「一刻千金」という言葉をご存知でしょうか?この言葉は似たような意味を持つことわざも複数ありますが、それらが一刻千金という言葉よりも良く知られているため、一般的にはあまり頻繁に使われていません。
この言葉は、例えば「私があの場所で過ごした時代はまさに一刻千金の日々であり、今でも鮮明に覚えている」というように使われています。
【意味】 | 「時間は、今考えてみても大金に値する」「時間は非常に大切なのだから、無駄にしてはならない」 |
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【由来】 | 「春宵一刻値千金(春の宵はまるでわずかな時間が千金に値するほどに素晴らしい)」という中国漢詩より。 |
【類語】 | 「光陰矢の如し」「時は金なり」 |
【対義語】 | ー |
【英訳】 | 「Time is money.」 |
一刻千金の意味
出典:ぱくたそ
一刻千金の意味は、大きく分けて2つあります。まず、自分にとってかけがえのない時間、素晴らしい時代を惜しみ、あの時あっという間に過ぎ去ったように思われた時間は、今考えてみても大金に値するという意味で使うケースです。
また、無為に時間を過ごす人を戒めるとき、時間が無限にあるという認識を持っている人に時間の大切さを説くときなどに、時間は非常に大切なのだから、無駄にしてはならないという意味を込めて使うこともあります。
一刻千金の由来
出典:写真AC
一刻千金という言葉の由来は、中国の蘇軾という人が詠んだ漢詩「春夜」の一節である、「春宵一刻値千金」からきています。
この一節を省略したものが一刻千金で、本来の意味は、「春の宵はまるでわずかな時間が千金に値するほどに素晴らしい」と褒め称えているものです。一刻というのは当時の時間の単位で、今でいう30分に該当し、楽しい時間はあっという間に過ぎるという意図で使われています。
また、千金というのはお金のはっきりした単位ではなく、一般的にたくさんのお金と感じるだけの金額、漠然とした大金を意味しています。そのため、富んでいる人にとっても貧しい人にとっても、大切であるという意味になります。
一刻千金の例文
出典:ぱくたそ
一刻千金というのは、時間を惜しむとき、時間を大切に感じるときなどに使われます。
素晴らしい体験をした時間は驚くほど早いという意味で使うときには、「久しぶりに懐かしい人と出会えたあの日は、一刻千金の思いがした」というように使われます。
また、時間の大切さを説くために使うときには、「日々を過ごすとき、一刻千金の心構えを持って、大切に生きていくべきである」「人生には限りがあるのだから、毎日の生活がまさに一刻千金だ」などのように使います。
前者の意味で使う場合には、特に自分にとって印象が強かった思い出のある時間に特定して語るときに用いるとよいでしょう。
一刻千金の類語・対義語
出典:写真AC
一刻千金という四字熟語には、類義語が複数あります。
まず、日本でよく用いられることわざとしては、「光陰矢の如し」「時は金なり」などが挙げられます。省略なしに本来の漢詩の一説を用い、「春宵一刻値千金」というときもあります。
また、英語のことわざとしては「Time is money.」が該当します。ただし、これらはどちらも特定の大切な時間を指しているというよりは、一般的に時間はすぐに過ぎ去るものである、時間は取り戻すことができない貴重なものであるため、お金のように大切にしなければならないものであるということを意味しています。
特定の時間について言及するときには、一刻千金という言葉の方がふさわしいでしょう。一方、一刻千金という言葉の対義語は特にありません。
一刻千金に学ぶ
出典:ぱくたそ
一刻千金という言葉の意味からは、単純な時間の大切さだけでなく、同じように流れているはずの時間の中でも、自分にとって特別な時間は早く過ぎ去るものであり、かけがえのない宝物であるという世界共通の感覚をうかがい知ることができます。
また、30分というと人によってはある程度長い時間のように感じられますが、由来となっていた漢詩では短い時間として扱っていることも学べます。
一獲千金という言葉と混同しがちですが、一度に大金を手に入れるという意味のこちらの言葉とは全く異なりますので、間違えないように覚えておきましょう。
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