音楽というのは、いつの時代にも人々を魅了してきました。それは現代も昔も変わらないことなのです。
たとえば、日本には古くより伝わる「琴(箏)」や「三味線」、「尺八」、「琵琶」、「和太鼓」、「鳴子」、「編簓(びんざさら)」などの和楽器があります。そんな和楽器のなかでも琴(箏)の歴史は古く、なんと登呂遺跡などの遺跡からも琴の原型と思われるものが見つかっています。
このことからも分かるように和楽器の歴史は非常に長く、また同じ和楽器でも中国や琉球そしてイランなどから伝わったものや日本独自のものがあるなどルーツも実に様々です。
今回はそんな日本の伝統的な楽器や三味線、尺八、琵琶、和太鼓、鳴子、編簓など和楽器についていくつかご紹介し、和楽器の持つ魅力に迫っていきたいと思います。
和楽器の歴史
和楽器は日本で古くより使われてきた伝統的な楽器のことを指します。この和楽器は邦楽器とも呼ばれ、琴(箏)や和太鼓など大陸の影響を受ける前から伝承されている日本固有の楽器以外のものは、大陸から渡来した楽器を基調として日本文化や環境、美意識など中で形を変え日本独自のものに完成されていきました。
以下は、今回ご紹介する楽器を年代順に表したものです。
楽器 | 時代 |
---|---|
和太鼓 | 縄文時代 |
琴(箏) | 弥生時代 |
鳴子 | 奈良時代以前 |
琵琶 | 奈良時代 |
編簓 | 中世 |
尺八 | 鎌倉時代 |
三味線 | 室町時代 |
和楽器の有名な曲を知ろう
和楽器で演奏されている有名な曲をここで1つご紹介したいと思います。
その曲の名は『春の海』です。お正月といえばこの『春の海』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
筝と尺八、2つの和楽器の美しいハーモニーが印象的なこの曲。そんな『春の海』は宮城道雄によって作られました。
宮城道雄は1930年の始めに行われた、それぞれが和歌を詠み披露しあう歌会のお題であった『海辺の巖』をもとにして『春の海』を作りました。
また『春の海』は宮城道雄が視力を失う以前に見た、広島県福山市にある鞘の浦の景色を題材として作られたそうです。そしてこの『春の海』こそが、彼を代表する曲となり、今日でも正月の定番曲として深く浸透しているのです。
和楽器の種類その1「琴(箏)」
出店:写真AC
1つ目に紹介したい和楽器は、「琴」です。ことは前述したように、和楽器の中でも長い歴史を持つ楽器で、弥生時代の遺跡として知られている登呂遺跡からも琴(箏)の原型らしきものが発掘されています。
ちなみに弥生時代の琴(箏)は呪術的な意味合いで用いられていたようで、現在とは少し使い方が異なっていたようです。
さて、そんな長い歴史を持つこの和楽器には、基本的に「琴(きん)・筝(そう)・和琴(わごん)・一弦琴(いちげんごと)・二弦琴(にげんごと)」の5種類があります。
例えば和琴は、登呂遺跡など弥生時代から古墳時代に作られた琴の特徴を引き継いでいるため、日本独自の弦楽器として雅楽で重用されてきました。これは弦が6本で、上の画像にあるような13弦の「筝(そう)」とは異なります。
反対に、琴は中国から伝来したもので扱いにくく、演奏しづらいため平安時代半ばを過ぎると次第に弾かれなくなっていき、江戸時代になると再び日本に伝えられましたが、あまり浸透しませんでした。
このように同じ琴(箏)でもまったく異なったルーツがあり、一方は雅楽で重用され、もう一方は衰微の道を辿るなど歩んできた道もまったく異なっています。
和楽器の種類その2「三味線」
出典:写真AC
2つ目に紹介したい和楽器は三味線です。三味線は、15世紀から16世紀にかけて琉球から伝来した撥弦楽器(はつげんがっき)で、琴など他の和楽器と比べると歴史が浅く比較的新しいのが特徴です。
また三味線は、大きく分けて「細棹・中棹・太棹」の3つの種類に分けることが出来ます。例えば細棹は歌舞伎の演奏に使われたり、太棹は浄瑠璃や民謡の演奏に使われたりと三味線は種類によって用途が異なります。
三味線には三本の弦しかありませんが、実に多様な音を出します。これはさわりによる倍音効果といくつかの調弦法によるもので、これらが組み合わさることによってさらに音が変化していくためです。