感な現代を象徴する言葉であるといえるのです。

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